初めて捨てられた日のこと
両親は共に北海道出身で、母は札幌、父は富良野だった。
北海道へは、よく連れていかれた。
母が年に数回、「クラス会」というものに行く時に幼いわたしは一緒に連れて行かれ、母がクラス会に行っている間、母の実家に預けられた。
世の中では、孫というものは祖父母に可愛がられるものだと思われているが、わたしに限っては母方の祖父母にも父方の祖父母にも可愛がられることはなかった。
母の実家は裕福な家系で、母の兄妹の子供たちは育ちの良い感じの男の子たちばかりだった。
その中でわたしは、特に母の母に、汚いもののように扱われた。
わたしはその従兄弟たちの側に寄らないように言われていたし、食事もわたしだけは別室で、別の時間に食べさせられた。
当然母の家では話し相手もいない。
幼いわたしは、母が帰ってくるまでひたすら玄関で待った。
寒い、真冬の北海道で。
母が帰ってくるのはいつも翌日か、数日後の朝だった。
父の実家は富良野で、家の横にヤギ小屋があった。
小屋はあるけどヤギはいない。
父の実家に連れて行かれた時は、わたしはいつもヤギ小屋で寝泊まりだった。
ヤギ小屋には小さい冷蔵庫があって、中にはいつもババロアが入っていて、わたしの食事はそれだった。
ある時、父の実家に知らないお客さんが来て、わたしは祖父に「公園行くか?」と言われた。
遊びに連れて行ってもらえるのは初めてだったので、喜んで「行く」と答えた。
車に乗せられ、SLの遊具のようなものがある公園に連れて行かれた。
公園に着くと、祖父は車で去っていった。
そのあと、夜になっても、誰も迎えには来なかった。
とても寒くて怖かった。
あれは何時頃だったのかわからないが、通りかかったおじさんが声を掛けてくれた。
わたしが祖父の名前と父の名前を伝えると、そのおじさんが祖父の家まで届けてくれて、父に何か言っていた。
わたしはヤギ小屋に戻って、冷たいババロアを食べた。




