最終決戦の後に。
「それで、生け捕りにしてきたというわけだ」
あれから一時間くらい。
今更になってやっと到着した、全知なんとか神と合流した。
「生け捕りだけど、手足をもいだも同然の状態だよ。なんせ、超能力はこの中にあるんだから」
そう言って僕は、手に握り込んでいた星型の小さな欠片を見せた。
背後に積まれている、次元クリスタルの欠片の山ではなく、こちらを見せたのには理由がある。
覇道道正から剥がした次元クリスタルの欠片は、数だけはものすごい量だったのだが、たった一つだけ違うものがあったのだ。
形は綺麗な星型で、強い輝きを放っていて、この欠片からだけとてつもない力を感じ、無数の欠片のうちの一つだと考えるにはあまりにも不自然過ぎたのだ。
さきほどの奇跡のような力の残りで、カディアと一緒に、この欠片に封印を施した。
念のために、他の欠片にも封印を施したのだが、全知なんとか神は僕のこの判断が少々不服なようだ。
「して少年よ。なぜわざわざ封印を選ぶ?こんな危険なもの、破壊してしまえばいいではないか」
「全部砕こうとも思ったよ。だけど、それ以上に嫌だったんだ。愛で意思を壊すなんて、あっちゃいけない気がしたから」
封印を施して力が消えたあと、眠ってしまったカディアを見て、自分の意思を再確認する。
ただでさえ慣れてない力に触れ続けていたのに、欠片全封印……なんて、かなりの無理をさせたんだから、後で静かな怒りに襲われるぐらいの覚悟はしておこう。
「それに、砕いてまた面倒なことになったら嫌だし!」
前者も本音だがこちらも本音。
力の結晶を砕いたから、暴走して前次元滅びましたー……なんてことになってもおかしくないし。
すこし冗談みたいな話し方をしたのだが、割りとマジに心配しているのだ。
「それはそうと、少年。願いは決まってるのかね?」
「……願い?」
「一度経験したってのに忘れちまったのかい?願いだよ!使命を果たした時の報酬の!」
願い……願い……あっ、そういやそうだった。
いろいろありすぎて、いろいろ忘れてた。
って、これ使命だったの!?
「ほら……早くしてくれないか?私も暇ではないのだよ」
「なにが暇ではないーだよ。ここまで大変な事態になったのは、お前が変なのを僕に施したり、来るのがめちゃくちゃ遅かったのも原因なんだかんな?」
「不満を愚痴る暇があるのなら、その頭を願いを考えることに使いたまえ。ちなみに私は意外と短期だ」
それ一番偉い神様としてどうなの???
って、そんなことより願いだよ願い。
今度はどんな願いにしようかなーっ!
……とはいえ、実質的に覇道道正に破壊されたあれこれを全部もとに戻して!一択なんだよなぁ。
帰る家がないってのは、流石に困るし。
「えーっと、覇道道正に殺された人や神、あと破壊されたものを全部もとに……」
「戻せばいいのだな?承知した!」
「……っと!!」
僕は、ちょっと前のことを思い出して、全知なんとか神に待ったをかけた。
「なんだ?他の願いがいいのか?帰る世界もないんじゃ不便だろうに。それともまさか、転生前の世界に帰りたくなったとか……!」
「違う違う。全部元通りは据え置きで、もう一つ叶えて欲しいのがあるんだ」
全知なんとか神は、そんな欲張りな僕の言葉を聞いてバカみたいに笑った。
「二つとは!少年よ、意外と欲張りさんなのだな。しかしだ少年、叶えられる願いは……」
「一つだけ。だから、二つまとめて一つの願いにすればいい。どっかの誰かの入れ知恵ってやつ」
全知なんとか神に続くように僕は言った。
ちょっと前に教えてもらった裏技。
今ここで使わずして、いつ使うと言うのだろう。
「まったくその誰かとやらは、面倒なことを教えてくれたな。一度の使命で二つの願いを叶える私の身にもなってくれ」
ちょっと前の発言がブーメランしとるぞコイツ。
「それで、願いの続きは?叶えてやるから早く言ってくれないか?」
「えっとね……」
僕は願いを伝えた。
「難しいな。輪廻の輪をくぐっていないのならば可能なのだが……」
「それでいいよ。たぶんその人なら、ちゃんとお灸をすえてくれるだろうから。ダメそうなら、天界のトイレ掃除100年の刑にでもしといてよ」
「……わかった。その願いを叶えよう」
全知なんとか神は少し迷った後、なんとか承諾してくれた。
なんやかんやでちゃんと神様してるところは、好感持てるんだよなコイツ。
「ほれ、叶えてやったぞ。全員まとめて向こうに送り返すから、さっさと準備するといい」
「はや!演出も何もないしノータイムが過ぎませんかね」
「全知最高全能神をナメてもらっては困る。ほら、さっさと準備しなさい」
カミノに比べて、願いを叶える速度が速すぎてわけがわからなかったが、そういうものだって事にしておこう。
やっぱ全知なんとか神ってすげぇ(棒)。
「ケーキの山にダイビングぅ……」
カディアの幸せそうな寝言が聞こえた瞬間、僕らは全知なんとか神の力で何処かへと飛ばされたのだった。
あとは消火作業って考えると気が楽。




