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魔王の産声(旧:翁な青年の異世界冒険記)  作者: 亜狸
第3章 再開、そして
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26話 試合

すいません。私生活で嫌な事が連続していた為に再びエタってました。

まことに申し訳ないです。


 団長の命により、第一訓練場へと移動した鉄拳の団員達は訓練場の中央で向かい会う、団長とニナ、シグルスとルミアを見守っていた。

 

 訓練場には他のチームなども訓練を行っていたが、鉄拳の団長が話をつけたようで今は鉄拳のメンバーらと同じく、訓練場中央で向かい会うシグルス達を静観している。



「さて、そろそろ良いか?」



 団長はシグルスとルミアに声を掛ける。逸る気持ちを抑えきれないようで、殺気を漲らせシグルスを先ほどから挑発している。

 シグルスはというと、そんな団長の挑発に気づいていながら、あえて挑発に乗ったかのように殺気を返している。実に楽しそうだ。



「うむ、わしは何時でも構わんよ。しかし、どのように試合を行うのかのう? 」



 これは純粋な疑問であった。シグルスと団長が肉弾戦で戦うのはともかく、ニナとルミアはどのように試合うのかが疑問である。シグルスの目利きではルミアはかなり運動能力が低く、体も頑丈ではない。しかし、ガライと戦った時に使ったような魔法では、魔法を使う前に、現在向き合っているニナが持つ刃を潰した斧で殴られては敵わないし、あのようなものを人に当てると確実に命を奪ってしまうのではないかと不安を覚える。



「そうだな。まあ一対一でも、2対2でも構わんぜ? まあ、仕事もあるし、命に関わるような事や、跡に怪我が残るような事は無いようにしようや」



 団長は、戦闘自体が趣味ではあるが、命のやり取りを楽しむタイプでは無く、あくまで戦闘を楽しむのが好きなだけである。何より自分が今日ここに訪れているのは依頼の為であり、そこは履き違えていない。



「私は一対一でも別に大丈夫ですよ。」



 シグルスの不安を知ってか知らずか、落ち着いた様子のルミアが答える。シグルスも本人がそういうのであれば、ガライの時みたいな事にはならないだろうと頷き、後ろに下がってルミアの対戦相手であるニナに目を向る。どうも対戦相手のニナは完全に頭に血が昇っている様である。心の修行が足りないなとシグルスは勝手な感想を抱くと二人を見守った。



「…あんた、魔術師でしょ? 一対一だなんて、私を舐めてんの?」



 そう、一般的に魔術師は、シグルスのような剣士などに守られながら呪文を唱えるのである。ニナからすれば、どう見てもただの魔術師、それも、魔術師が持つ杖はおろか、まともな防具すら付けていないのだ。しかし、それでもルミアはさも問題ないといったばかりに返事を返し、ニナはもはや、この小娘に現実を思い知らせてやろうと息巻いた。



「あちゃー、ニナの奴は完全に頭に血が昇ってやがんな。まあ良いか、それじゃあ始め!」



 シグルスと共に、後方に下がった団長がルミアとニナのやり取りを確認後し、開始の合図を送る。



「行くわよ! 死んでも知らないからっ!! 」



 まず先手を取ったのはニナだ。ニナは雄叫びを上げ、いまだ無造作に立っているルミアに向かって全力で駆け出し、斧を振り下ろそうと斧を頭上に掲げる。

 ルミアはゆっくり右手を掲げると、斧を振り下ろそうとしていたニナに向かって軽く振った。

 


「……え?」



 ニナはそう漏らすだけで精一杯だった。自分が漏らしたであろう声を聞くと同時に意識を飛ばした。



「ほー、やるじゃないか、あの子」


「じゃのう。正直、わしも予想外じゃったわ」



 とはいえ、ルミアは一応、神であるのだから、あれくら出来て当然かとシグルスは思いなおした。魔力を風に変換し、ニナの鳩尾に的確に叩きつけたルミアの手際に団長は素直に驚いているようである。



「おーい、ガライよ、ニナの手当てをしてやってくれるかー?」



 団長は訓練場の端で観戦していたガライへと声をかけ、ガライは先ほどの試合で気を失ったニナの介抱を始めた。



「ふう、それでは次はシグルス様の番ですね。頑張ってください。」



 ルミアは勝利という結果に特になんの感慨も抱いていないようであり、次に戦うシグルスに声を掛ける。



「うむ、任せておれ」



 シグルスはルミアに返事を返すと、訓練場の中央に移動し、チーム「鉄拳」の団長と対峙した。団長はいまだに強い殺気をシグルスに対し放っており、明らかにシグルスを挑発している。

 団長に顔には笑みが浮かび、これから対峙する強い相手との戦いを楽しみにしているようである。

 

 一方シグルスも顔に笑みを浮かべ、敢えて殺気を飛ばす。現代日本では、シグルス、喜三郎とまともに戦えるような達人は稀であり、彼の晩年には、孫の孝彦が唯一、彼に匹敵する可能性を秘めていたのみであるが、まだ10代である孝彦ではまだまだ喜三郎の相手には程遠かった。


 久しぶりに全力を出せそうな相手と出会えたことにシグルスは感謝を捧げたのだった。


 



すいませんでした。

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