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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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やっぱりアークたそしか勝たん




 部屋に押し込まれた瞬間、ワイは理解したんや。

 これ、冗談抜きでワイの貞操の危機やんけ。


 ストーカー女に腕を掴まれ、ドアを背中でバタンと閉められ、次の瞬間にはベッドに押し倒されてたんや。

 息を整える暇もあらへん。


 女は完全に正気とちゃう目をしとって、白目がちにギラギラしとる。

 ヒエェエェ……! こんなブスにワイの童貞はとられてしまうんか!?

 しかも全然ワイは同意していないンゴォオオオオオオオオオ!!


「あなた本当に素敵。こんなに弱いのに守ってあげたくなる。全部、私が面倒見るから……ね?」


 めっちゃ近い。

 息がかかる。

 息がちょっと臭い気がするンゴ。

 普通こういうのって甘い匂いがするんじゃないんか!?


 しかも怖すぎるし、めっちゃ萎えてるンゴ。


 ワイは必死に逃げようとするけど、腕を両方掴まれててピクリとも動かれへん。


 な、なんやこのパワー系ヤンデレ!?

 せめて美少女であったくれ!


 ん、待てよ……これは目を閉じて美少女を想像してれば逆にええのかもしれん。


 いや、駄目や。

 目を閉じてても臭いのはどうにもできないンゴ!

 一瞬でワイの中で思い描いていた美少女が崩れ去るんや。


 頭の中では悲鳴が上がっとったけど、声は喉で詰まったまま出てこない。


 この女、弱い男が好きいうより「支配できそうな男」が好きなんやろ(※ただしイケメンに限る)。

 完全にそういうタイプの目をしとる。


 その女の手がワイの大事な息子に伸びていき「もう終わりや!!」と思っとったその時――――ガチャリとドアが開く音が聞こえたんや。


 トーカー女の顔色がピクリと身体を震わせた後に変わった。

 まるで風が押したみたいにゆっくりドアが開いて、不自然なくらい自然やのに、そこから入ってきた空気だけ明らかに温度が違った感じがしたンゴ。


「真太郎?」


 アークたそが帰ってきた!!

 これで勝つる!!!


「ア……アークたそぉぉぉ!!!!」


 ワイは泣きそうな声を出してもうた。

 泣きそうてか、フツーに涙出てきた。

 こんな安心する存在、他におるんか?

 マッマもパッパもこんな安心できる存在やなかったで。


 アークたそは袋を片手に持ったまま状況を一目で理解し、目の奥がスッ……と冷える感じたした。

 いつもヒエッヒエの目しとるけど、ゴミムシを見るような目で女をみとった。

 そんなヒエッヒエのカッチカチの目で見られたらほんまに凍り付いてしまうで。

 絶対零度って感じや。


「…………」


 アークたそが黙ってそれを見てて、部屋の中の空気が重く沈み込んだ気がしたンゴ。

 重力が強くなったような……気のせいかもしれんが、そう感じたんや。


 ワイは肌で感じた。

 これ、ヤバいやつや。

 ワイにこんなことして、この女はこの世からサヨナラする運命やで。


「な、なんなの……あんた……?」


 ストーカー女は震えながらアークをにらむ。

 この馬鹿女、アークたその実力分からんのか?

 アークたそはワイのご主人様やぞ!

 最強なんやで!?


『ナビゲーター:「プライドなくて草」』


 アークたそはただ一言言っただけやった。


「出ていきなよ。見逃してあげるからさ」


 静かすぎる声やのに、皮膚の下を針で突かれたみたいな寒気が走ったんや。

 紙やすりで火傷のところをザリザリされるようなゾワッとする感じ。


「ふ……ふざけないで!!」


 ストーカー女が狂ったように手アークたそに手を伸ばしてる。

 そんなことして何になるんや?

 アークたそに勝てると思っとるんか? おぉん!?


 アークたそは軽く指先で女の手をつまんだんや。

 塩でもつまむみたいに、軽くつまんだだけに見えた。


 ミシッ。


 間違いなく、骨が折れる寸前みたいな音がした。


「きゃああああああああッ!!?」


 女は悲鳴をあげるが、アークは表情ひとつ変えへん。


「暴れたらもっと怪我するよ。どう、出ていく気になった?」


 女はかなり痛かったのか泣きながら床に這いつくばった。

 アークたそが軽く指先を動かすとミシミシってめっちゃ嫌な音がしたんや。

 ワイまで痛くなってくる。


「ひっ……ひぃいいぃ!」


 女が逃げ出す時の足音はもう理性が残っとらんレベルやった。

 なりふり構わず廊下を走って消えていった。


 まいったか!

 これがワイの嫁のアークたそや!


『ナビゲーター:「イッチまじでなんもしてなくて草」』

「なす術ないんじゃボケ!」


 アークたそは閉まったドアを少し見つめ、それからワイの方へ振り返った。


「大丈夫?」


 その優しい声に、ワイはほんまにボロボロ涙出てきた。


「ア、アークたそぉ……ワイ、もう死ぬか思ったんや……」

『ナビゲーター:「大袈裟で草」』

「大袈裟ちゃうわ! ワイの大事な童貞が奪われるところやったんやで!? そんなの殺されるのと同じやんけ!」

『ナビゲーター:「童貞を誇りに思ってて草」』


 アークたそは何事もなかったかのように持ってた袋をテーブルの上に置いた。

 中身はいつも食べてる飴みたいやった。

 そんなに毎日同じ飴食べてて飽きないんか?

 そういえば今、珍しく飴舐めてないンゴ。


「イケメンになった気分はどう?」

「最悪やで! 皆心が汚いンゴ!」

「ははは、そうかもね」


 アークたそは早速袋から飴を取り出して口に入れとった。


「アークたそ……怒ってへんの?」


 ワイがモテ過ぎたらアークたそ的にちょっと複雑な気持ちになるんちゃうかと思ってそう聞いてみた。


『ナビゲーター:「無駄なポジティブシンキングやめーや。破壊力が凄いわ」』

「モテない彼氏が急にモテたら嫌やろ」

『ナビゲーター:「馬鹿も休み休み言ってクレメンス」』


 ワイはアークたその返事を待ったんや。

 ここでちょっと妬いてくれたら可愛いって思うんやが。


「怒る理由なんてないよ。真太郎は自由にしていいんだから」

「ファッ……束縛とかせんの?」


 束縛されてもそれを守るかどうかは別の話やが。

 いや、ワイの奴隷紋がそれを完全な拘束にするんか。


「しないよ。真太郎が誰と食事しても、誰と話してもいい。私が止める理由はないよ」


 アークはワイの服の乱れをそっと直しながら、優しくそう言ったンゴ。

 その横顔は綺麗すぎて、胸が爆音で跳ねた。


 なんや……アークたそ、器デカすぎへんか……?

 いや、天使か……いや、天使より尊いやろ……


 やっぱり美人って性格いいんかな。

 ブスは性格もブスになるんやろか。

 たまに怖い事言うけど、アークたそはあっさりしてていい人やなって思う。


 アークたそ、眩しすぎる。


「アークたそ……ワイ……ほんまに……アークたそが好きや……!」

「知ってる」


 アークたそは元のワイの姿を知ってるのに優しいンゴ。

 なんでアークたそはワイにこんなに優しくしてくれるんやろか?

 それともこの世界の奴隷って結構待遇がええんか?


「それで、ギルドはどうだった?」


 うっ……それを聞かれるとなんて答えていいか分からないンゴ。

 下水の清掃の仕事しか紹介されなかったところを話したくない。

 それにクソみたいなステータスでもお金くれるって言ったあの女についていってまった自分の話はもっとしたくない。


「ま、まぁまぁやったわ。でも働きたくないから帰って来たんや」

「そうなんだ」


 それ以上はなんも聞いてこなかったンゴ。

 興味ないのか、それともなんとなく察してくれたのか、ワイにはそれが救いやった。

 働くことにうるさく言ってこないアークたそは神や。


 ……アカン、あの狂ったイケメンがアークたそを神とか言ってたのと同じ思考になってるわ。

 こういう経緯でアークたそは神になったんか?


 アークたそ……ワイ、もっともっと好きになってまうやん……


 ワイもアークたそのストーカーになったりするんかな。

 でも、アークたそをストーカーしようとしても無理やろ。

 ワイの能力じゃアークたそを探し出せないンゴ。


 そうならんようにせんとな!


『ナビゲーター:「フラグビンビンで草」』


【神】やっぱりワイの嫁は神やった




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