【超朗報】ワイ、アークたそと初デートする
朝。
ワイ、目が覚めてすぐ悟ったんや。
「……ワイ、そろそろアークたそとデートせな(使命感)」
アークたそとの好感度イベントがあってもいいんちゃうか。
夜会話イベントだけじゃ、なんかこう、物足りへんし。
『ナビゲーター:「イッチ、ほんまにおかしくなったんか? デートなんか応じてもらえるわけないやろ」』
「そんなん、やってみんとわからんやんけ!」
『ナビゲーター:「好きにせえや。せめて身体洗ってから誘った方がええで」』
ワイは洗面台代わりの桶に顔を突っ込んで気合い入れて身体を洗った。
洗剤みたいなんがなかったから、ひたすら水で身体を洗ったんや。
冷たかったけど、身が引き締まる思いやったで。
服までは洗えんかったけど……ワイ、この服しかもっとらん。
アークたそと一緒に服とか見に行ったら、ワイに似合いそうな服とか選んでくれるんやろか?
「よっしゃ! 行くで!」
『ナビゲーター:「まだ臭いままで草」』
「ファッ!? そんなにか?」
自分の服の匂いを嗅いでみたけど……確かにちょっと臭い気がするンゴ……
でも、これしか持ってへんし、これでいくしかない!
ワイはアークたその部屋のところに行った。
うぅ……デート誘うのってどうやるんや?
ワイ、女の子をデートに誘ったことないンゴ。
どんな感じで誘ったらええか分からへん。
そう思いながらアークたその部屋の前でウロウロ。
『ナビゲーター:「はよ声かけろや」』
「うっさいわ! なんていうか考えとんねん!」
ガチャ。
「どうかした? 真太郎」
「ファッ!!?!?」
ワイがノックする前にアークたそが出てきてしまったンゴ!
ど、どどど、どうしたらええんや!?
「とりあえず入りなよ」
アークたそが部屋に入れてくれるんか!?
ワイ、アークたその部屋入ってええんか!?!?
「お、おかのした」
ワイはアークたその部屋に入って、緊張したまま椅子に座ったんや。
アークたそはベッドでいつものように飴を舐めとる。
光が差し込んで黒髪がきらめくたび、なんかこう、ワイのSAN値が削れてく感じや。
怖い、でも綺麗。いや怖い。いや綺麗。いや怖い(無限ループ)。
「私の部屋の前でどうしたの」
飴を舐めながらアークたそは気力なくワイに聞いてきた。
ワイは勇気を振り絞ってアークたそに聞いたんや!
「ア、アークたそ……その、今日は予定とか……あああ、あ、あるん?」
「別にないよ」
「ほ、ほな……その、ワイも一緒に……どうやろ、デ、デートとか……」
「…………」
流石にデートって直球で聞くのは不味かったやろかと、言ってからすぐに後悔したんや。
アークは飴を口から外して、小首を傾げた。
「デート?」
「そ、そ、そそそそうや! 男女が互いを理解し合うための健全で純情な文化交流や!」
何をゆうてるんやワイは!?
『ナビゲーター:「健w全w純w情wなw文w化w交w流wwwww」』
「…………」
ち、沈黙が重いンゴ……!
ワイはもう逃げ出したくて冷や汗が出てきたんや。
それから「ご、ごめんやで」と言って逃げようとした。
「いいよ」
「ファッ!?」
「どこ行くの?」
ワイ、二度見。
ど、どこに行くか考えてなかったンゴ……どどど、どうしたらええんや!?
安価で決めるか!?
で、でもデートで安価なんか使ったらどうせろくなことにならないンゴ……
考えるんや! これだけは安価したらアカン!
そ、そうや。
市場とかそういうので、拾った財布に入ってた金貨でなんかアークたそにプレゼントとか買ったら好感度上がるんちゃうか?
「い、いいいい……市場とかどうや?」
「市場か。いいよ」
うぉおおおおおおおおお!!!
アークたそとデートやぁああああああ!!!
気張るでぇえええええええええええええ!!!
***
街の市場は朝から人だらけやった。
魚、香辛料、怪しい薬草、なんか喋る猫とか。
カオス極まりない感じやった。
わわわ、ワイ、こんな人混み普段来ないからどうしていいか分からないンゴ……!
ワイがおどおどしていると……アークたそは人混みの中でもスッと歩いとった。
人々が自然に道を空けるように見えたンゴ。
誰もがアークたそを自然に避けて通るんや。
そんなアークたその後ろについていくしかない。
これじゃ、全然ワイがリードできてないやんけ!
「何か見たいものでもあるの?」
「え、えーと……あ、アレや!」
ワイは咄嗟に露店の飴を指さしたんや。
屋台の一つで、えらいキラキラした瓶が並んどる店を見つけた。
看板には「世界樹の蜜を使った高級飴、1本銀貨3枚!」って書いてある。
「飴?」
これや! アークたそに飴プレゼントすればポイント爆上げやろ!
ワイは震える手で財布を開き、盗んだ財布に入ってた金貨を払ったンゴ。
「おっちゃん! この高級飴3本クレメンス!」
「くれめんす? お、おう……まいど!」
ワイは買った緊張しながらアークに差し出した。
「アークたそ、これ……」
「?」
「いつも飴舐めとるやろ? その……たまにはええ飴も、どうかと思って……」
アークは無表情で自分の舐めてた飴を口から出して、受け取った飴の封を切って口に入れた。
「ど、どうや? う……美味いんか?」
表情が変わらんから分からん!
でも、マズそうではない感じや。
ええ感じなんちゃうか?
「うん。真太郎も食べなよ」
「わ、ワイも食べていいんか?」
ワイにくれるってことはそんなに美味しくなかったってことなんか……?
「やっぱり美味しくなかったンゴ……?」
「美味しいかどうか、食べてみたら?」
かぽっ。
アークたそはワイの口に1本飴を口に入れてきたんや。
こ、これって「あーん」ってやつやろか!?
「っていうかうまぁああああああああ!!!」
なんやこの飴ぇええええええ!?
こんな美味い飴あってええんか!!?!?!?
市場が崩壊するでこれ!!?
「美味しい?」
「めっちゃ美味いンゴ」
「でしょ」
そう言ってアークたそは「ははははは」と笑っとった。
「ありがと、真太郎」
「っっっっっ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
アークたその「ありがと」にワイ、即昇天。
『ナビゲーター:「女に耐性なさすぎやろイッチ」』
でも、美味いンゴ。
嬉しいンゴ。
だって美女とデートしてるんやで!?
これ以上嬉しい事なんてないやんけ!!!
「アークたそは行きたいところないんか……?」
「そうだね……闘技場とか?」
「闘技場!?」
なんやそんな物騒なところあるんか!?
「この国は力の絶対信仰があるからね。真太郎知らなかったでしょ?」
「全然知らなかったンゴ。そ、そうなんか?」
「そうだよ。強いってことが絶対正義っていう価値観が根付いてるからさ、だから闘技場があるんだよね」
闘技場を見に行くって事か?
まぁ……異世界っぽい施設やし、派手な戦いが見られるなら言ってみたい気持ちもある。
ワイ、魔法とかと割と無関係に生活しとるから憧れはやっぱりあるんや。
「よっしゃ、じゃあ闘技場行くやで!」
「うん」
アークたそとルンルン気分でワイは闘技場に向かったンゴ。
***
闘技場に着いたら、観客席は超満員。
巨大な石造りの円形闘技場で、剣士や魔法使いが戦っとった。
ワイはテンションが上がってまって、目を輝かせてたんや。
「ちょっと出場してみようかな」
「ファッ!?!!?」
え、えええ? え?
見るだけちゃうんか?
参加するんか!?
ワイがめっちゃ戸惑っとる間に、アークたそは出場の受付を済ませてたンゴ。
「見るだけじゃ退屈だから。私も出る」
んで、ワイが見とる前でいつものワイシャツから軽装に着替えてきたんやけど……髪をしっかりまとめて仮面被ったんや。
「あ、アークたそ、なんで仮面被るんや? しかも髪までまとめて……本格的やな」
「匿名参戦だし。真太郎も出てみる?」
い、いや、ワイは無理やで!?
ワイは全然強くないし――――
「出るンゴ」
ファッ!?
なんでワイ、こんなこと言ってるんや!?
出たくないんや、嫌や、ワイは出ないンゴ!!
「そう。受付あっち」
「おかのした」
うぐぐぐぐぐ……出たくないのに……
アークたその前で見栄張ってしまったンゴ!
くそぉおおおおおおお!
出るしかないンゴゴゴゴ……!
『ナビゲーター:「バカスwwwww」』
「男ならデートで見栄張らないといけないンゴ!」
ほんまに出たくない。
ワイ、絶対ワンパンやで。
チートないんやもん。
この世界ご都合展開ないんやもん……!!!
「剣はご利用になりますか?」
「まぁ、剣でいいか」
「こちらが模擬戦用の剣になります」
受付嬢からアークたそは重々しい剣を受け取ってたんや。
「剣はそんな得意じゃないんだよね」
そう言うたけど、剣を持つその立ち姿は完全に歴戦の剣士やった。
『ナビゲーター:「“仮面の美女”とか、中二心くすぐるなぁ」』
「最高やで、アークたそ」
「じゃ、試合であたったらよろしく」
それだけ言ってアークたそは控室の方に消えて行ったんや。
【悲報】ワイ、嫁の前で見栄を張ってしまうwwwww【絶望】




