戦いの後。最後の影。
「ここは……私は……」
目を開くと、ぼやけた視界がだんだんと正常に戻っていく。
どうやら私は、眠ってしまっていたようだ。
目の前にいるこの男は……確か……!?
「返せ!それは私の!」
男が持つ宝石を見て、私は今までの全ての出来事を思い出す。
目の前のガキに負かされ、力をはじき出された。
あの宝石は私の力そのもののはずだ。
取り返さなければ。あれは私の全てなのだから!
掴みかかろうと迫る私とは逆に、ガキは抵抗するでもなく、宝石を私に向かって下投げしてきた。
とっさに私はそれをキャッチし、自身の胸に押し当てる。
出てきたところに戻そうと必死で押し当てる。
それで力が戻る。またあの力が手に入る。
そう思って、ただひたすらに押し当てた。
しかし、宝石が私の中に戻ることはなかった。
「なぜだ!なぜ戻らない!これは私の力なのに!」
「もうお前のじゃない。誰のものでもない。その力は、誰も受け入れはしない」
「そんなはずはない!これは私の力だ!私が全てを犠牲に手に入れた力なんだぞ!」
そうだ!これは私の力なのだ!私の失った力を、ただ取り戻そうとしているだけだ!
何も間違っていない、何もおかしくなんてない。
私は正しい……正しいんだ!
「その力で、お前は何をしたかったんだ?」
何をしたかった……だと?
「私は最強になりたかった!あの憎き国が羨むほどの、誰一人として敵となりえない究極の力を得たかった!そしてそれは……それは……何のために……」
何のために……。
ーーーーー
目を疑った。
あの惨劇から何年だっただろうか。
私はまた、あの国へ足を運んでいた。
復讐のためだ。
私を裏切った国を、そして姫を殺すために、私は再びこの地へ舞い戻った。
「すまなかった!私は……私達はあの時、君に酷いことをしてしまった!」
「王が死んでから気づかされたよ。力が全て………なんて思っていた自分が恥ずかしいぐらいだ」
しかし、ここは変わっていた。
変わり果てていた。
力を信仰する怪物から、ただのヒトになっていたのだ。
「私は……私は……」
その現状は、私の復讐が意味を失い、今の私を否定する。
私は、自分がわからなかった。
それからのことはよく覚えていない。
気を失ったか、錯乱していたのか定かではないが、気がついたときには国は滅んでいた。
「なぜだ……なぜ国が燃えている?」
目の前に落ちていた、ぴくりとも動かない姫を見て、酷い恐怖に襲われ、私は自分が怖くなり、姫を抱き抱えて泣いた。
「復讐は終わったはずなのに……何もかもが変わってしまったのに……なぜ全てが焼けている!
私が……私を否定したから、私の意味を消したから……弱いままでいいだなんて、綺麗事をほざくから!私が……私を……見失ったから……!」
どうして私は泣いているのだろう。どうして私は笑っているのだろう。
ただ私は、叫んでいた。
横たわる姫の頬に涙を垂らして、ただ必死に叫び、ただひたすらに後悔の海に沈み続けていった。
私は……私は……!
ーーーーー
私はすでに、失っていた。
目指す理由も、生きる意味すらも、全て。
私は、覇道道正はあの瞬間に、終わったのだ。
その瞬間を、どうして忘れていたのだろう。
どうして今更、それを取り戻してしまったのだろう。
「私は……認められたかった。復讐なんて、最初からどうでも良かったんだ。あいつらに、姫に、認められたくて、それで力を求めたはずなのに……なんて無駄なことを……」
全ての意味を失った。
犠牲は全て無駄だった。
後に残るのは、殺戮者の烙印ただ一つのみ。
こんな事するべきじゃないって、わからないはずはないのに。
記憶なんてなくたって、わかっていなきゃならないはずなのに。
どうしてこんな事を……私は!
ヨクヤッタ。アトハ、ボクニマカセテ、ネムレ。エイエンニナ。
私はその声にゾッとした。
どこから聞こえてきたかも分からない。
誰なのかさえわからない。
しかしなぜか、私はその声の主を知っていて、私はそれに一番近しい人間のはずなのだ。
だがわからない。
次の瞬間、私は全て理解した。しかしすでに、遅かった。
ボクトヒトツニナレ!
その声の主は、私の手の中からアメーバのように広がると、抵抗する私を丸呑みしてしまった。
イナイレ発売日とチキンレースする予定だったのに、勝確が決まったせいでついに萎えてしまった。
が、ちゃんと戻ってきたから許して。
追記
一律修正。今回の過去回想を大幅に変更しました。
主に姫のせい。




