つ、ついにワイ、革命が起きた!?
目の前の白いマントのイカれた長身のイケメンが、薄笑いを浮かべとった。
見た目はイケメンやのに、絶対ヤバい奴や。
イケメンの癖になんでそんな闇落ちすることあんねん!?
イケメンは爽やかであれや!
異世界で性格悪いイケメンとか、確定で敵キャラやん。
それとも味方になる可能性は微レ存なんか?
しかも、こういう闇落ちイケメンキャラは女子受けがいいんや。
なんでやねん。
お前も腕切り落とされてから好きになって見ろや!!
とりあえず、こいつあかんやつや。
完全に関わったらあかんタイプの眼してる。
「さて、話をしようか。君には聞きたいことが山ほどあるんだよ」
アシェルはにこやかに言うけど、目が、笑ってへん。
アークたそみたいな顔しとる。
でもアークたその方が静かや。
イケメンは殺意と狂気の光がバチバチになっとるンゴ。
「彼女のこと、聞かせてもらうよ」
「なんでアークたそのことそんなに気にするんや……?」
「質問は受け付けてないよ、僕の質問にだけ答えて」
あぁ、悪役確定のセリフやわ。
こういうセリフいうやつ、本当におるんやな。
会話のキャッチボールとかって概念ないんかこいつ。
だからアークたそに嫌われてるんちゃうんか!?
オォン!?
……なんて言ったら絶対殴られるやろな……
「僕たちも確証は持ってないんだ。彼女は何者なんだい?」
イケメンは微笑んどるけど、背中に氷柱ぶっ刺されたような冷たい恐怖が走ったンゴ。
「な、なんやそれ……アークたそはアークたそやろ……?」
「ははは。そんな答えで僕が納得するとでも?」
「そんなこと言われても、ワイかて詳しくは知らん。根掘り葉掘り聞いたら嫌われるかと思って聞いてへんし……」
「ふぅん、そういう繊細なことは分かるだね」
ムカつくンゴ!!
弱者男性に対する見下しがめっちゃ腹立つ!!
「君たちは祠を破壊したね? どうやって? なんで?」
「共同作業で壊したンゴ」
「…………」
ふん、ワイとアークたその共同作業って聞いて恐れおののいたか?
存分のジェラってええで。
優越感がパないンゴwww
「他の祠を壊したのも君たちだね?」
「そうやが」
「祠に干渉できる者は限られている。基本的には誰しも干渉不可だ。しかし、無力な者だけが干渉できる。君は何の力もない無力だ。そうだろう?」
ほんまムカつくンゴ!
ワイはぷっつん来たからこのクソイケメンを煽ったったわ。
「ワイはアークたそに認められてるし、必要とされてるんやで? お前みたいにアークたそに避けられてるようなのより、ずっといいやろ」
言った後に空気が凍りついたのは分かったンゴ。
狂気を孕んだ目で、イケメンがワイを見下ろした。
「君みたいなのが“神”の傍にいるなど、ありえない。“神”の隣りにいていいのはこの僕だ!」
か、神って……なんの話やねん……!?
アークたそって神なんか?
確かにワイにとって女神やけど、もしかしてこのクソイケメンもアークたそのことをそういう目で見てるんか!?
はー、キッショ、キッショ!!
ワイの嫁を汚れた目で見るなや!!
「君のような卑しい存在が、なぜ神と一緒にいる? どういう関係だ? どうやって近づいた?」
もうまともに付き合うのも馬鹿らしく思ったンゴ。
どう考えても、ワイの方がこのクソイケメンより「上」やで。
もうどう転んでもワイの勝ちや。
「すまんけど、神とか言われてもわからへん」
ワイがテキトーに返事をすると、クソイケメンは目を細めた。
そんな顔されても、ワイの優勢は変らん。
「……まぁいい、彼女をここまで連れてきてくれないか」
「ファッ!? なんでやねん!? 自分で声かけろや!!」
告白するときについてくる女子かなんかかお前は!?
キッショ!
「それができたらとっくにやっているよ」
やれやれ……みたいな仕草しとるのがほんまにイケメンでそれがほんまにムカつくンゴ。
「神はずっと行方不明だったんだ。我々は長い間探していた。会えるなら、とっくに会っている。声をかけるなんて距離感まで到達できない」
「……アークたそが会いたくないって思ってるなら、会わない方がええんちゃうか? 避けられてる理由があるんやろ?」
イケメンの表情から笑みがスッ……と消えた。
そして次の瞬間――――
ドスッ!
「ぎゃあああああああああああ!!!!??」
クソイケメンはワイの腕に短剣をためらいなく突き刺したんや。
完全に狂っとる!
完全に狂っとるの分かっとって煽ったワイも狂っとったんか!?
後悔の考えがめっちゃ頭の中で弾幕コメントが流れる。
「君みたいな何の力もない、醜い存在が……なぜ神の傍に置いてもらえるんだ? 全く納得いかない。到底理解できないよ」
結局、ワイはまたこのまま殺されるんか!?
でも、結局ワイ、このまま地下牢に拘束され続けたら爆死は間違いないンゴ。
その場合のチェックポイントはどこや!?
ここがチェックポイントやったら最悪やで!?
なんとかこの状況から挽回せなアカン。
「そ、そもそも!! アークたそが神やって思い込んでるだけなんやないのか!?」
叫んだ瞬間、クソイケメンの顔が完全に鬼になった。
あ、選択肢完全にミスったかも……
「もう許さない。君を殺そう。神をここまで侮辱されて許せるはずがない」
クソイケメンが剣が振り上げらた。
ワイは確信した。
あ、これ本気で殺されるやつや。
反射的に目を閉じた。
剣が振り下ろされるのを待つしかなかったンゴ。
――――けど……
いつまで待っても、痛みが来なかったんや。
恐る恐る目を開けると――――
クソイケメンは剣を振り上げたまま、完全に静止しとった。
「……ファッ?」
まるで世界そのものが止まったみたいや。
ザ・〇-ルドか??
「まったく、関わりたくない連中に絡まれてるね」
背後から、聞き慣れた声がしたンゴ。
振り返るとアークたそが無表情のまま立っとった。
珍しく飴を舐めてなかった。
「アークたそ!!」
ワイはすぐに状況を把握したんや。
こういうのはファンタジーで定番の時間停止や。
クソイケメンの剣は、ほんまにぴたりと止まっとる。
揺れもせぇへん。
でも、時間とか簡単にこんなに長時間止められるもんなんか……?
「じ、時間、止めたんか……?」
「面倒だったからね」
アークたそはクソイケメンを見るなり、心底うんざりしたように眉をひそめた。
ぷぎゃーwww
嫌われてて草ァ!wwwww
「白聖盟は異端宗教だからね。神がどうのこうのとか言って、気持ち悪いったらないよ」
アークたその嫌悪が隠しきれんほど顔に出とった。
イケメンに見えるアシェルを見ても、ほんまに虫を見る目で見とる。
完w全w勝w利wwww
アークたそはワイの拘束魔法を一瞬で消して、肩を掴んだ。
「帰ろう。空間移動するよ」
視界が一瞬で反転し、次の瞬間には宿の部屋に戻っとった。
***
宿に戻ったワイは、アークたそに怪我を回復魔法で治してもらったンゴ。
クソイケメンに刺されたところは完全に治ったんや。
普通の回復魔法は傷がパッと治るイメージやけど、ワイの身体から出た血も傷口から体内に戻って行った。
なんか……一回出たもんが体の中に戻るのって変な感じがするンゴ。
「真太郎、面倒な連中に目をつけられたみたいだね。厄介だな」
ワイもほんまに面倒やと思っとる。
倫理観がぶっ壊れてるンゴ。
「もう少し君の外見を変えておいた方がいいかもね。幻術魔法をかけようか」
「え? そんな簡単にできるん?」
「簡単だよ」
アークたそが手をかざした瞬間、俺の体が薄い光に包まれたんや。
でも、特に何もワイ的には変化はないんやけど……幻術魔法がかかったんか?
「鏡を見て」
促されてワイは普段立たない鏡の前に立ったんや。
そしたら――――
「……ファッ!!? ……誰!?」
鏡の中にいたのは、ワイじゃなかった。
いや、ワイなんやけど、ワイの知っているワイではない。
髪は整った黒、肌はくすみ一つなく、輪郭はシャープで、目元は凛々しいぱっちりおめめや。
痩せてるし、細マッチョで背も高い。
めっちゃ簡単に言うなら「イケメン」や!
「イケメンになっとる……!」
思わず呟くと、アークは肩をすくめた。
「これでしばらくは連中にバレないよ」
「こんなイケメンでええんか!?」
「幻覚で他人にそう見えるだけで、実際の真太郎とは何も違わないよ」
「………それもそれで、なんか怖いな……!」
こうしてワイは、“別人のワイ”になった。
こんなイケメンになったらモテまくって大変やろwww
【大歓喜】ワイ、ついにイケメンに変身www勝ち確すぎるwwwww




