47. 母は、思いの丈をお話ししたいと思います!
「何名様ですか?」
「2名です。個室、空いてます?」
「大丈夫ですよ! 今日は空いてるので! 2名入りました!!」
「何にします? あっ、私のおすすめは味噌です。秘伝の味噌を使っているらしいですよ」
「――――」
「どうかしましたか?」
「いや、女の人がラーメンとか、珍しいなと思って」
都会のバリキャリは、ラーメンとか普通に食べるのか? 友達と来るにしたって、店の雰囲気的に「男!」って感じだし。
この人……申し訳ないけど、友達とかいなさそうだし来るとしたら、きっと一人だよな……。
「ラーメンはすごく好きですよ! いっときは、毎日のようにラーメンを食べいたぐらいですから! あっ、もちろん凛が生まれる前の話ですよ!!」
「へえ……」
楽しそうに話す柊さんだったが、すぐに我に返って下を向いた。
「こんな話じゃなくて、もっと大切な話をしなきゃですよね」
「……あの日のことを、お話させてください。その後、答え合わせをしましょう」
あの日のこと、というのはきっと俺が凛を拾った日、そして彼女が凛を置いていった日のことを言っているのだろう。
「凛を置いて行ってしまったのは、凛の誕生日の数日前……」
「さっきも言った通り、あの頃はカツカツだったんです。いくら頑張っても成績は上がらなくて、何をしても上司は私を嫌って……みんな私の陰口を言って……最初は、頑張ってました」
彼女は氷の入ったガラスを指先でツンっと押す。
「だけど、限界を超えて……おかしくなって」
「しまいには、凛にあたってしまって、食事も与えず……最低な母親だった思います」
叩いて、睨みつけて、後になって、「ごめん、ごめん」って何様ですかって話です。
「だから、凛のために、そして、会社の人間のせいにして――――、消えてやろうと思ったんです」
彼女なりの、優しい表現で押し殺した最悪な心情。
「みんな私のことが記憶に残るでしょう? 自分がやったんだって罪の意識を植え付けたかった」
「……凛には、知ってほしくなかったので遠くの場所でと思って海外へ……」
「そうして海外に行ったら、今の社長がいましたと」
俺が補足を入れた。
「ち、違! 違わないですけど、何故わかったんですか!?」
「……なんとなくですけど」
「凜には今の話、絶対しないでくださいよ! 最後の社長の所とか、特に……」
「言うつもりはありません。凜が悲しみそうですし。まあ、許せない部分もありますが」
でも、凜は一度も言わなかった。凜なりに、色々分かっていたってことだろう。
「ていうか、社長と良い感じのなかなのに俺と結婚しようとか言ってるんですか?」
「社長とはそういう仲ではありません!! 女性です! 親友です!」
「え?」
てっきり、男なのかと……。
「ご、ごほん……」
「……それで? その話を聞いて、俺があなたと結婚すると思います? 確かに、色々心を揺さぶられましたけど、その程度では――」
「もう結婚するつもりはありません」
「え、あ……そうなんですか」
そこまではっきり言われてしまうと、ちょっと恥ずかしい。
「完全に脈なしっぽいので、そろそろ答え合わせをしましょう」
「私、多分答えを見つけました。なんとなくですけど、多分正解しています」
「……答え合わせ、っていったい何の話ですか」
「八雲さんの、本命の話ですよ」
彼女は、にやっと笑って、そう言った。
みなさまこんばんは!夏神ジンでございます!!元気ですか!?今日も何とか書ききることが出来ました!!よかった!
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