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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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ワイの嫁は天才美女! ……のはずやったんやが ← 結果




 ワイは、アークたそに祠の中であったことを全部正直に話したンゴ。

 嘘ついても仕方ないし、黙っててバレたら余計怖い。

 それに、また同じことをさせられたらまた同じ結果になるやろ。


「――――……で、祭壇の前で鉄格子に阻まれて、壊せなかったし結界みたいなのに阻まれて出られなくなって、爆死したンゴ」


 アークたそは飴をコロコロ転がしながら、静かに首を傾げた。


「……ねぇ真太郎」

「な、なんやアークたそ」

「意味が分からないんだけど」


 その声のトーンがいつもより低くて、ゾクッとした。

 なんか怒られる感じや。

 ヤバい。

 めっちゃ怖いンゴ。

 ホラー映画よりアークたその方がずっと怖いンゴ。


「や……やから……ワイは爆死の呪いと、チェックポイントに強制的に戻される呪いがかかってるんや」

「…………」


 む、無言はやめてクレメンス!

 美人と何話したらええか分からへんし、黙ってるアークたそめっちゃ怖いンゴ!


「でも、祠の内部構造を知ってるみたいだし、嘘言ってる訳じゃなさそうだね」

「そ、そうやで! ワイ、爆死すると分かってたら祠の中に入らなかったンゴ! ほんまやで!」


 焦って一気にまくしたてたんや。

 アークたそはワイの方を向いてぱちぱちと目を瞬かせた。


「へぇ、便利な呪いにかかってるんだね。じゃあ真太郎、不死身ってことだ。死ぬけど。ははははは」


 そう言って笑っとるけど……笑顔が怖い。


「そ、そんな便利なもんやないで! 爆死したらちゃんと痛いんや! めっちゃ痛い! それに全然好条件やないんや……」

「ふうん。痛いんだ。大変だね」


 アークたそはまた飴を口に戻して、カリカリと音を立てながら聞いてる。


 なんやろ……聞き方が上手いなぁ。

 まるで聞く気がなさそうなのに、ちゃんとワイの言葉を拾ってくるんや。


「ワイな、これまでこの“安価は絶対スキル”で色んな苦難を乗り越えてきたんや」

「アンカ?」

「そうや、ワイがスレ立てすると、いろんな人がレスしてくれるんや。それで出た安価の通りに動く。なんやかんやで運が良ければ神安価が来て、奇跡的に助かるんや」


 アークたそは顎に指を当てて、考えるような顔をした。


「……面白いね。それってつまり“見えない神々”に導かれてるってこと?」

「か、神々というか……たぶんネット民やな」

「ねっと……みん?」


 アークたそは首を傾げる。

 その仕草が、妙に色っぽい。


 ワイは心臓が跳ねた。


 ワイ、美人と普通に会話してる……?

 アークたそ、ワイに興味持ってくれてる?


 ……これはリア充過ぎるンゴ!!

 ワイ、内心ウッキウキやった。


「じゃあさ」


 アークたそが唇を少しだけ舐めて、赤い瞳でワイを見つめた。


「祠の中に入っても、その“アンカスキル”でカミアンカってのを引かないと、真太郎は祭壇を壊せないんだ」

「せやな……でも、そんな簡単に神安価は引けへんのや」


 ワイは遠い目になった。

 これまでの苦難を思い出す。

 虫食ったり、変な踊りをしたり、全裸になったり、爆死したり……神安価って、ホンマに神やないと来えへん。


 そんなワイを見て、アークたそは「そうだ」と手を打った。


「その掲示板、私も書き込める?」

「え?」


 ワイは思わず間抜けな声を出してもうた。


 そ、そういえば、ワイはこのスキルの“書き込み元”をちゃんと知らんかった。

 アークたそが書き込めたら、もしかして神安価狙えるんちゃう?


「ナビゲーター! アークたそも安価スレに書き込めるか?」

『ナビゲーター:「無理やで。この即Sは元の世界の住人が書きこんでるんや。つまりアークは対象外や」』


 ワイ、がっくり。

 期待したワイ、かなりショックを受けたンゴ。


「……そうなんや。アークたそ、その神的展開は無理みたいや」


 アークたそは少しだけ残念そうに飴を舐める。


「結構面白いスキルだけど、もっと“運”のステータスが高くないとダメみたいだね」

「そ、そうかもしれへん」


 アークたそは棒付き飴を指先でくるくる回しながら、少し考えこんだ。


「……あ、そうだ。一時的に“運”のステータスを上げるバフをかけるっていうのはどうかな?」


 その天才的発想に、ワイの目が輝いた!


「流石アークたそ! 天才やで!」


 アークたそはニヤッと笑い、ワイの頭に手をかざした。


「じゃあ、少しだけね」


 そう言うと、紫色の光がふわりと降り注いだ。


 なんか……身体が軽くなったような気がする。

 運のステータスが上がったんやろか?

 っていうかアークたそ、そんなこともできるんか!?


「これで、かなりの強運になったはずなんだけど」

「マジで!? アークたそ、最高や!」


 ワイは勢いよく立ち上がった。

 今度こそ神安価を引いて、祭壇をぶっ壊してみせるンゴ!


 で……祠の前まで一気に行って、ワイは意気揚々と結界に手をかけた瞬間――――


 ズドォォォォォォン!!!!!!


 世界が真っ白になった。

 いや、ほんまに真っ白。

 脳が揺れて、骨がバラバラになっていく感覚がしたンゴ。


 な、なにが……


 痛い。

 熱い。

 爆散する感覚。


 次に目を覚ましたとき、地面に転がってた。

 煙が立ち上り、アークたそが棒付き飴をくわえたまま、ワイの顔を覗き込んでる。


 チェックポイントに戻った……!?


 な、なんでや!?

 ワイ、屋内にいたわけちゃうで!?


「どうしたの、放心して」


 アークたそは不思議そうな顔してこっち見てるンゴ。


「い、生きてるけど……なんで爆死したんや!?」


『ナビゲーター:「強力な魔力を纏って結界に触れたから、爆死したみたいやなww 雑魚すぎて草www」』


 なんやて!?!?!?!?!?


 バフは「強力な魔力を持っている」扱いになるんか!?


「先に言えや! 爆死したやないか!」

『ナビゲーター:「こっちに期待するなや。イッチの味方ちゃうで。情報は有料DLCや」』

「くっそぉおおおお……」


 有料DLC、絶対ワイが一生かかっても買えない値段やろ絶対!


「アークたそ……すまん、ワイ、祠入れんかったンゴ」

「……私、祠の話してないよね? なんで知ってるの?」

「は、はえぇ……」


 また一から説明せなアカンのか!

 ちょっと面倒臭いわ!


 ……でも、美女と何度も話せるのはええかも。

 美女と話す機会は貴重やからな!


 でも、ワイは震える手で頭を抱えた。

 つまり――――アークたその“運バフ”が強すぎて、ワイが祠に入れなくなったんや。

 運のステータス爆上げしたんに、なんでこうなるねん。

 完全に悪手やった。


『ナビゲーター:「イッチ、文字通り“運が悪かった”ってやつやなww」』

「うるさいわボケェ!!!」


 棒付き飴を口に戻しながら、アークたそはワイの顔を覗き込んだ。

 長い黒髪が風に揺れて、甘い香りがふわっとしてワイはドキッとした。


「なんか混乱してるみたいだけど、上手くいかなかったのか。じゃあ、次は……もう少し上手くやろうね、真太郎」


 なんの説明もしてないのに、アークたそ爆速理解すぎるンゴ!

 頭の良さがダンチすぎてヤバいわ。


 そう言い残して歩き出すアークたそを見つめながら、ワイは思った。


 ワイは結局どうしたらええんや?

 結局、神安価を引かないと祭壇壊せんやん。

 運のステータス爆上げしたら死ぬし、詰んだ!


 でも、ええわ。

 アークたそは美人やし、優しいし、たまに怖いけどそれもご褒美や。


『ナビゲーター:「次回予告:イッチ、懲りずに祠に再挑戦の巻! や」』

「やかましいわボケェ!」


 ワイはアークたその後を追いかけて歩き出したンゴ。

 くっそ……アークたそに助けられた直後やから、まだ身体中痛い。


【悲報】運バフ、物理的に爆発する




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