34. 転校生の可愛い姿が、露わになってしまいました!
「――――なんか、近くない?」
アナスタシヤは凜によしかかるようにして、飲み物を選んでいた。あんなにもいじわるをして、敵意剥き出しだったのに。
「き、気のせいアル」
アナスタシヤはそのことに全く気が付いていなかったようで、凜に言われて少し離れた。
「……いや別にいいんだけど」
だって、敵意がない方がこちらとしてはありがたいから。
凜が素直に気持ちを伝えれば、また先ほどのように、凜によしかかる。
「お、おしるこ?……欲しいアル」
こちらのおしるこ、180円。
おしるこのくせに、案外高い。
まあ、もともとアナスタシヤの分しか買うつもりはなかったし、いっか。
「押していいよ」
「えっ、ほんと? やったぁ!」
……かわいい。
凜は、密かに思う。ただ、自販機のボタンを押していいと言っただけなのに。
再びベンチに座る二人。
「おお……!」
おしるこの缶を色々な角度から見て、喜ぶアナスタシヤ。
初めてなのかな……。
凜がその様子を黙って見ていると、アナスタシヤの蓋開け合戦が始まった。
「っむ……」
開かない。
「っむ、むむ……」
やはり開かない。
力を入れ過ぎて、指先が赤くなっていく。
「あんなに強いのに、缶開けられないんだ」
途端に顔を真っ赤にさせる、アナスタシヤ。
「凜が開けるアル!」
アナスタシヤから渡されたおしるこを、一瞬で開ける凜。
それを見て、さらに恥ずかしくなったのかアナスタシヤはさらに顔を赤くさせた。
「私はこれでも柔道、拳法、レスリング、そして――サンボ! で強いアル! ユーカにも勝ってるアルよ! ロシアで二番目に強いアル!」
なんでもできるすごい奴アル! と自慢げに言う。
そりゃ、強いわけだ。感想ももらう。「どこのギャグ漫画」かと。
「じゃあ、アナスタシヤが大好きなユーカに電話するよ。アナスタシヤが会いたがってるよーって」
凜は、そこにあった公衆電話を指差した。
「だ、だめアル! 絶対ダメ!」
「なんでそんなにだめなの?」
それまで饒舌だったアナスタシヤは、口を閉じた。
「……に」
「に?」
ぐぬぬぬぬっと、言っていいのかわからないor言いたくないのどちらかの顔をしている、アナスタシヤ。
これは、話してくれ無さそうだ。
「じゃあ、優香の話をしてよ」
「ユーカ?」
「どこで出会ったかとか」
凜が優しくそう言うと、すぐに明るくなるアナスタシヤ。
「私とユーカは、中華人民共和国で出会ったアル!」
ちゅ――中華人民共和国……。
「なんで、中国?」
アナスタシヤは、ロシアの人だ。凜は、てっきりロシアで二人は出遭ったのかと思った。
「それは――――昔、パパが仕事で一週間ぐらい中国に行くことになって、その時いつも見送るばかりだった私を何故か連れて行ってくれたアル」
「だけど、私は冒険が好きだったから初めての街並みにわくわくして、いつの間にかパパとはぐれてしまって、そしたら――――」
『お嬢ちゃん、家に来ないかい?(中国語)』
大きなおじさんは、小さなアナスタシヤを見下ろし声をかける。
『いやあっ! しらないおじさん、なに言ってるのかわかんない!(ロシア語)』
アナスタシヤは怖がり、大好きなクマのぬいぐるみを抱きしめながら後ずさる。
『怖がらなくていいんだよ~。おじさん怖い人じゃないんだ。君の瞳を見て、きゅん! ときただけなんだ。かわいいね……あお~い瞳……肌も真っ白でもちもちしてて……もしかしてロシアから来たの?』
『いや、いや! こっちこないで!』
おじさんがアナスタシヤに手を伸ばす。
『いやああああっ!』
その時、右から何かが現れる。
さっそうと現れたのは、ロケット――――ではなく子供。黒帯の柔道着姿の子供は、自分よりはるかに大きいおじさんの頬を蹴る。
『ぐっああああああああああっ!』
強烈な蹴りが頬に当たった瞬間、おじさんは一キロ先まで飛んで行った。
『……え?』
おじさんの姿が突如見えなくなって、何が起こったのかわからずアナスタシヤはその場にしゃがみ込んだ。
『だいじょうぶ?』
ロケットのように飛んできた少年……のような女の子が、アナスタシヤに手を伸ばす。
瞬間――――。
「恋に落ちたアル」
一通り改装を終えたアナスタシヤが言う。
みなさんおはようございます!夏神ジンでございます!
元気ですか?私はそこそこ元気です!やはり眠いですね!ねむすぎてびっくりです!あとスマホで打つの大変ですね!めちゃくちゃ誤字ります!
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