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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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ワイ、衝撃の初体験すぎてどうにもできない




 何度見ても、鏡の中のワイは今日も完璧やった。


 正確には幻術魔法で完璧に“見えてる”だけなんやけど、そんな細かい事はどうでもええ。

 美しいは正義や。

 美しいワイが今ここに存在しとる、それがすべてや!


「はぁ〜……ワイってほんまイケメンやなぁ……」

『ナビゲーター:「いつまでやっとんねん」』


 なんやったっけ、あの、ナルシストの語源になったやつは自分の姿に見惚れすぎてどうにかなってしまったんやろ?

 まさに今のワイはそんな感じや。

 いまならそいつの気持ちめっちゃわかるで。


 鏡の前でポーズを取っとると、背後のベッドに座って飴舐めてるアークたそが呆れた声で言ったンゴ。


「真太郎、それずっとやってるけど……ただの幻術魔法だからね?」

「いや、でもアークたそ! イケメンになったら強くなった気がするンゴ!」

「……そっか」

「今のワイならいける気がするんや……ギルドでええ仕事もらえる気しかしないンゴ!」


 アークたそは舐め終わった飴の棒をパキッと折りながらため息をついとった。


「まぁ、好きにしたら」

「任せとけ! イケメンの力、見せつけたるで!!!」


 胸を張って部屋を飛び出したワイは、そのままギルドへ一直線に向かった。

 働くのはめっちゃ嫌やけど、今ならスゲー!! って仕事ができる気がするンゴ。

 そして無双するんや!


『ナビゲーター:「行っても後悔するだけや」』

「いや、今なら絶対いけるンゴ!」

『ナビゲーター:「聞く耳持ってなくて草」』


 イケメンっていうのは完璧超人なんや!

 ワイだって完璧超人になっているはずやで!




 ***




 走ってギルドまで向かってたけど、途中でフツーに息が切れてたんや。

 幻術魔法じゃ流石に体力まではバフかからんかったか。


 っていうか、アークたそはステータスにバフかけられるんやからそうしてくれたらええのに。


『ナビゲーター:「少しは自分で努力しろks」』

「異世界は努力とは無縁の世界やで」

『ナビゲーター:「頭の中にかすみでも詰まっとるんか」』

「異世界は無双するためのボーナスステージやで」


 この世界が何故かワイに厳しすぎるだけや。

 でもイケメンになったワイには無双できるはずや!

 っていうか、アークたそに拾われた時点でワイの勝ち確やで!


 ギルドに着いた瞬間―――ワイの方向に視線が、刺さったんや。


 特に……女からや。

 当たりを見渡してもやっぱりブスばっかりや。

 なんでこの世界ブスとかデブとかばっかりやねん!?

 こんなんにモテても嬉しくないわ!


 ざわざわ……ざわざわ……


「えっ、見たことない人……イケメン……!」

「やだ、めちゃ美形じゃない……?」

「貴族みたい……いや、それ以上……」


 ワイの周囲の女たちの目がキラキラしとる。

 これは……完全にモテ期や。

 やっぱりイケメン補正は強いンゴ! ルッキズムやばすぎるやろ!!!


 ワイは若干頬を引きつらせながら受付に向かったんや。

 受付嬢もワイを見て、一瞬ガチで固まった。

 顔を赤らめてメスの顔しとるわ。


 なんか……ここまで露骨だとちょっとムカつくまでいくンゴ。

 お前ら、イケメンならなんでもええんか。


『ナビゲーター:「イッチも美人ならなんでもええと思ってるやろ」』

「思ってへんし」

『ナビゲーター:「アークが災厄でも関係ないとか思ってるやろ」』


 まぁ、それは思っとるけど。


「ご、ご用件は……っ?」

「ワイ、仕事を探しに来たンゴ! まずはステータス測定から頼むで!」

「かしこまりました!」


 なんかぎこちない手つきで、受付嬢はステータス測定の例の水晶みたいなのを差し出してきた。

 相変わらずこの謎の水晶なんなんやろ。

 あの、なんやっけ、海外で売ってる内側からビームみたいなの出てる奴思い出すわ。


 イケメンになったワイなら……ワンチャン、ステータスまでイケメン仕様になっとるんやないか?


 この姿やし……気のせいやなくて、ほんまに強くなった気がするんよなぁ……


 ワクワクしながら手を置くと―――


 やっぱり前と同じ無反応やった。

 完全に無反応やなかったかもしれんが、ワイの目には完全に無反応やったで。


 受付嬢はワイのステータス見て、さっきまで顔を赤らめてたのが嘘みたいにスンッ……ってなっとった。


「………………あ」


 周りの女たちもそれを覗き込んで、


「………………え……?」


 とか声を出しとる。


 なんやこの空気。

 さっきまで「キャーッ!」みたいな雰囲気やったのに、一瞬で黙り込んだぞ。

 なんでやねん。


『ナビゲーター:「想定の範囲内で草」』

「なんでやねん、ほんま意味わからへん!」


 ワイがナビゲーターと言い合いしとると、横から女がひょいと現れた。


「ちょ、ちょっと見せてもらってもいいかしら……?」


 ひとりの女冒険者がワイのステータスを覗き込み―――


「うっ……な、なんて低いステータスなの……」

「うそ……運が最低ランク……」

「弱すぎる……」

「見た目だけ……?」


 さっきまでの黄色い声援が全部消えたんや。

 それにそんな悪口を聞こえるように言わなくてもええんやないか!?

 外見もブスなら性格もブスやんけ!


「……あ、あの……仕事なら……下水道の掃除なら……」


 受付嬢は気まずそうに目を反らす。


 また下水道かい!! またかい!!

 イケメンになっても結局これかい!!


 ワイがショックで震えてると、そんな中でひとりの女性が近づいてきたんや。

 なんやねん、お前までワイを馬鹿にするんか!?


「ねえ……あなた」


 その女はにっこり笑って言った。


「弱いステータスでも、私は全然気にしないよ?」


 ファッ……?


「……ほんまに?」

「ほんまに?」


 アカン、この方言伝わらんのか。

 アークたそには普通に話しとるけど、アークたそはワイの言葉分かってくれてるんやろか?

 異世界の独特の方言程度に思われとるんやろか?


「そうなんか? って意味や」

「うん。良かったらこのあと一緒に食事でも……どうかな?」


 ファッ……!?

 なんこれ……!?

 これって……まさか……ナンパ―――!?


 ワイ童貞やけど、さすがに分かる。

 この距離感、明らかに“そういう誘い”や。


 でも……あんまり可愛くないンゴ。

 化粧してこれか……って感じや。


 清楚な感じが全くない。

 ケバい。

 ケバくても可愛くない。

 アークたそとはまるで別の生き物みたいにすら感じるンゴ。


「……正直、あんまり行きたくないんやけど……」

「じゃあ、お金あげるから」

「行くンゴ!!!!」


 ワイは即答した。

 金や。

 金の力は世界の真理なんや……!!


 金をくれるなら話は別や。


『ナビゲーター:「どうなったらこんなクズが出来上がるのか謎は深まるばかりや」』

「アホか、金をもらえるとなったらもうこれは労働やで」

『ナビゲーター:「断固として労働を断っとるのに手の平ドリルやめーや」』


 ワイはそのあんまり可愛くない女についていくことにしたんや。

 これはママ活やな。

 ママ活も仕事みたいなもんやろ!




 ***




 女はカフェでワイに奢ってくれて、ずっと質問してきた。


「ねぇ、真太郎くんって普段なにしてるの?」

「彼女はいないよね?」

「私、稼ぎあるし……弱くてもいいんだよ?」

「養ってあげるから……ね?」


 ワイが返事しても返事しなくても女はワイにずっと話をしてきた。

 怖いわ。

 壊れたラジオみたいにずっと喋っとる。


 完全に“囲い”やんけこれ。


 甘い声で囁かれても、ワイの心は複雑やった。

 どれだけいい条件でも、見た目がこれじゃ……という気持ちもあったし、他にも思うところは色々あったんや。


 ……この女はワイの本当の姿を見ても同じこと言うんやろか……?


 アークたそは、見た目が変わっても態度を変えなかった。

 でもこの女は違う。


 ワイの内側なんて見とらん。


 それを考えるともやもやするンゴ。

 なんか、納得いかない。

 それにワイにはアークたそがおる!


「……すまん。ワイ、帰るわ」

「えっ!? どうして? ねぇ待ってってば!」


 女は焦ってワイの腕を掴もうとするけど―――


「ホンマにすまん……今日は帰らせてくれや」


 ワイは女を振り払って宿へ向かったんや。

 金はやっぱいらん。

 やっぱりママ活なんてワイには耐えられないンゴ。




 ***




「はぁ~……なんか全然上手くいかないンゴ。イケメンになってもなかなか思い通りにならないンゴ……」


 宿に戻ったワイは、ため息をついたんや。


「なんか……虚しいンゴ……」

『ナビゲーター:「当たり前や」』


 アークたその部屋に行ってみたけど出かけているらしく、部屋におらんかった。

 ワイは部屋に戻って寝ようとしたけど―――


 ……なんか走る足音が聞こえた。


 後ろを振り返ると―――

 さっきギルドでワイを誘ってきた女が立っとった。


 ヒエッ……!


「……なんでついてきとるんや!?」

「だって帰るなんて言うから」


 全然目が笑ってへん。

 なんか……狂気を感じる。

 さっきより100倍怖い。


 このパターン、あのクソイケメンと同じやないか!?

 でも相手は弱そうでブスな女や、流石にワイが負けるはずない!


「わ、ワイはもう休みたいんや!!」


 逃げようとした瞬間―――女にドアを押し開けられ、そのままワイは部屋に押し倒された。


「ファッ!!? ちょっ……ちょ、ちょ……!?」


 ワイはまともに返事もできんかった。

 なんて言ったらいいのかもわからへんし、状況がまったく呑み込めない。


 ベッドに押し付けられ、女が跨ってきた。


「真太郎くん、逃がさないよ?」

「ファッ!? 待って!? ちょっ……何する気やねん!!」

「大丈夫。怖くないよ。全部私が面倒見るから」


 ワイの背筋がゾワッと震える。


 なんやこれ……怖すぎるンゴ……!!


 これって逆レってやつちゃうか!?

 ワイ、このシチュエーションでエッッッッッなことを何度もしたけど、実際にこうなると全然そんな気持ちにならん。

 ただただ怖い!

 それにフツーに嫌ンゴ!


 ワイが振りほどこうとしても、女の方が力が強くてがっちりホールドされとった。

 全然歯が立たないんや。

 ギルドで計ったステータス通り、ワイにはほんまにどうにもできんかった。


 アークたそぉ……助けてくれえええええ……!!


 この状況、ワイはどうなってしまうんや!?


【絶望】なんか、実際に夢のシチュになっても全然興奮しないんやが




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