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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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【迷子】ワイの嫁、どこに行ったんや……?




 知恵の祠を破壊し終えた翌日、ワイとアークたそは次の祠への準備のため、大きな商業都市に空間転移で移動したンゴ。


 周りを見るとドワーフっぽいのが多かったんや。

 ずっと森とか強制労働施設とかにおったから、こんな異世界っぽいところは気分が上がるンゴ!


 アークたそは高級そうな宿屋の一室を取ってくれたンゴ。


 アークたそ、なんでそんな大金持ってるんや?

 別に働いている風じゃないけど……もしかして、ギルドの高額依頼を次々こなして一生に使い切れない程お金持ってるんか?

 でもアークたそはいつも飴舐めてるだけで何も食べてないンゴ。

 なんでやろ?


 でもアークたそが大富豪やとしたら、ワイ、完全に逆玉の輿やんけ!

 美人で強くて金持ちって最高やなアークたそ!


 宿屋の一室にワイを送ったアークたそは飴の舐め終わった棒を手でクルクル回しながら言ったンゴ。


「私は飴を調達しに行くから、先に寝てていいよ」


 あ、やっぱりその飴どこかから買ってるんやな。

 見た目はただのチュ〇パチャッ〇スやけど、アークたそのお気に入りなんか?

 そんなにうまいんか?


「おかのした! アークたそ、いってらっしゃい。ワイ、いい子で待っとるで!」


 ワイはアークたそに置いていかれる寂しさを感じつつも、「飴の調達」という強者らしからぬ目的にアークたその人間味を感じて安堵したンゴ。


 アークたそはいつも通りの冷たい目線で一言も返さず、空間転移で部屋から消えたんや。


 ワイは高級ベッドに飛び込み、優雅なニート生活を満喫しようと思ったんや。

 しかし、緊張と疲労でいつの間にか眠ってしまったンゴ。




 ***




 目を覚ますと、部屋の中は薄暗くなっていたんや。


 気がついたら夜や。

 宿のベッドで伸びしながらナビゲーターを見たら、なんか変な音してる。


 ピピピピピピピピピ――――


 ん?


『ナビゲーター:「やっと起きたんか。残り2時間46分09秒」』

「ファッ!?!?!?!?!?!?」


 寝起き一発で心臓キュってなったんや。


 カウントって、あの爆死カウントやん!?

 屋内に12時間いるとドカンする、あれやん!?


「なんでや! アークたそが爆死カウントを止めてくれるんやないんか!?」

『ナビゲーター:「アークは魔力制御ができるだけで、イッチの呪いそのものを解除できるわけではないで。恐らく、イッチから離れると魔力制御の範囲外になるんやろ」』

「う、うせやろ……」


 え?

 宿屋屋内扱いなのは分かるけど、アークたそおらんのやけど!?

 え、あれから結構経ってるはずや。

 なんで帰ってきてないんや?

 飴買うだけならそんなにかからんのとちゃうんか?


「アークたそ! どこや!」


 街は広いンゴ。

 どこを探せばいいか分からないんや。

 絶望と過去のトラウマがワイを容赦なく襲った。


 アカン、アカン!

 ワイ、また捨てられたんか!?

 メルたその時と一緒やんけ!

 ワイを便利に使って、飽きたら捨てる!

 デブニートのワイには、誰も本気になってくれへんのや!?


 アークたそも結局……


 ワイは正常な判断ができず、ただ泣きながら人混みの中をさまよったンゴ。

 爆死への恐怖と美女に捨てられた屈辱が、ワイの精神を極限まで追い詰めた。


 不安が胸の中でグルグルする。


 胸がギュッてなって、呼吸が荒くなる。

 ナビゲーターが何か言ってるけど、もう頭に入ってこない。

 ただ、走ったンゴ。

 走って、走って、気づいたら街外れに来てたんや。


 そこで、ワイは誰かに足をかけられて派手に転んだ。


 痛いンゴ……!

 手も足も顔も擦りむいて、血が出たんや。


「おい、そこのデブ野郎」


 見るからに怪しい連中がワイを囲んできた。


 な、なんや!? ワイ、なんも持ってないで!?


 そいつらは歯抜け、ボロマントと悪臭やった。

 ワイだって風呂キャンやが、こいつらよりはいい匂いするで!?(多分)


「や、やめてクレメンス! ワイは何も持ってないで!?」

「あぁ? なんだその変な喋り方、舐めてんのかぁ!?」


 そ、そんなこと言われても、ワイはこの喋り方しか知らないンゴ!

 ずっとネットに張り付いてたし、普通の人間と普通に会話したことなんてないんや!


「金目のもん置いてけ!」

「な、ななな、何も持ってないンゴ」

「その腕についてるやつ高そうじゃん、外して置いてけ!!」


 野盗たちは、ワイのナビゲーターを狙っていた。

 この世界では珍しい異世界の道具と見えたらしい。


 外した事ないけど、これ、外したらどうなるんや?

 口うるさいナビゲーターでも、いないよりいた方がええよな?

 アドバイスくれないけど、それでもアークたそ以外の貴重な話し相手や!


 野盗の一人がワイの腕からナビゲーターを無理やりもぎ取ろうとしたその瞬間……


 キィイイイイイイイッ―――!!!


 ナビゲーターから、けたたましい警告音が鳴り響いたンゴ。


『ナビゲーター:「警告! 本端末を所有者から強制的に分離しようとした場合、即時爆発するで!!」』

「なんだと!?」

「ファッ!?!?!?」


 お互いびびって手を離したんや。


 ワイは爆死の恐怖に震えながらも「リセットされる」という事象を思い出してちょっと冷静になったンゴ。


 アークたそと出会って祠を2つ壊したけど、それからワイは死んでない。

 チェックポイントがどうなっとるかわからんかったけど、少なくとも最後のチェックポイントはアークたそと会った後やった。


 リセットされるだけなら……


 もしアークたそがワイを捨てるつもりなら、ここで死んでリセットされればアークたそと出会ったところに戻ることができるんや。

 アークたそにワイが捨てられる原因があったなら、アークたそに気に入られるようにワイは変れるンゴ。


 ワイの心にはアークたそへの依存と、捨てられる恐怖からの逃避という、二つの相反する感情が渦巻いていたんや。


 そのときや。


 空気が一瞬、ビリッと震えた感じがしたンゴ。

 目の前の空間が急に歪んで――――


 アークたそが、そこに現れたんや!


 アークたその目線は極度に冷たく、一切の感情を欠いたものだった。

 滅茶苦茶怖いンゴ。


「私の奴隷に何か用?」


 その声には明確な殺意があったんや。

 ワイも含めて周囲の空気が一気に凍り付いた感じがした。


「ア、アークたそぉおおおおおおお!!!」


 ワイは救いの光を見たように、アークたそに向かって泣き叫んだ。

 アークたそは、野盗たちを一瞥しとった。


「手首の奴隷紋、誰の奴隷なのか分からなかったかな」

「あ、あの奴隷紋は……!」

「ずらかるぞ!!」


 野盗たちはワイの手首に刻まれた呪いの奴隷紋を改めて見た後、アークたその紅い瞳を二度見して、顔を引きつらせて一目散に逃げ出したんや。


 アークたそって有名人なんか?

 ワイの他にも奴隷がいるんか?

 浮気なんか?


 そんな考えがよぎったけど、アークたそが帰ってきてくれたことが嬉しかったんや。


「アークたそ……ワイのこと、捨てたんと違うんか……」


 おずおずとワイが聞くと、アークたそは冷たい視線のままワイを見た。


「飴を調達しに行くって言ったよね」


 声が凄く冷たかったんや。

 背筋がゾッとした。


 野盗よりアークたその方がずっと怖い気がしたンゴ。


 ワイが「許してクレメンス……」って小声で言って小さくなってると、アークたそは持っていた飴の棒を一本、差し出してきたんや。


「ファッ……?」


 え……え……なんや? くれるんか?


「落ち着きなよ。飴でも舐めてさ」


 アークたそがいつも舐めてる飴の包みを、ワイは受け取ってゆっくり開けて口に入れたンゴ。


 なんとも言えん甘い味しとるが、その飴舐めとったら妙に気分が落ち着いたんや。

 心がスッと軽くなる感じがした。

 体の奥に沈んでた焦りが、全部泡みたいに消えていった。


 ヤバい薬でも入ってるんか、この飴。

 それともプラシーボ効果的なやつなんか?


 アークたそはそれ以上何も言わずに飴舐めとった。


「あ、あの……ごめんな……」

「別にいいよ。大した手間じゃないからさ」


 ちょっとは手間やったって意味やんけ!


 気まずいンゴ……


 宿屋へ戻る前に、道端にさっきの野盗が落としていった財布が転がってたのを見つけてワイはこっそり拾ってポケットに入れた。

 中には金貨と、紙の束が入ってたんや。

 紙の束は紙幣やなくて、ただのメモみたいやった。


 ……なんかのリスト?


 名前らしきもんがズラズラと書かれとる。


 エルミナ=セラフィード

 文様:黄金の冠に涙(王冠と涙の形をした刻印)

 備考:神聖連合の残響。信仰者もまたその影響下にある


 ヴァロス=グラウド

 文様:黒鉄の鎖環(鎖を円状に結んだ文様)

 備考:旧王国の処刑人。魂拘束により現世に留まる


 リュミエ=カルネリア

 文様:緋色の花弁(花が崩れ落ちるような形)

 備考:血を媒介とする再生者。死を与えるほどに強まる


 ジオル=アークレイン

 文様:白き眼(中央に瞳孔を持たない白眼の文様)

 備考:大陸南部で観測された災厄。感情の欠片なし


 最後のリストの名前は滲んどってところどころしか読めんかった。


 ――ルカ――ィ――ス

 文様:読解不能


 その下に書かれてる備考に目をやって、ワイはちょっと固まったンゴ。


 備考:最悪な災厄


 ……?


 そのリストを見てたときにアークたそから声がかかった。


「帰ろう」

「お、おかのした……」


 胸の奥に、言葉にできないモヤモヤが残った。

 でも、飴の甘さで誤魔化されてた。


 ワイは野盗の財布に、この世界のさらに深い闇が潜んでいることを――

 まだ、知る由もなかったンゴ。


【歓喜】ワイ、嫁に捨てられへんかった! 不思議な飴もらったンゴwww




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