アークたそとの夜会話イベントや!
ワイとアークたそは森の近くでラブラブな時間を過ごしていたンゴ。
焚き火が、パチ、パチと音を立ててはじけとる。
アークたその魔法で屋内でもワイの爆死カウントが進まないように調整できるんやけど、アークたそはワイに合わせて外で過ごしてくれたンゴ。
食材を焚火で焼きながらワイは無心で食っとった。
虫やないものを食べられるワイは幸せやで!
横を見ると綺麗なアークたそが涼しい顔で飴を舐めとる。
アークたそを肴にワイは飯を食った。
アークたそを見てたらワイは無限になんでも食えるで!
ワイは焦げた魚を串の先でひっくり返しながら、これからのことを考えたンゴ。
アークたそは魔王を討伐してからどうするんや?
なんで魔王討伐したいんや?
「アークたそ」
アークはちらりとワイを見た。
焚き火の明かりがその紅い瞳に映りこんで、まるで炎そのものみたいやった。
「なんでアークたそは魔王討伐するんや? 魔王ってやっぱ悪い奴なんか?」
「……別に、理由なんてないけど?」
魔王が悪いやつやからちゃうんか?
それがテンプレやけど、アークたそは理由ないんか?
「へ? 理由ないんか?」
「別にないよ。世界も今のままでもいい。魔王なんて放っておいてもいいと思ってるけど、なんとなく暇だから」
アークはそう言って、口から飴の棒を抜いたんや。
その棒つき飴は何味なんや?
ワイも棒つき飴ほしいンゴ。
そんなことより、暇だからって理由で魔王討伐しに行くんか。
ワイの想像をはるかに超えてくるアークたそにワイは食ってた口が開きっぱなしで閉じなくなったンゴ。
「暇、て……いや、そんなことで魔王討伐に行く? 命懸けやで?」
「ははは、命懸けなのは真太郎でしょ。私は別に」
この人、平然とえげつないこと言うンゴ。
ワイ、唇を震わせながら焦げた魚をかじったんや。
うわ、焦げてるところ苦っ。
「目的がないと駄目なのかな」
カポッ……とアークたそはまた飴を口に入れる。
「ワイは……その……アークたそみたいな強い人って、なんか目的があるんやと思っとったんや。『世界を救う』とか、『誰かの仇を討つ』とか。そういうやつ」
「そういうの好きなんだ? 英雄譚」
そうや!
ワイはヒーローものも好きやし、異世界で俺THUEEEEEE!!! も勿論好きや。
正直、生きてる目的みたいなのがほしいンゴ。
前世でニートしてたときはただアニメ見て、ゲームしてたら楽しかったんや。
でもこの異世界はアニメもゲームもないし、目的もなんもない。
だから今はアークたその魔王退治っていう目的に貢献したい。
「まあ、子供の頃はそういうのに憧れたわな。でもワイはもう現実を知ったンゴ……努力しても運が悪けりゃ終わりや。せやからワイは運に任せて安価スキル頼みや!」
そう言ったら、アークは「ははは」と笑った。
あのクールな顔で笑うとなんかドキッとするンゴ。
笑った顔も美人やなぁ……
「運……ね。真太郎のその“アンカ”って、結局は運の化け物みたいなものだよね。全然ダメダメな真太郎がすっごい力を発揮するんだから凄い」
なんか貶されてる気がもするけど、でもワイの耳には「凄い」の部分しか残ってなかったンゴ。
「せやろ! けど、ワイからしたら便利なようで便利やないで? クソ安価ばっかやったら惨めな思いするし、12時間屋内にいたら爆死するからゆっくり寝てられないし、ワイ、ほんまになんもないんや」
「大変だねぇ」
アークは淡々と飴を舐めながら、まるで他人の不幸話を楽しむようなトーンで笑った。
ほんまに笑ってんのか、それともバカにされとるんか、わからん。
けど、焚き火の明かりで照らされたその頬が少し紅く見えて、ワイは変にドキドキしてもうた。
美人と焚火してキャンプみたいなの、最高やんけ!
「アークたそはなんで一人でおるん? 仲間とかは? 魔王討伐って他の人は狙ってないんか?」
「一人が気楽でいいよ。群れるの好きじゃなくてね」
「た、確かに。アークたそはかっこええな」
アークたそは強いし色々かっこいいのに、ワイは……
「人ってすぐ壊れるでしょ。それを何度も見ると、飽きちゃう」
え……?
それを聞いてゾワリ、と背中を冷たいものが走ったんや。
なんや今の言い方……人が壊れることに慣れてるみたいやないか。
けど、アークたそは「ははは」といつもの調子で笑っていた。
その笑顔がやけに綺麗で、逆に怖かった。
「でも真太郎は面白いね。普通の人間とは違うから」
え、ワイってアークたそにとって面白いんか?
確かに異世界に放り出されただけやし、この世界の普通の人とは違うかもな。
「そ、そうか? まあ、ワイは普通やない自覚はあるけども」
ワイはヘラッと笑うとアークたそもヘラヘラと笑った。
「真太郎の“死”は、何度でも繰り返せるんだよね。それって凄いじゃん」
アークの瞳が紅く揺れた。
焚き火の光を映しただけかもしれん。
でもその瞬間、ワイは本能的に「この人ヤバい」って感じたんや。
目が離せなかった。
危険なものを見たら目が離せなくなるようなあの現象に近い感じした。
でも、アークたそがワイを褒めてくれとる。
この人、やっぱええ人なんちゃう?
ワイを助けてくれたし、飯くれるし、笑ってくれるし。
ワイは火の粉を見つめながら、頭の中でそんなことを考えていた。
「アークたそ」
「んー?」
「ワイ、頑張るで。祠の破壊、ちゃんとやり遂げるンゴ」
「……そう。期待してる」
淡々とした声やった。
ほんまに期待してるとは思えんかったけど、その赤い瞳の奥に一瞬だけ何かが揺れた気がしたんや。
ワイに対する憐れみか、興味か、それともただの退屈しのぎなんやろうか。
ワイにはわからん。
でも、アークたそが美人なことには変わりない。
前世で「可愛いは正義」って言葉があったけど、まさにそれや。
アークたそは美人やから絶対正義や!
ワイに優しいところも絶対正義。
「ワイら、ええコンビちゃうか?」
アークは少しだけ首を傾げた。
「コンビ……?」
「せや! ワイが実働部隊で、アークたそが司令塔! 最強タッグや!」
そう言うと、アークは少しだけ考えるように目を伏せた。
そして、ガリッ……と飴を噛み砕く音がした。
「奴隷契約してるのに呑気だね」
「そ、そうやったわ。でもアークたそはワイに飯もくれるし普通に話してくれるやん。もっとこう……蹴飛ばされたり、殴られたり、そういう仕打ちを受けるのが奴隷なんちゃうの?」
「蹴っても楽しくないから蹴らないよ」
楽しかったら蹴るんか!?
なんか……しない理由とかする理由が人とズレてる気がするんやが。
これが不思議ちゃんてやつか。
不思議クールビューティー……
めっちゃ好きや!
「真太郎がやる気出してくれるなら、私はそれでいいよ」
「おおっ、やったで! ワイら最強コンビ確定や!!」
ワイはテンションが上がって両手を突き上げた。
ワイは初めて人との「絆」みたいなもんを感じて、胸の中がちょっと温かくなった。
『ナビゲーター:「都合のいい解釈乙」』
「うるさいンゴ……でも、ええやん。ちょっとくらい夢見ても……」
『ナビゲーター:「童貞が火遊びなんてしたら火達磨になるで」』
ど、どどどどど、童貞ちゃうし!!
【確変】夜会話イベント大成功や!




