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一番古い記憶
わたしが持つ一番古い記憶。
冬の寒い日の夜。
わたしはまだ幼稚園にもいっていない。
3才くらいだろうか。
幼いわたしは酷い咳で眠れずにいた。
ドアを開けた父親が顔を真っ赤にして怒鳴っていた。
「うるさい」
「おまえはヤクビョウガミか」
「キチガイ」
父はそんな言葉を怒鳴っていた。
その時のわたしは「ヤクビョウガミ」という言葉の意味はわからなかったけど、その言葉は既に何度も聞いて、覚えていたことだけはわかる。
母は、「これ以上パパを怒らせるようなことしないで」とわたしに言い、わたしをベランダの外に出した。
わたしが後に喘息だとわかるのは、40も過ぎてからのことだった。




