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魔王の産声(旧:翁な青年の異世界冒険記)  作者: 亜狸
第2章 冒険者として
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19話 魔獣討伐依頼 その1

 都合により書き直していた19話です。

 ご迷惑おかけしました。

 昨日と同じように、町の外で薬草の採取を行ったシグルスとルミアは、薬草の束を抱えて冒険者協会へと報告へ訪れていた。


「はい、有難う御座います。報酬の銀貨1枚と銅貨3枚になります」


「うむ、ありがとう」


 薬草採取依頼の報酬を窓口で受け取ったシグルスは受付嬢に礼を述べると、ルミアと共に掲示板へと向かう。掲示板に貼られている採取系の依頼を流し見していくルミアは、一通り目を通し終えた所でシグルスへ声を掛けた。


「う~ん、もう町周辺で取れる採取依頼はありませんね。残る薬草採取依頼は、少し足を延ばしてルルの森か……、魔獣の数が多いのですが、町から1時間程西へ進んだ先にある荒野で取れるものになりますね。どうしましょうか?」


 ルルの森へ行くのならば、少なく見積もっても往復で8時間はかかる。そこから更に薬草を探し回ったりした場合は野宿確定だ。西の荒野に行くとあれば魔獣との戦闘は避けられない。


「少なくとも、ルルの森は無理そうじゃの、時間が無さすぎる。あとは西か、西の荒野に出る魔獣とはどんなものなのじゃ?」


「町の西に出没する魔獣は、シグルス様と私であれば問題ないかと思います。私はまあ別にどちらでも構いませんので、どうぞお好きな方を」


 初日と違って、ルミアの服装は旅人のそれであるし、この町に入ってから購入した道具類があれば野宿などは楽なものだろう。また、西の荒野に行ったとしても、自分とシグルスの実力であれば、例え魔獣と戦闘になった所で、大した問題はないだろうと考えたようだ。


「そうじゃのう、月の兎亭には料金を前払いしておる事だし、西へ向かう事にするかの」


「わかりました、ではそちらで依頼のある2件の薬草採取依頼を受けますね。あと一件、魔獣討伐の依頼も受けて構いませんか? 荒野へ行くのであれば魔獣との戦闘は避けられませんので、魔獣討伐の依頼も請け負っていた方が効率的に収入を増やせますし」


 ルミアは西の荒野の薬草採取の依頼を2枚手に取ると、残る一件の仕事を魔獣討伐の依頼にしないかとシグルスに声をかける。別に魔獣討伐の依頼抜きで、魔獣を倒す事は問題ではないのだが、その場合は魔獣討伐による報酬は得られない。なので大抵の冒険者は、荒野などの魔獣が出る地域に赴く用事などがある場合は、一緒に魔獣討伐も請け負うのだ。


「そうか、まあ、そこら辺はお主に任せるよ」


 実は、この手の説明も協会の説明会でなされていたのだが、殆どまともに聞いていなかったシグルスは、その辺の知識に疎い。なので早々にルミアに任せてしまう事を決めたようだ。ルミアに選んでもらった依頼書を窓口へ持っていくと、シグルス達は冒険者協会を後にした。






「よし、行ったようだな」


「ねぇ坊ちゃん、本当に行くんですか? 危ないんで止めときましょうよ、下手したら大怪我なんかじゃ済まないですって」


 シグルスとルミアが去った冒険者協会で、二人の男達が会話をしていた。二人はシグルス達の仕事の話を盗み聞きしていたようで、二人と同じように荒野での魔獣討伐を受けるか否かで揉めているようだ。


「うるさい! 僕が大丈夫だって言ったら大丈夫なんだ! よし、行くぞ」


「あーもう、私はもうどうなっても知りやせんからね……!」


 背の高い男の制止を振り切る形で、スタスタと歩きだした甲高い声の男は、掲示板の前まで行くと手荒に依頼書を剥がし、荒野での魔獣討伐依頼を受け、シグルスとルミアの後を追うのだった。





 冒険者協会で、そのようなやり取りがされている事など知らないシグルスとルミアは冒険者協会を出ると、町の南門を抜け、街道から離れ草原を西へと進む。



 シグルス達が西へと歩を進めるにつれ、足元に青々と生い茂っていた雑草達は徐々に姿を消してゆき、現在二人は、土煙が舞う、渇いた大地へと入っていた。

 周囲にはもう殆ど草木などは見えず、代わりにとばかりに先の尖った岩々が立ち並んでいる景色がシグルス達の眼前に広がっている。


「この薬草が今回の依頼の品ですね。この植物は岩の隙間などに生えるらしいので、そういった場所を中心に探していきましょうか。もう一つの依頼の品も、同じような場所に生えている筈です」


 羽織っていた白いローブの襟元で、口元を覆ったルミアがシグルスに声を掛けると、シグルスは頷き自身も岩の隙間などに目を通していく。


 と、そこで不意にシグルスが作業の手をピタリと止める。シグルスは右手を村正の柄に手をかけて、周囲を見渡す。そんなシグルスの様子を不思議に思ったルミアがシグルスに声をかけた。


「どうかしたんですか、シグルス様?」


 ルミアがシグルスに疑問の声を投げかけると、シグルスは「静かに」と小さな声で短く言うと、自分達から遠く離れた岩山を見つめる。ルミアはシグルスの言葉に従い口を噤むと、スッとシグルスの背後に回り、シグルスの視線の先を見つめたのだった。 


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