ロシアないのにロシアンルーレットあるのおかしいやろ
ワイはアークたそが地面に描いてくれた図を腕にメモしたやで。
流石に覚えきれん。
アークたそは「覚えられないの?」みたいな顔しとったけど、それを口に出してこなかったンゴ。
優しいンゴ。
アークたそだけがワイにとってやさいせいかつや。
アークたそみたいにワイは完璧やないんや。
そんなワイを責めることなく受け入れてくれるのが嬉しい。
受け入れてくれるどころか、頼りにされてるンゴ!
決意を新たに祠に再挑戦やで。
『ナビゲーター:「アシェルに腕を切り落とされたことは相当根に持ってるのに、アークにこんな危険な場所に差し向けられることには何の疑問もないんやな」』
「全然ちゃうやんけ。あのクソイケメンはワイに明確な悪意があったんやで。アークたそはワイを頼ってくれてるだけや」
『ナビゲーター:「命を軽視されとることには変わりないやんけ」』
「ち、違うわ! アークたそはそんなんやない!」
『ナビゲーター:「完全に脳死プレイで草」』
アークたそとあんなクソイケメンを一緒にせんでほしいわ。
なんでやねん。
全くちゃうやんけ。
不満を抱きながらも祠の爆死のタイルのところに辿り着いたんや。
ワイは自分の腕に描いた図を見ながら、アークたそが選んだ部分を実際のタイルと確認する。
大丈夫や……アークたそは絶対や!
アークたそが選んだ〇印のルートをワイは改めて見下ろした。
一歩踏み出すのはかなり勇気がいるンゴ。
だって一歩踏み出しただけで超激痛が走って死ぬんやで。
死んでループするタイプの異世界転生あるけど、だからって「じゃあ死んでリセットや!」って気持ちには簡単にならないンゴ。
どうにもならんかったらそうするしかないけど、できればそんなことしたくないンゴ。
だって激痛なんや。
死ぬのは一瞬やけど怖いんや。
死ぬのが怖いのは当たり前やろ!?
震える足でワイは、一歩目を踏み出す。
「ほ、ほんまに大丈夫なんやろな……?」
『ナビゲーター:「知らんで。アークが運よくても、イッチの運は地獄やからな」』
「やめろォォォ!! 心臓に悪いんや!!」
とはいえ、進まな攻略はできへん。
覚悟を決めて……アークたそが選んだところに足を置いた。
「っ………!!」
…………しーん。
何も起きん。
「やった! 当たりやで!!」
流石アークたそや!
心臓がドラム叩くみたいにドコドコ鳴っとった。
このまま心臓爆発するんちゃうかと思う程や。
1回は当たったけど、次が当たるとは限らない……
でも、行くしかないンゴ。
「よっしゃ……次や……!」
二歩目、またアークたそが選んだところのタイルの上に足を置く。
「……………」
うぉおおおおおおおお!!!
成功やで!
さすがアークたそや!!
次も怖いけど、ワイは一気に駆け抜けることにしたんや。
三歩、四歩、五歩……!!!
ワイは全部無事だったんや!
生きとる!!
どのタイルも爆発せんかった。
「うおおおおおおおおおお!!!!! アークたそぉぉぉおお!!! ワイやったで!!」
『ナビゲーター:「お前の実力やないで。完全にアークの運のステータスに全依存や。誇らしげにするなニート」』
「知っとる! でも突破できた事実は変わらん!!」
ワイは歓喜で膝すら笑っとった。
爆死マス5連突破や!
こんなん現実世界のワイには絶対無理やったで!!
『ナビゲーター:「チッ。運のステータスカンストしたアークの予測は完璧やな。この祠の法則を完全に読み切っとる」』
「最強やで! ワイの嫁は!」
『ナビゲーター:「おい、イッチ。5回連続で爆発タイルを回避した確率、どれくらいか分かっとるか?」』
「は? そんなん面倒くさい計算、知るか!」
『ナビゲーター:「仮に4枚に1枚が当たりだったとしようや。お前が5回連続でそれを踏み抜いた確率は、4の5乗……つまり1024分の1やぞ」』
「ファッ!? 1000回に1回?」
ワイは1人で来たら1000回以上爆死してたんか……!?
冗談じゃないンゴ!!
『ナビゲーター:「0.1%を切る確率や。普通の人間なら奇跡と呼ぶところを、運のゴミであるお前がアークの指示だけで一発でクリアした。アークの運がどれだけチートかって話や。やっぱりアークは危な――――」』
「アークたそぉおおおおお!! チートやで! 大好きンゴォオオオオオ!!」
『ナビゲーター:「…………」』
ワイの頭の中は完全にハッピー状態やった。
興奮冷めやらんまま、ワイは次のフロアに足を踏み入れたんや。
次はなんやろな……と思うとハッピー状態から一気にかなり憂鬱な気分になった。
どうせ失敗したら死ぬ系の奴なんやろな……と思いながら足を進めたンゴ。
そこには機械的で無機質な6つのレーンが横並びになっとった。
どれも幅1メートルほどで、何もない真っ直ぐな廊下が奥まで続いとる。
なんや? これ……
『ナビゲーター:「ほーん……次はロシアンルーレットステージか」』
「ファッ!? ロシアなんてこの世界にないやろ!」
『ナビゲーター:「でもロシアンルーレットはあるんや」』
「意味わからんわ!!」
突っ込んでいると、頭上の魔法陣が光ったんや。
説明が脳内に直接流れ込む。
『選択肢は6つ。
1回目の安全レーンは3つ。
2回目は2つ。
3回目は1つのみ。
外れは高出力レーザーで即死する』
やっぱり即死系やんけ!
「ファッ……!? 殺意高すぎるやろ!!?」
『ナビゲーター:「これは物体を完全蒸発させるレベルやで。骨も残らへんやつ」』
「嫌すぎるううう!! ちなみに全部正解する確率は……?」
『ナビゲーター:「数学の勉強しなおせや、イッチ。お前が生還できる確率は、1回目が2分の1、2回目が3分の1、3回目が6分の1や」
それくらいは分かるわ!
想像的な確率を聞いてるねん!!
「……つまり?」
『ナビゲーター:「つまり、この試練を自力でクリアできる確率は36分の1や! 約2.8%」』
「2.8%!?!!?」
で、でもさっきよりは数字が高いな……
いや、でもこの試練に挑む時はこの試練を連続で成功する必要があるンゴ。
『ナビゲーター:「いいところに気づいたな、イッチ。さっきの試練と今回の試練を同時に突破できる確率は3万6864分の1や。0.0027%やで」
ファッ!!?!?
無茶苦茶や!!
暴論や!!
こんなの突破できる人間がいるはずないンゴォオオオオオオオオ!!!
しかもこの祠、運のステータスがカスじゃないと入れんのやろ?
絶対殺すマンやんけ!
「普通の人間でも生涯で一度あるかどうかの絶望的な確率やで。それをイッチが一発で成功したさっきの試練はアークの運が完全に支配していた証拠や。イッチが自力で突破できる可能性はさっきも言ったけど2.8%や」』
ワイは膝を抱えて震えた。
楽観的に考えようとしたけど、レーザーで焼かれたワイのイメージばっかり湧いてきて無理やった。
2.8%なんて……ゲームのドロップとしてはそんなに酷い確率でもないはずや……でもそれは何度も何度もリセマラして引き当てるもんや!
1回で突破できる訳がない!
けど……とりあえず進まなクリアできへん。
ここは屋内判定や、結局爆死カウントは進んどる。
「しゃーない……行くで……」
6つのレーンのうち、どれにするかワイは震えながら真ん中の3番目を選んだンゴ。
「ワイはここや……!!」
覚悟してそのレーンに立つと、天井からカチッと音がして視界が真っ白になったんや。
白い閃光がワイ以外の3レーンを薙ぎ払った。
視界が真っ白になるほどの威力やった。
「ヒィッ!!??」
ビリビリと肌が痺れて熱くて、それに衝撃の風圧でワイは後ろにひっくり返った。
何が起こったか理解した瞬間、ワイは全身から力が抜けて地面に崩れ落ちた。
「なんでこんなに殺意高いんやぁ!!??」
『ナビゲーター:「神様の気まぐれやろ(適当)」』
「ふざけんな!! ワイを殺す気満々やんけ!!」
震えながらも立ち上がり、2回目のレーンに向かう。
今度は安全レーンが2つになるんや。
「3分の1や……大丈夫、大丈夫……」
『ナビゲーター:「運0なんやから、実質6分の0やな」』
「励ましが死んどる!!!」
選ぶしかない。
ワイは悩んだ末、左端のレーンを選んだ。
「ここが当たりのはずや……頼む……!!」
全身がガクガク震える。
息がうまく吸えん気がした。
数秒後——──発射。
白光。
轟音。
全身を貫く灼熱と激痛。
ワイの体は一瞬で蒸発したんや。
***
次に目を開けた時、ワイは祠の前に倒れていた。
「はぁっ……はぁっ……ヒィッ……ッ!!」
『ナビゲーター:「はいチェックポイント戻り」』
「うわああああああああああん!!!!! なんでこんな祠作ったんやぁああああ!!!!」
涙と鼻水をダラダラに垂らしながら、ワイは地面に突っ伏して叫んだんや。
アークたそがそんなワイを見てただろうけど、それを気にするほどワイには余裕はなかったンゴ。
【絶望】この祠作った奴頭おかしいんか?




