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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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ワイ、ついに働くことを決める




 ワイは朝起きた。

 いつも昼夜逆転の生活ばっかりやったけど、異世界にきてからは規則正しい生活しとる。

 アークたそがワイの爆死カウントが進まないようにしてくれてるけど、ワイは頭のどこかで「爆死するかもしれへん」と思ってよく眠れんかった。


 朝起きてナビゲーターの爆死カウントを確認するのが日課になってまった。

 それに、アークたそに嫌われなくないし、必然的にアークたそよりも早く起きるんや。


 でも、アークたそが寝てるの見たことないンゴ。

 そろそろワイと一緒に寝てくれてもええのに、でも焦ったらあかん。

 メルたそのときの事もあるし、より一層慎重に行くやで。


 でも……昨日アークたそにありがとって言ってもらえてほんま嬉しかったなぁ……


 昨日のデートの余韻が、まだ胸の奥でじんわり残っとる。

 アークたそ、笑ってくれたし飴も喜んでくれたんや。


 あの笑顔だけで、ワイの人生報われた気がするンゴ。


 もっとあの笑顔を見たいンゴ!


 ……せやけど財布の中、ほぼスッカラカンや。

 財布自体も野盗が落としてったもんやし、ワイの財布ですらない。


 やっぱ、働かんと金って入ってこないよな。

 働かんで金が入ってくればええけど……そういうビジネスはこの世界にはないんか?


「ナビ、この世界って働かなくても――――」

『ナビゲーター:「あるわけないやろハゲ」』


 食い気味でナビゲーターに否定された。


「ハゲてないし!」

『ナビゲーター:「ハゲてないにしても風呂に入った方がええで」』


 うーん……風呂は好きじゃないけど、でもそもそもこの世界って風呂らしい風呂がないやろ?

 どうやって入ればええんや。


「風呂らしいところないんやけど、どうしたらええの」

『ナビゲーター:「おwやっと風呂入る気になったんかww」』


 せっかく風呂に入ろうと思ったのに、ナビゲーターに茶化されたのが妙にカチンときて、ワイはやっぱり風呂に入りたくなくなった。


「やっぱり入らん!」

『ナビゲーター:「意固地で草」』

「お前が茶化すからや」

『ナビゲーター:「すぐ他人のせいにするの悪いところやで」』

「うっさいわ!」


 アークたそに喜んでもらえることってなんやろか?


 金が要らないことなら祠を壊すことやろうけど、祠壊し終わったらワイとアークたその関係が終わってまう可能性もある……

 だったらちょっと引き延ばしてもええんやないか?


 例えば手作りの料理とかどうやろか?

 でもワイ、料理したことない……


『ナビゲーター:「現実見ろや。現実でも異世界でも特にイッチのスキルはないんやから、料理が成功するわけないやろ」』

「やってみなかったらわからんやろ」

『ナビゲーター:「因みにこの世界、料理するにも魔法が必要やで」』


 ファッ!?!??


『ナビゲーター:「風呂も効率化されとるこの世界で料理も効率化されとるんや。包丁で皮向いたり丁寧に下ごしらえしたり、そんな古い方法淘汰されとるで」』


 な……なんてことや。

 そんな愛情を感じない料理方法が採用されてええんか!?


 ぐぬぬ……


 後はなんやろ……エッッッッッなマッサージとか……デュフフフ……


『ナビゲーター:「キッショ。さっさと捨てられろクソニート」』

「思考を読むのやめろや!」


 もう、働かないといけないんやろか。

 アークたそに直接聞いてみるンゴ。

 何かしてほしい事はないんやろか。


 ワイはアークたその部屋に行ったんや。

 ワイが部屋に行ったらすぐにドアを開けてくれた。

 相変わらず飴を舐めながらダラダラしとるようだった。


「あ、アークたそ、なにかワイにできることでしてほしいことあるか?」

「してほしいこと……?」


 アークたそは少し考えてたようやったが、答えはなかなか返ってこんかった。


「特にないかな」

「な、なんでもええんやで?」

「改めて言わなくても、なんでもするって私と契約したよね」


 ヒエッ……


 確かになんでもするって言ってアークたそと契約したんやった。

 でも、アークたそは無茶な事は要求してこないで?


 例えば……内臓を売って金にしてこいとか。


「でも、別に魔王討伐のこと手伝ってくれたらそれでいいよ」

「……でも、その……ワイはアークたそに昨日みたいに喜んでもらいたいんや。だから……その……」


 ワイはどう伝えていいか分からんかった。

 アークたそはそれでもワイの言いたいことは分かってくれたみたいや。


「真太郎はさ、私が喜ぶならどんなことでもしてくれるの? どんなに大変な事でも」

「そ……それは……」


 大変な事はしたくないンゴ。

 だからワイは即答できなかったんや。

 そんなワイのこと、すぐにアークたそは見抜いた。


「正直だね真太郎は。人間らしいっていうかさ」

「…………」


 それって、馬鹿にしてるんか……?

 人間らしいってどういうことや?

 ワイ、責められてるんか?


 でも、マッマとかパッパみたいに働けって言ってる訳じゃないし……責められてるのとは違うんか?


「……アークたそは、ワイに働けって言わないんか?」

「なんで私が真太郎に働けって言うの? お金には困ってないし」

「そ、そうなんか」

「それとも“働け”って言ってほしかった?」


 ファッ……!?


 そ、そうかもしれん。

 もし奴隷としてアークたそに働けって言われたら、ワイは仕方なく働きに行けるんやないか?


 働きたくはないけど……でも、他にどうしていいかも分からないんや。


「もし、ワイが自分で稼いだ金でアークたそに飴買ってたら、もっと嬉しかったんか……?」

「……そうかもね」


 そう言われたワイは「1回だけ……1回だけ働いてみよう」という気持ちになったんや。

 1回働いて駄目だったらそれでええんや。

 駄目だったら仕方ないしな。


 日雇いの簡単な仕事したら飴一個くらい買えるんかな?


「じゃあ、真太郎。私の権限で命令する。働いてきなさい」


 ずっと踏み出せなかった一歩を歩き出すために、アークたそはワイの背中を押してくれたんや。


 命令やったら働くしかないよな!

 別に、きっつい仕事をしてこいって言われてるわけやないし、ずっと働けって言われてるわけじゃないし。

 今日1日、なんとか働いて来てみるンゴ!


「おかのした!」

「頑張ってね」


 その“頑張ってね”の一言で、ワイの魂に炎が宿ったんや!




 ***




 ワイは胸を張って外を歩いとった。

 アークたそに「ギルドに行けば仕事探せるよ」と改めて教えてもらった。


 ギルドに行く前に、ワイはアークたそに身体を綺麗にする魔法をかけてもらったんや。

 これで臭いとかって理由で追い返されることはないンゴ。


 ギルドの扉を開けると、相変わらず中の空気がピリッとした感じがした。

 ワイみたいなデブでボロボロの服着てるやつはおらんかった。

 やっぱり……怖いンゴ。


 でも、ワイは働けって命令されたんや。

 アークたその命令に背くわけにはいかん。


 行くしかないンゴォオオオオオオオオオ!!


「お、おう……また来たやで……」


 カウンターの女受付が、顔をしかめとる。

 でもワイ、胸を張って言ったんや。


「今日は真面目に働きに来たんや。ワイでもできる仕事、教えてクレメンス!」

「か、かしこまりました」


 これで合っとるんやろうか?

 働いたことがないからこれで合っとるのかどうかもわからん。

 でも、ワイにとってはかなり大きな一歩やった。


「薬草摘みとか、簡単な仕事でええんや」

「薬草摘み……ですか?」


 ワイが薬草摘みって言った瞬間、受付の女は不思議そうな顔しとった。


「薬草摘みだってよwww 何百年前の仕事しようとしてるんだよwww」


 ファッ!?

 どういうことや、薬草摘みの仕事ないんか?

 めっちゃ初歩的な仕事やけど……何もかも効率化されとるなら確かに薬草積みの仕事はないのかもしれん。


「に、荷物運びの仕事とか、そういうのでもええんやで」

「は……はぁ……」


 もしかして、荷物運びの仕事もないんか!?


 ワイは検索端末を借りて自分にできそうな仕事を探してみたんや。


『ナビゲーター:「薬草積みは自動栽培・自動採取魔法で完結。異空間収納があるから倉庫なんてないし、荷運びは浮遊魔法でやっとるからイッチの及びではないでwww」』

「ファッ!!?!?」


 人力でできる仕事なんて、ほとんど残っとらんかった。

 確かに、異世界もので「魔法があるのに原始的な生活しとるなぁ」と思ったこともあったけど、ほんまにこんな効率化されてて全く夢がないやで!?

 なんやねんこの異世界。


 そんな中、受付が渋い顔で呟いた。


「……一つだけ、あるにはありますけど……」


 それを聞いて、ワイはすぐに飛びついた。


「やるで!」


 ワイにできる仕事ならきっと簡単なはずや!


「内容は?」

「下水清掃です」

「ファッ!!?」


 なんでそれは自動化してないんや!!?

 1番自動化するべきことやろ!?


『ナビゲーター:「きっつい仕事は奴隷用にわざと残してるんやで」』


 なんやて!?

 なんて性格の悪い異世界なんや!!


 ワイの脳が一瞬止まった。


 やりたくないンゴ。

 めっちゃやりたくないンゴ。

 きっつい仕事やりたくないンゴ……けど――――アークたその“頑張ってね”が脳裏に浮かぶ。


 魔法の使えないワイにとって、これをするしかないんか!?


「……や……やるンゴ」


 ワイは精一杯勇気出して言ったんや。

 ワイにはそのくらいしかできないなら、それをやるしかない。


 でも、前世の面接みたいなのがないだけ楽やった。

 履歴書書いたり、面接したり、そういう手間がないのはこの世界の良いところやと思う。


「では、こちらにサインをお願いします」

「おかのした」


 ワイは自分の名前を端末にサインしたんや。

 これで正式にクエスト受注やで!!


【悲報】この世界、魔法で効率化されててワイの仕事がない




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