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魔王の産声(旧:翁な青年の異世界冒険記)  作者: 亜狸
第2章 冒険者として
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9話 町へ

 野盗達を縛りつけてある場所から2時間程歩いた森の中をシグルス達は歩いていた。ルミアの話によるとあと30分程で森を抜けれるとの事らしい。ようやく歩きにくい獣道を抜けれると二人の歩調は自然と早くなっていったのだったが―――


「あっ」


「おっとイカン、大丈夫かの?」


 地を這う根に足を取られてルミアが転びそうになり慌ててシグルスが彼女の体を受け止める。ただでさえ長時間歩くのに不向きな恰好な挙句に足場も悪い。よくよく考えると今まで躓きもしなかったのが不思議な程だ。


「すい、ません、有難うございます」


 シグルスに肩を抱かれたまま、顔を赤くしたルミアが礼を述べ、シグルスは構わんと軽く返事をする。


「う~む、鼻緒が切れておるぞ? どれ、儂が直してやろう。此処に足を乗せい」


 シグルスはルミアを立たせると、地面に片膝を立てて座り、そこに足を乗せるように促がした。


「いえ、そんな悪い、です。シグルス様の服が汚れてしまいますので…」


「何を下らぬ事を言っておるのだ、そのような事は気にする必要すら無いぞ。ほれ、そのままでは歩けんじゃろう? 早うせんか」

 


 結局シグルスの言葉は尤もなのでルミアは渋々と彼の膝に足を乗せ、シグルスは懐を探ってハンカチを取出すと、歯を使って破き彼女の鼻緒を直し始めた。


 ルミアはこの大正ロマンを思わせる光景に何となく恥ずかしくなり頬を朱に染めて作業するシグルスをジッと見つめていた。二人共特に声を発する事もなく、ただただ静かで心地よい空気が二人の間を流れる。


「よし、直ったぞ、どうじゃ、歩けるかの?」


「え、あ、はい、有難うございます」


 ルミアは頬を染めたままシグルスに礼を述べると、立ち上がろうとしたのだったが再びバランスを崩し倒れそうになった所をシグルスに抱き止められた。どうやら先程躓いた時に足を捻ってしまったようだ。

 シグルスに肩を支えられたまま再び申し訳なさそうに謝っているルミアにシグルスは自分こそ気遣ってやれず済まなかったと言葉をかける。


「しかし困ったのう、その足ではこの森を越えるのは難しかろう。よし―――」


「っわわ! きゃあ」


 ルミアの肩を支えていたシグルスは彼女の膝の裏に手を入れると彼女を軽々と抱き上げた。所謂お姫様抱っこの姿勢である。ルミアは突然の事に驚いたやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤に染めている。


「な、なな何を…」


「うむ、このまま儂が町まで運んでやろう、お主も大分疲れている事だろうし早う休ませてやらんとな」


 シグルスにガッチリと抱き抱えられたルミアは耳まで真っ赤に染まり、大丈夫だから下ろして欲しいと懇願していたのだったがシグルスは彼女に「怪我人は黙って甘えておれ」と一切譲らない。

 事実ルミアはとても歩けそうになかったのだが、彼女からしてみればシグルスに迷惑を掛けてしまう事を考えれば多少無理をしてでも歩いた方がマシだ。


 第一、昨夜自分が番の交代の時間に起きれなかった所為でシグルスは殆ど寝ていない筈だし、野盗達を捕えていた事から戦闘もしたのだろう。どう考えてもシグルスの方が疲れている筈なのだ。その事をシグルスに訴えてみるが軽く一蹴された。


女子(おなご)と男では基礎体力が違うじゃろうが、それにこんな所で怪我を推してまで頑張る必要はなかろう、黙って抱えられておれ」


 結局ルミアはシグルスには敵わず黙って彼に抱えられるしかなかったようである。

 そのままシグルスはルミアにしっかりと掴っておくように言うと森を駆け足で抜け街道へと出たのであった。




 街道は行き交う馬車や人によって踏み固められただけの道であったのだが、それでも森の中より遥かに歩きやすい。シグルスはルミアを抱えたまま更にペースを上げて進んでいく。

 抱えられているルミアは恥ずかしい状況に流石に慣れたのか顔色は普段のそれに戻ってはいるのだが、何処か居心地が悪そうだ。


 ルミアの話によるとこの街道は今現在シグルス達が目指している町と北にある村とを繋ぐ一本道らしい。基本的にこの辺りは今現在シグルス達のいるエルグランド王国でも田舎の方らしく、この街道を使うのはルルの森へ香草を採りに行く冒険者や隣町に商品を卸に行く商人くらいのものであるらしい。現にシグルス達は未だ街道で誰ともすれ違ってはいない。


 そうしてシグルスとルミアは他愛のない世間話などをしながら休憩を取りつつ街道を進んでいき、やっとの思いで町へと辿り着いたのであった。

読んで下さり有難う御座います。

感想・評価して下さるとありがたいです。

辛辣な意見など言って下りますと更に嬉しく思います。

6月28日言葉がおかしかった所直しました。

6月29日更に言葉を修正しました。

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