ワイ、最大かもしれん難関にぶちあたる
アークたそが祠の前でピタリと足を止めたんや。
風も匂いも遮断したさっきの悪臭作戦とは打って変わって、ここは異様に静かやった。
1人も白聖盟の連中はおらんかった。
あのイケメンがワイに酷い事をした報いは絶対に受けさせるンゴ。
でも今は祠の攻略が優先や。
「ここはどんな祠なんや?」
「ここは運が試されるところかな」
う、運やて!?
ワイ、運のステータス最弱やで!?
「アークたそ……その……ワイ、運のステータス最弱なんやが……」
「まぁ、いつもの如くだよ。運が強いと入れないけど、運がないと攻略できないって感じ。だから運のない真太郎じゃないと入れない」
アークたそが祠の入り口みたいなところに手を翳すと、やっぱりアークたそは「バチィッ!!」ってなって弾かれとった。
毎回思うけど、それ痛くないんか?
……定番の展開になってきてるけど、またワイがソロで入らないといかんのやな。
孤高の戦士はつらいンゴ。
まぁ、アークたそが自分で入れたらワイを連れてくる意味がないかもしれんが。
「分かったで。ワイが必ず祠を攻略してくるやで!」
「ありがとう。頑張ってね真太郎」
その一言で、ワイのHPとMPとSAN値が一瞬だけ全回復した。
アークたそが応援してくれるとなんでもできる気がするンゴ。
まぁ……HPとかMPとかそういう概念、この世界ないけどな。
『ナビゲーター:「まぁ、数分後に全数値0になるんやけどな」』
「縁起でもないこと言うなや!!」
悪態をつくナビゲーターと一緒に、ワイは祠の奥へと足を踏み入れたんや。
運試しで勝てる気がしないンゴ。
宝くじだって当たらへんし、パチンコも競馬、競輪、ボート……いろいろやってみたけど全然当たらんかったわ。
なんで人生って簡単に一発逆転できへんのやろか。
でも、まぁ今ワイは異世界にきてアークたそという嫁もいるから一発逆転したけどなぁ!
『ナビゲーター:「イッチ、ニートのくせにギャンブルとかほんまにクズやな。そんなに簡単に人生一発逆転するわけないやんけ」』
「うっさいわ! 今はアークたそがいるから幸せなんや!」
『ナビゲーター:「結局、アークがどんな存在なのかなんにも考えてないんやな」』
「アークたそはアークたそやんけ」
『ナビゲーター:「アホか。いや、アホやったわwww」』
ナビゲーターに煽られてくっそムカついたンゴ。
かといってこの腕輪みたいなのを殴ってもワイの拳の方が痛いし、成す術がない。
『ナビゲーター:「拾ったリストの災厄でもイッチはええんか」』
「ええで!」
『ナビゲーター:「脳死してて草。この祠の破壊も本当に魔王の力を削ぐもんなんか? この世界の魔王がどんなんかも調べようとせんけど」』
「そんなん面倒や。仮にアークたそが何か悪いことを考えてても、ワイはアークたその奴隷なんやで? 反抗のしようもないし、それにアークたそから離れたらワイは野垂れ死ぬやんけ」
『ナビゲーター:「脳死プレイやめろや。働けニート」』
「働くのは嫌ンゴ!」
アークたその為にちょっと働いてみたけど、きっつい肉体労働やった。
もう下水に入りたくないンゴ。
他にワイができそうな簡単な仕事があればええんやが、そんなのはこの世界にはない。
ますます働く気にならない。
「そんなことより、祠の攻略や」
中は薄暗かったけど、いつもの祠とは雰囲気がまるで違う。
娯楽施設みたいな雰囲気があったんや。
綺麗に並んでるタイルみたいな床の前に看板が置いてあったンゴ。
『当たりの床以外は爆発する』
ファッ!!?
地雷みたいな感じってことか!?
ワイは足が吹き飛ぶのを想像したらそこから一歩も動けなくなってもうた。
少なくとも、反対側に行くにはどんなに頑張っても5歩分、つまり5回分はタイルを踏む必要がある。
当たりとはずれの割合がどのくらいか分からんが、5回連続で当てなかったら爆死不可避や……
『ナビゲーター:「死にゲーってやつやな。当たりの場所覚えておけば楽勝に攻略できるやん。良かったなwww」』
「ふざけんな! 地獄やんけ!!!!!」
でもまぁ……考えてても仕方ないのは事実や。
爆死するのは嫌やけど、考え続けるのはもっと嫌や。
「ま、まぁ、こんなん簡単やん、ワイでも余裕――――」
タイルを踏んだ瞬間……
ドゴォォォォン!!!!
凄まじい爆発で天井まで吹っ飛ばされた、ような気がする。
視界が真っ白になり、地面が迫って――ワイは死んだ。
やっぱりこうなる運命ンゴォオオオオオ!!!
***
チェックポイントは祠の前やった。
白聖盟を追い払って入る前のところにワイは戻って来てたンゴ。
「はぁっ……はぁっ……!」
「真太郎、どうしたの?」
ワイが崩れ落ちてると、アークたそがワイに目線を合わせて覗き込んできた。
「……死んで戻って来たンゴ」
「あらら、そうなんだ。結構進めた?」
もっとワイの心配をしてクレメンス!!
ワイが爆死の痛みに震えてると、いつも通りアークたそはワイに飴をくれたンゴ。
ワイは飴を舐めながらアークたそに泣きついた。
「全然進めなかったンゴォオオオオオ!」
「どういう状況だったか教えて。私も考えるよ」
「……分かったンゴ」
アークたそにワイが見た光景を伝えると、アークたそは地面に図を描いてたんや。
それからワイが初めに踏んだタイルの場所のはずれを伝えると、そこからアークたそは何かの魔法を発動したンゴ。
「そうだね、こことこことここ、それからこことここ」
アークたそは図に〇を書いていったんや。
「私が丸を書いたところ、ここを進んでみて」
「ファッ……? なんか確信があるんかアークたそ」
「ないよ。でも、私は運がかなりいいからね」
『ナビゲーター:「運のステータスカンストしとるなアーク」』
「ファッ!? チートやんけ!!」
そんなアークたそが選んだタイルを踏めば、ワイでも楽勝やで!!
アークたそとワイは最強コンビや!
ナビゲーターはアークたそについて不穏な事を言っとるけど、そんなのどうでもいいンゴ。
ワイはアークたそについて行くで!
ワイの嫁は最強や!
「なんだか、共同作業みたいやな……」
「共同作業?」
「そ、そうや」
結婚式で一緒にやるやつや。
ワイはこんな美女と共同作業ができるなんてそれだけで昇天してしまいそうなんや
!
「そうだね。私だけじゃどうにもならないから、真太郎がいてくれて本当に助かってるよ。ありがとう」
アークたそぉおおおおおおおお!!!
大好きンゴォオオオオオ!!!
ワイ、今まで「ありがとう」なんて言われた事あんまりないから、そう言ってくれるアークたそが本当に天使に見えたんや。
こんなワイでも誰かの役に立ててるって思うと自己肯定感爆上がりやで。
爆死は辛すぎるけど、アークたそと共同作業をするために、ワイは胸を張って祠の中に再度入ったンゴ。
「行って来るやで! 共同作業や!」
「帰りを待ってるよ」
うぉおおおおおおおお!!
絶対攻略してアークたそのところに帰るンゴォオオオオオオオオ!!!
【結婚】ワイ、嫁との共同作業にて試練に再挑戦する




