いつか……遥か遠くの過去。
目の前にいる先輩は僕を見上げる。
僕の手に握られていたのは金属バット。
背後で笑うのは、僕をいじめていた奴ら。
仕方がなかった。
僕がやらなければ、やられるのは僕の方だ。
僕がバッドで殴られて、僕が傷ついて、僕が苦しむ。
そんなの、嫌だ。
嫌なんだ。
だから、先輩を傷つけるのは悪いことじゃない。
僕がやっているのは、いけないことなんかじゃないんだ。
自分が傷つかないために、誰かを傷つけて何が悪い。
すでに打たれたアザがある。
僕はまだ叩いちゃいない。
背後で笑うアイツらが、叩いたせいでできた傷。
僕がやらなくても、きっとヤツラは傷つける。
だから、何も変わらない。何もおかしくなんてない。
なのにどうして……振り下ろすことができないのだろう。
僕に怯える先輩、背後では叩けと急かす声。
2つに板挟みになった僕は、どうしたって決断ができなかった。
焦りに焦ったその時に助けてくれたのは、生まれてくれたのは、誰でもない黒だった。
狂気的な顔をしながら、いじめできた奴らを苦しめる。
叩き、落とし、潰す。
それはもはや仕返しではなく、ただの愉快犯のような。
その場の誰もが、その悪魔に恐怖する。
二度と刃向かえぬように、手を叩き潰す。
二度と立ち向かえぬように、足を潰す。
いじめてきた奴らは床に落ちるナイフのように、抵抗する意思すら消えた。
最後に、二度と血が栄えぬように。
魂を潰そうとしたその時。
僕から血が流れ出した。
胸から流れ出す血を抑えようと、必死になるけど止まらない。
誰が僕を後ろから刺したんだ。
そう思って振り返る。
そこにいたのは誰でもない、何かにひどく怯える先輩だった。
震える手に握られていた血の付いた刃物を見て、僕は確信した。
「なんであんたが……」
記憶は途絶えた。
つーぎでおーわりつーぎでおーわり。禁断開放れでぃごぉー!




