終わりにしよう。これが最後だ。
真似っ子野郎。
燃える中でその言葉が心に響く。
僕はただ、その言葉を嫌悪した。
否定はできない。だけれども、否定したくなる。
矛盾はない。ただ否定したかった。
矛盾はない。ただ正しいと思いたかった。
矛盾はない。そう思いたかっただけだった。
白は真似っ子野郎だ。
カディアを蘇らせたその日から、白は真似っ子野郎になった。
黒のように戦いたい。黒のようにすれば負けない。
ただそれだけで、彼は黒を演じ続けた。
それが絶対に勝つ方法だと思っていたから。
それが絶対に負けない方法だと知ってしまったから。
本当の自分をさらけ出さずに、ただ演じ続けた。
それでも通じなかった。
黒に。
空回りな優しさで。
きっと誰かを傷つけた。
後悔し続けている。
自分の言葉と偽ったから。
だから謝りたい。
後悔を断ち切って、前へと進みたい。
僕だって諦めたくない。
諦める事をしたくない。
どんな時でも前をみたい。
たとえ俯いてしまっても、明日には笑っていたい。
何一つ偽りのない、本当の自分をさらけ出していたい。
たとえ自分自身を信じられなくても、どこまでも信じ続けていたい。
それが大切な事だってどうして忘れていたんだろう。
だからおしまい。
白も黒も関係ない。
僕はどこまでも僕なんだ。
勝ち方は知っている。
炎を抜け出しまっすぐ前へ。
走るでもなく飛ぶでもなく、ただまっすぐ直線に。
僕は黒を殴り飛ばした。
驚いた表情を見せる黒。
ただありえないと言う前に、再び攻撃を仕掛ける黒。
どんな攻撃だったかは関係ない。
ただ白はまっすぐ黒を殴り飛ばした。
何も関係ない。
絶対に破壊できない壁も、絶対に切れる刃でさえも、届く前に乗り越える。
白は気づいたのだ。
ここでの戦いは全部茶番にすぎないことを。
なんでもできるのなら、なんでも可能なのなら、自分の拳を「あらゆるものを乗り越える拳」にすればいい。
この場での戦いの結論は、小中学生の子供の喧嘩でしかない。
これが勝負の答えだった。
そしてその勝者も必然。
諦めなかったほうが勝つ。
それに気づいた黒も、「あらゆるものを乗り越える拳」で対抗する。
拳がすり抜け、互いの頬に直撃する。
体はよろけようとも、拳は死なない。魂は燃え続ける。
黒が殴り、白が殴り、黒が殴り、白が殴り、黒が殴り、白が殴り、黒が殴り、白が殴り……。
そこにファンタジーなんて要素はなく、ただひたすらにヤンキー漫画の一コマのような、そんな泥臭さがある。
そんな、なんてことのない喧嘩にしかみえなかった。
叫びがきこえる。
熱い声が木霊する。
心が、思いが、命が、拳が、魂と一つになって叫んでいる。
子鹿のように震える体を、ただ相手に向かって一歩一歩とムチを打つ。
そしてもう一度、拳が頬に届く。
「なんだよ。やっぱり、まぐれなんかじゃねぇーじゃんか……」
ぐらついて倒れる黒を、限界の体でただ見続けることしかできなかった。
それが勝者だ。
諦めなかったのは……僕だ。
「僕が勝ったんだ」
全身の力が抜けるように、勝者と思えないほど不格好に、僕も倒れた。
追記
当時の私は究極の病み期だったため、とてつもない爆弾後書きを書いていたのですが、流石に見るに耐えなすぎて後書きをファイナルフラッシュしました。
一応、誰にでも見せられる一文だけここに残しておきます。
それでは。
「あー、養ってくれる彼女欲しい」




