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魔王の産声(旧:翁な青年の異世界冒険記)  作者: 亜狸
第2章 冒険者として
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11話 冒険者

お世話になってます。

 シグルスとルミアが食事を摂り終えた頃には、周囲の喧騒も既に収まっており、現在席についているのはシグルス達をのみとなっていた。静かになった店内で、シグルスはいつになく真剣な表情で、ルミアへとある決心を告げた。


「さて、飯も食い終わった事じゃし、先程の話の続きなのじゃが、儂は冒険者になろうと思う」


「そうですか、良いかと思いますよ、シグルス様はお強いですし天職だと思います」


 シグルスの決心をルミアは、あっさりと肯定的に受け入れられた。女王も仕事以外は基本的に、自由にしていて構わないと言っていたし、何より金を稼がねばこの世界で食べては行けない。シグルスは冒険者という職業を知るまでは適当に、そこら辺で用心棒でもして日銭を稼ごうかと思っていたが、食事中にルミアに確認した話では冒険者の仕事は自由度が高く、更には色々な所を見て回る事も出来るし実力があれば十分に食べて行けるとの事である。戦う力しか取り柄がないと自負しているシグルスにとっては非常に都合が良く魅力的な職業なのだ。


「うむ、それでお主はどうするかの? 儂がこの世界に慣れるまでは、儂が責任を持って養おうと思うのだが」


 シグルスは自身に付き合わされる形で同行させられたルミアに対し、無理に働く必要はないと思っており、自分がこの世界に慣れるまでは彼女を養うのも良いかと思っている。


「あー、実は私、元冒険者なんですよ、なので実はシグルス様にも冒険者を勧めるつもりだったんです。シグルス様程、強くはありませんが、私も魔法が使えるので、そこそこ役に立つかと思いますよ」


 ルミアは何でもない事のように、シグルスに自分が冒険者であった事を伝えた。シグルスはまさか彼女がそんな危険な仕事についていたとは思いもよらず、非常に驚いた様子である。


「なんと、お主が冒険者だったとな、こりゃあ驚いたわい。しかし、それなら取り敢えずは今後の生活手段については決まりじゃのう。それで、冒険者にはどうやってなるのじゃ?」


 シグルスはルミアの言葉に少々驚きはしていたが、そういう事なら都合が良いと最も気になっていた事を尋ねた。いくら自由度の高い職業とはいえ、なんらかの基準はあるものだろうと考えたようだ。


「冒険者になるのにはですね、冒険者の協会へと行き試験を受けて合格すれば協会に登録された冒険者になれます。試験の方法は多額の費用を伴う教習を受けてからと、直接試験のみを受けるかが選べます。

 あともう一つ、協会に登録せずに勝手に冒険者を名乗る事も出来ますが、信用もなく仕事も殆どないのでお勧めしません」


「成程のう、しかし試験か、儂は字が読めんのじゃが…」


 ルミアの説明にシグルスは表情を曇らせた。試験などと字の読めない自分には難しいのではと不安なようだ。もっとも、だからと言って、ルミアが最後に言った勝手に冒険者を名乗る方法と言うのは論外なのだろう。

 ルミアはシグルスのそんな様子を察したのか、小さく笑うと彼に言葉をかけた。


「大丈夫ですよ、試験と言っても面接と実技だけですからね。試験官と面接して模擬戦をするだけです。まあ大まかに言うと協会としては人間的に問題がなく、実力があれば問題ないのですから、シグルス様の実力とお人柄ならば合格間違いなしですよ。ただし、その二つの内どちらかが悪ければ冒険者にはなれません、なにせ協会としても、協会の信用を損なう恐れのあるものを受け入れる必要はないですからね」


 ルミアは自信満々といった表情でシグルスに言葉をかける、シグルスも元冒険者のお墨付きを貰い安心したようだった。

 そうしてある程度、話が纏まった所で店を出ようと立ち上がろうとした二人に店の従業員の娘がのんびりとした口調で話かけてきた。


「お二人とも、この店は初めての人ですよね、今日はこの町に滞在されるんですか~?」


 娘の問いかけにシグルスが返事をすると娘は更に話を続ける。


「今日の宿は既にお決まりですか~? まだ決めていないんでしたら、この店の2階は宿になっているんよ、本日の宿にいかがですか~?」  


 娘の言葉はシグルス達にとっても都合が良く、正に渡りに船といった所だ、ルミアが彼女に宿泊費用を尋ねると、1泊2食付で銅貨10枚と安価だ。シグルスとルミアは先程の話の流れから、暫くはこの町に滞在するつもりだったので、娘に5日間連泊できるか確認すると彼女に5日分の料金、銀貨2枚と銅貨10枚を手渡した。


「ふふふ、有難うございます、実はうちも宿泊予定だった冒険者さんの一団が怪我したとかで、仕込みが無駄になっちゃう所だったので助かりました~。あ、私はこの宿の主人の娘のエレンって言います。宜しくお願いしますね~」


 エレンと名乗った娘が柔らかい笑みを浮かべ、シグルス達に名乗り、シグルス達も軽く名乗り返す。

 エレンはすぐに部屋へ入るかシグルス達に問いかけたが、シグルス達はこれからの事を考え、店を出て商店を見て回る事にしたようだった。

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