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【悲報】ニート ワイ、異世界でチートなし ~しかも1日12時間以上屋内にいたら爆発する呪いかかってるンゴ~  作者: 毒の徒華


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【歓喜】ワイの激かわヒロインがついに登場!




「うぅ……また、ここか……」


 ワイは森の中、絶望の中で空腹感に襲われた。

 このままではまたクソ安価で虫を食わされる。


 この回では食ってないのに、口の中にはまだあのカマカブトの生臭さが残っとる気がした。


「もう……安価は嫌ンゴ! 井戸に飛び込めとか、虫を食えとか、ろくなことにならへん!」


 ワイは安価は絶対のスキルを意地でも使わんと決意した。

 安価を使えば、また虫を食わされたり、人様に迷惑をかけたり、捕まったりして爆死するかもしれへん。

 ほんまろくなスキルやない!


「ワイ、もう虫は嫌や……意地でも自力で町まで行く!」


 ワイはそう決意し、飢餓と疲労に耐えながら町へ続く獣道を歩き始めたんや。

 森を抜ける道は過酷で、体力を急激に奪っていく。

 緩やかな登りでも体力のないワイにとってはかなりしんどいンゴ。


『ナビゲーター:「意地を張るんやな。大人しく虫食えばええのに。でも、その体力で町まで持つんか? もう腹減って動けへんやろ」』

「うるさい……! マッマに兵糧攻めされてたワイにとって飢餓なんて日常や!」


 そう言って自分を奮い立たせたものの、ニートの意地なんて飢餓の前には無力やった。

 何も食べてないワイの体力はかなり限界やった。

 食べないでこんなに動いたことがなかったけど、もうフラフラになってたんや。


 ドサッ……!


 森を抜け、平坦な道に出たところでワイは倒れ込み、徐々に意識が途切れてきた。

 全身から力が抜け、もう一歩も動けないンゴ。


「あかん……力尽きた……」


 疲れ切って寝るのとは違う感覚や。

 全身からスーッと力というか、魂的なものが抜けていくような感覚がしたンゴ。


 結局、虫を食わないと駄目なのか……ここでワイはここで死ぬしかないんか……?


 ワイの意識は深い闇へと沈んでいったんや。




 ***




 ワイが次に意識を取り戻したとき、まず感じたのはふかふかの感触と優しい石鹸の香りやった。


 うぅ……ここは天国か……?

 ワイはもう許してもらえたんやろか……?


 恐る恐る目を開けると、そこは清潔な木造の家の中やった。

 ワイは柔らかなベッドに寝かされとる。

 体には綺麗な布がかけられ、身体の泥の臭いは消え失せ、清潔そのものやった。


 そして、ワイの枕元には――――……


「ファ、ファッ!?」


 ワイは思わず飛び起きかけたが、背中の痛みで動けへんかった。


 そこにいたのは、ワイが異世界転生アニメで夢に見ていた、理想の激かわヒロインや!!!


 その女は森で見たポリコレ棒に殴られたような女やなかった。

 金色の髪をゆるく三つ編みにしとって、光に透けるような白い肌。

 瞳は澄んだエメラルドグリーンで、少し吊り上がった目元が、清楚ながらも意志の強さを感じさせる感じや。

 服装は白いブラウスに茶色のベストという素朴なものやが、その美貌は町中で見かけたどの女よりも異世界レベルで輝いとる。


 エルフやなさそうやが、金髪美少女はワイにとって最高の贈り物やったで!


「あ……目が覚めたのね。良かった」


 ヒロインが微笑むと、キュン死するかと思ったンゴ。


 か、かわええ……カワイイ! ワイの人生、ここで巻き返したんか!?


 い、いや! ここで油断したらアカン!

 ワイにとってこんなご褒美がこの世界にある訳ないんや!


「これ、ワイの夢の中か……?」

『ナビゲーター:「夢やないぞ。本物や。まさかイッチの前にこんなヒロインが現れるとはな」』


 ワイは目の前にいるヒロインに、ドキドキしっぱなしだったンゴ。


「あの……ワイは……」


 ヒロインは優しくワイの額に手を当てた。


 キュウウウウウウン!!!

 あわわわわわわわわわ


「森の入り口で倒れていたのよ。だから家まで運んできて、泥を落として身体を綺麗にしておいたの。心配したのよ」

「あ、あわわわわわわわわわ……ワイは、わわわ……」


 アカン!

 美少女に優しくされて全然言葉が出てこないンゴ!

 何を喋ったらええか分からへん!


「まだ動揺してるのね。私はメルティナよ。メルトって呼んでね」


 ヒロインの名前!

 メルティナたん!

 メルたそ!


 名前まで可愛いンゴ!


 ワイは完全に有頂天やった。

 激カワ美少女ヒロインに介抱されとる!

 これ以上幸せな事ないンゴォオオオオオオオオオ!!


 異世界最高ぉおおおおおおお!!!


 これや! ワイが待ち望んでた異世界転生はこれや!

 美少女に看病されて、ニート生活を続ける!

 ワイの理想郷や!


 ワイは完全にメルトに心奪われたンゴ。

 これは、運命の出会いや!

 間違いない!


 でも、この至福の時をぶち壊す、冷酷な現実がワイを襲う。


『ナビゲーター:「イッチ、爆死カウントが残り2時間29分やで。イッチ今屋内やぞw 悠長にしとったら爆死するで」』

「ファッ!? そうやった!」


 メルたその家の中で爆死カウントが容赦なく進んどる。

 ワイは背中が痛かったけど、そんなことを言っている場合ではなかったので飛び起きたんや。

 この美少女との出会いを絶対にリセットしたくない!


「あ、アカン! ワイ、外に出なあかん!」

「え、急にどうしたの?」

「メルたそ、信じられへんかもしれへんけど……ワイには、呪いがかかっとるんや!」


 ワイは意を決し、メルたそに告げたんや。


「ワイは……12時間以上屋内にいると、全身が爆発して死んぬ呪いにかかっとるんや!」


 メルたそはワイの言葉にかなり戸惑いの表情を見せたが、すぐにそのエメラルドグリーンの瞳を心配そうに歪ませた。


「え……そんな、なんで……?」

「……色々あったんや」

「そ、そんなこと知らずにベッドに寝かせてごめんなさい!」


 メルたそはワイを優しく信じてくれたんや!

 もうワイの異世界人生、完全に大逆転や!


 メルたそは、ワイを支えながら玄関まで連れ出してくれた。


「大丈夫? 本当に爆発しちゃうの?」

「そうや、恐ろしい呪いやろ? メルたそと会ったこの現実をワイは失いとうない。だから外にでるンゴ」

「じゃあ、私が時間になったら必ず声をかけるわ。それまで家の近くの木陰で休んでいてね。ご飯、今作ってるから」

「!!!」


 メルたその優しさにワイは歓喜に震えた。

 服も身体も清潔にしてもらえた。

 命の危機も、メルたそが解決してくれたンゴ。


 金はなくても、働く気もなくても、メルたそがおる!


 ワイの目には、メルたその家が最強のニートシェルターに見えた。

 メルたそに寄生して、ニート生活を続行する!

 やっと安住の地が見つかったンゴ!


 ここまでしてくれるってことはメルたそはワイのことを大好きに決まっているンゴ。

 まぁ、ワイ、痩せれば(きっと)イケメンやし?

 メルたそがワイに一目惚れしててもなんもおかしいことやないはずや。


「メルたそ……ワイ、一生ついていくで!」


 メルたその笑顔を見て、ワイは心の中でガッツポーズをしたんや。


 まずは……メルたそに迷惑かけへん程度に、メルたその家の周囲でニートさせてもらうンゴ!


【勝ち組】ワイ、ついに運命の嫁を発見したンゴォオオオオオオオオオ!!




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