44. お義父さんはお母さんと……デートします……
「っぐ、ごえ……」
思わず、俺は吐いた。
「ええ、龍之介さん大丈夫?」
「……大丈夫です。乗り物酔いしやすくて」
てめえがギリギリのを予約してたから酔い止め変えなかったんじゃねえか!
という心の声を押さえ。
「……これ、どこに向かってるんですか?」
「東京です。やっぱりデートと言ったら、東京かな?って思って」
「……なるほど、貴方らしい単純思考ですね」
「ひどいっ、未来のお嫁さんになるかもしれない人に向かって!」
一瞬で景色が移り変わる新幹線に乗って、二時間ちょっと。
ようやく俺は、乗り物酔いから解放されたわけだが。
それにしても空暗いな。
「もう夕方じゃないですか」
「大丈夫です。私にもとっておきの手が!」
「まさか、ホテルとか……そういうのじゃないですよね」
「違いますよ~! そんなわけないじゃないですか! 子供にはつまらない、大人のデートをするんです! まずは着替えなくちゃですよね!」
俺を上から下まで見る、柊さん。
「そのスーツ、結構前から着てるんじゃないですか?」
「え?」
まさか……俺の服選んでくれるとか? 東京で?
凜が小さい頃は、やっぱり遠出は難しくてずっとユニ〇ロになってたな。まあ、私服は別になんだって着れればいいんだけど、スーツはな……欲しくなる。
――――なんて、少しでも思った俺が馬鹿だった!
「龍之介さん、これなんて……どうですか?」
うふっと笑って、服を見せる。
「……そんな胸丸出しの服は、あんまりに合わないと思います。ていうか、そんなチャイナドレス、どこに着ていくつもりですか」
率直な感情を、しっかりと述べた。
「そんな~っ! いいじゃないですか、この後のディナーにでも……」
ドレスから足をちら見させる。
「見せないでください。汚らわしい」
「ひど~いっ、じゃあ……これはどうですか?」
カーテンを閉じて、数秒で着替えまた見せてくる。
そしてカーテンを開けると。
「―――――早くカーテン閉じてください」
今度は、一枚の布をキャミソールみたく着たような、これまたセクシーなドレスだった。体のラインが良くわかる。他の部分にはある程度皺が寄っているのに――――お尻だけ。
お尻だけめちゃくちゃ皺がないのが……すごく。
「すごく嫌です。早く着替えてください」
「あれれ、一瞬私のお尻めちゃくちゃ見てたのに、いいんですか?」
「そういう挑発もやめてください。引っ叩きますよ」
「龍之介さんになら……全然いいのに」
「――返答に困ること、言わないでください。いいから着替えて」
柊さんの肩をほんっっっの少しだけ触って、フィッティングルームに押し込む。
「はあ……」
俺はため息をつきながら、フィッティングルームの目の前にある椅子に座った。
「……別に、自分の為の服を買うだけなら俺が来なくてもよかったのに」
ぼそっと、小さ目の声で言ったつもりだったが、案の定聞こえていたらしく。
「違いますよ~! 誰かに見てもらいたかったんです」
「そういうことは、本当に好きになったい人とやってください」
「……恋愛において、その感情ってそれほど必要なものですか?」
思わぬ返答に、なんと答えていいかわからない。
「――――さあ。でも、そう簡単に結婚とか、付き合うとか……俺にはそういった考えがないですね」
悩みに悩んだ末に、思いついた一言がこれだった。
「……わかった。龍之介さんには、好きな人がいるんですね」
「はいっ!?」
何故そこに結びつく!?
「それもとーっても、私に近いところに」
「なんでそれを!! あ」
「適当を言っただけなのに、当たっちゃいましたね」
「龍之介さん。今日の最後に、答え合わせをしましょう? 最後の最後まで、心が動かなかったら、私の負けなんですから。それぐらいしてもいいでしょう?」
「……もうそろそろ他の場所に行きましょうか。まだまだ、やりたいことがたくさんありますから!」
着替えを済ませ、元に戻った柊さんが姿を現した。
時に――ワァ、ワァ、ワァ、ワァ、でツボっている、夏神ジンでございます!万年筆のインクが今日届きました!嬉しくて書きまくりました!うれっしんご!
ぜひぜひブックマーク、コメントよろしくお願いします!




