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32. ロシアの石油王系美少女は、実は怖がりなんです!!

「しまったぁぁぁぁぁぁぁああああああッ!」

 と言って、アナスタシヤはブロック塀の上を走っていく。



「待っ……て」

 足――――速っ!


 速すぎる。

 新幹線のようなスピードで走り去っていき、凜が追いかけようとした時にはすでに姿は見えなくなっていた。


 この間の制服バリバリ事件(※エピソード27参照)でも思ったが、アナスタシヤの身体能力は、異常だった。 

 

 やはりロシアだから? コサックダンスで鍛えられているのだろうか……。

 凜は、遥か彼方を見上げながらそう思う。

 

 アナスタシヤが向かったのは、ちょうど山のほう。

 いつの間にか、黒猫もいなくなっていた。


「――――はあ」

 山なんて、登りたくない。普通の女子高生は、多分登りたがらない。多分、虫多いし。



『絶交、だかんね!!』

 優香の言葉がよぎる。



「……仕方ないか」



 凜は、あきらめて登ることに。





 その頃。

「――――こわい、こわいよ……ママ、パパっ!」

 

 アナスタシヤは、泣いていた。

 とっさに山に入ったものの、山なんて経験がなくとても恐ろしかった。

 

 昨日まで雨が降っていたのか、地面はドロドロしていて歩きにくくアナスタシヤはすでに泥で汚れていた。

 体は汚れ、足もつかれてしまった。

 

 バサッ。


「きゃっ!」

 ただ、鳥が飛んだだけ。

 それだけでも、アナスタシヤからすれば恐ろしい。いろんな音が、あたりから聞こえてくる。

 それは、人が出す音じゃなくて、野生の生物がこの近くにいることを知らせる音だ。

 

 薄気味悪い森。空も曇ってる。出口もどこかわからない。

 アナスタシヤにとっては、周りにある木々や動物は兵隊のようで恐ろしかった。

 恐ロシア! なんつって!


「はっはっは! なんて言ってる場合アルか!」


 なんとか自分を恐怖から逃がそうとおやじギャグを言ってみるも、全く役に立たない。



「……熊が出たら、どうしよう」

 アナスタシヤは怖くなって、とうとう歩けなくなってしまった。


「……どうしよう、どうしよう。ママ、パパ……死にたくない……」




「っは……」


 大きな物音――――草木を掻き分け、歩く音が聞こえて、熊だと確信した。

 

 耳を塞ぎ、うずくまり、木の陰に隠れた。


 最後はやはり――――神に祈るほかない!


「……オーチェ、ナーシ(私たちの父よ)……オーチェナーシ……」

 願っても願っても――――どんどん、どんどん、近づいてくる。


「オーチェナーシ、オーチェナーシ……っ!」

 もう――――だめかも……。

 大粒の涙が、祈る手に落ちる。

 

「……ママ、パパっ、私は悪い子です……っ! 人に意地悪をしました、これはきっとそのツケが回ってきたんですっ……あんなことしなきゃよかった……っ! ごめんなさい!……」

 願えど願えど、やはりその祈りは聞かれない。


「ごめんなさい……ごめんなさいっ」




 その時。


「――は」


 足音がしん、と止んで――――そして。




「――みつけた」


 誰かがそう、つぶやいた。

みなさんおはようございます!今日も生きて帰りたい!

うえいうえいおうおうおうです!

ぜひぜひブックマーク、コメントよろしくお願いします!!


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