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究極の光

「何が……何が起こったってんだ!?なんなんだよあの光は!」


僕たちは、攻撃を打ち消した。

僕らが生み出した可能性の光に、不可能なんて存在しない。

たとえ、僕らの側しか照らせなくても、その光はどこまでも遠くに届く。

暗闇の中に咲く一輪の花。

僕らは今、輝いている。


「そんなもの!その程度の光なんぞでぇ!」


次元クリスタルは、得体のしれない光に向かって、総攻撃を仕掛ける。


無限とも思えるほどの数を誇るメルヘン軍団を突撃させ、僕らを次元ごと切り裂き、思いつくあらゆる方法で、僕らを攻撃した。


しかし、僕らには届かない。


軍団は光に押し負け、吹き飛んだ。

次元を切り裂かれようとも、僕らには届かない。

どんな方法だろうとも、僕らに到達することはなかった。


「なんなんだ……あれはなんなんだ!おかしいだろ!なんで、カスが二人並んだだけで、あんな力が出せんだよ!一人じゃ何もできねぇやつが、二人並んだところで、何も変わるはずはない!変わらねぇのが正解なんだ!それが、どうしてあんな光を生み出せるってんだ!」


「親愛なる神よ。アナタには、あれが何かわからないのですか」


そう問うたのは、飛竜に乗り、槍を持って敵を討たんとする、無限のうちの一でしかない、ただの兵士だった。


「教えろ。貴様らのようなコマに理解できて、唯一神となろうとするこの俺に理解できないものは、一体何なんだ!」


「愛ですよ。一点の曇もない、相思相愛のラブの結晶。純愛です」


神が必死になって問うその質問の答えを、兵士は当然のように知っていた。

しかし、神は知らない。

それがどんなものなのかを、微塵も知らないのだ。

神が覇道を通して見てきた景色の中に、写っていたはずなのに、神は気づいていなかったのだ。


「そんなものが、力になるはずないだろうが!」


「それこそ、愚問です。愛には、無限の可能性が秘められています。それに勝る力などありません」


初恋に当てられた兵士は、一人の女性が脳裏にうかぶ。

彼女と喧嘩してから、しばらく口喧嘩の絶えない日々を過ごしてきた兵士。

しかし、

その思いを確かめるために、今一度彼女を一目見ようと、首からぶら下げたペンダントを開く。


「私はなんと愚かだったのだ。認め合い、分かち合うことが大切だと、なぜ気付けなかったのだろう……。我が愛しのフィアンセよ。戻った時には、私の方から謝ろう……なればこそ、死ぬわけにはいかなくなってしまったな……」


兵士は覚悟を決めると、光の中へと一直線に飛び込んだ。

彼の瞳は、死を求める死神の黒に染まることなく、生きると決めた、希望の光に満ちていた。


「ぐ……グググググウウウウウウウウ!そんなものが、そんなもので、この俺が……負けていいはずないだろぉがぁあああああああ!」



なにが起こったのかは、僕にだってわからない。

ただ一つわかるのは、この光の正体が可能性エネルギーってことだけ。

僕とカディアで生み出した無限に近い可能性エネルギーが、僕の力のせいで具現化したのか、それとも、他になにか要因があるのか。

わからないけど……わからないけど……!


「今この瞬間、僕たちはなんだってできる!」


「いきましょう狂命。アナタの成すべきことを果たすために!」


カディアと共に、一歩、一歩と次元クリスタルへと近づく。

突撃してくる武器は消滅し、次元攻撃は届かず、突撃する兵士たちは、光の中に入った瞬間、武器が消え去り、戦う力だけを削がれ、僕らを避けながら墜落していく。

その様子を言葉にするなら、戦いのない世界の体現者。

戦うことを否定しながら、ただ成したいことのために前進していく。

身勝手であり、ワガママであり、しかしまっすぐなその理想論は、戦場を無価値に変えた。


「なにが……なにが……なんなんだよお前は!お前はなにがしたいんだ!」


「僕は……助けたいんだ」


「……は?」


「僕は、覇道が憎かった。世界を壊して、カディアを悲しませたアイツが憎くてたまらなかった。でも、気づいたんだ。誰かのための復讐なんてなくて、結局、復讐なんてのは、自己満足の1通りしかないんだって」


僕に続いて、カディアが答える。


「それを認められないのなら、復讐なんてやめなさい。それを認められたのなら、後悔しない道を選びなさい。私達にとって後悔しない道は、誰かを救う道だった。例え、私達から全てを奪った相手を助けることになろうとも、自分で選んだ道に後悔はありません」


僕たちは二人だ。

辛さも、幸せも、苦しみも、喜びも、分かち合える。

それが、恋の先。

恋愛が成就した先にある、二人の可能性。

無限通りの可能性が織り成す、茨の道。

それを僕らは、二人三脚で進み続ける。

たとえどんなことがあろうとも、縁が切れぬ限り、どこまでだって行ける。

それが、愛し合うってことだから。


「やめろ……やめろやめろやめろ!何が愛だ!何が助けるだ!憎いだの、復讐だの、後悔だの、所詮は人間の考えだ!俺に押しつけるんじゃねぇ!俺は人間なんかじゃねぇ!俺は神だ!神羅万象全てを超えた、最強で最大の存在なんだぞ!お前らみたいなカスは、黙って俺に従いやがれぇええええええ!」


一瞬のうちに、まわりが神秘的な空間へと早変わりする。

この神秘的な空間には見覚えがある。

ここに来る道中にみた、次元と次元を繋ぐ道の外観とほぼ一致する。

僕らがいた次元を剥ぎ取られた……ってことなのか。

兵士たちが底へ落ちないように足場を作りながら、僕らは空中に留まり続けている。

そんな僕らを見て、次元クリスタルは最後の一撃と言わんばかりの形相で、攻撃を仕掛けてくる。

先程剥いだ次元そのものを一点に収束させ、ビームのように打ち出した。

ビームは僕らを狙って真っ直ぐ進み、通った空間を歪ませ、崩壊させていく。

そしてそのまま、抵抗しない僕らを簡単に包み込んだ。

僕らを消し飛ばした……と、勝利を確信した笑い声。

しかし僕らは生きていて、この一撃を利用した。

僕らを包み込んだビームは、膨大な破壊エネルギーの塊。

これを全て、再生エネルギーへと変換し、解き放つ。

崩壊した空間も、剥がれたはずの次元も、全て元に戻っていく。

落ちかけていた兵士たちも、全て定位置に戻っている。


「そんな……そんなバカなことが……!?あって……あってたまるか……あってたまるかぁあああああ!」


先程よりも大きなビームと共に、無数の暗黒が放たれる。

無数の暗黒はミサイルのように、ビームを追うように迫る。



「終わらせよう。アイツを救いだす」


「終わらせましょう。もう何も、恐れはしません」


決意を固めた瞬間、僕らから放たれた光。

強く大きな優しい光。

暗黒を晴らし、ビームの破壊エネルギーを消滅させながら、次元クリスタルを飲み込んだ。


「ぐぅ……!?……ククク……クハハハハハハハハハ!俺の攻撃を押し返すなんて、どんな攻撃かと思ったら、俺は痛くも痒くもねぇときた。拍子抜けだよ……とんだ欠陥品だ!」


「痛くなくて当然だ。これは殺すための力じゃない。

力を消しさる光だ」


次元クリスタルの腕にヒビが入る。

光に耐えきれなくなった力の結晶が、砕け始めたのだ。


「なんだ……!?どうなってやがる!?痛くないのに、痛みがないってのに、どうしてヒビが入ってやがる!?」


次元クリスタルは、覇道道正を覆うように発生した結晶。

その結晶だけを消し去ることができれば、中の人間だけを生かすことができる。

そんな神業が、今の僕らにならできる。

こんな一度限りな力でやることが人助けなんて、少しもったいない気はするけど、それぐらいが丁度いいのかもしれない。


「ヒ……ヒビが全身に!? まさか、これで終わり……?この俺の伝説が……これで終わりだってのかよ!?そんなの許されていいはずがない!許されるものかぁあああああああ!」


こうして、突如現れたぽっと出のラスボスは、チリ一つ残す事なく、完全に消え去った。




やっと倒せたわ。ほな、後はトントン拍子に済ませてきましょうね〜

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