あきらめない。あきらめたくない。それでも僕はあきらめない。
「うるせぇなぁ。こまけぇこといちいち気にすんなよバカが。それに、俺はお前と違って頭がいいから、もっとすんごい使い方出来ちゃうもんねぇ!」
僕が使っていたことを知ってか知らずか、黒は僕を面倒くさそうな目で見下ろしながらそう言って、姿を消した。
視界からフェードアウトする瞬間が見えたので、高速移動の類なのだと考えられるが、一番重要なのは「すんごい使い方」が何なのかという点だ。
何をする気なのかはわからないが、この状況で僕ができることはせいぜい、何が起きてもいいように身構えておくことただ一つ。
なぜなら、電子レンジの効果範囲に囚われている限りは、他の全ての行動は無意味だからだ。
それどころか、マイナスに働くことだって考えられる。
一応時間さえあれば脱出までは可能なのだが、それに必要な時間をアイツが与えてくれるとは思えない。
ゆえにリスクを犯してまで脱出するべきではないのだ。
この電子レンジ空間では、様々な情報が不規則に到達する。
電子レンジをチンすることで意図的に発生させられるラグの影響なのだけれど、詳しい話はほとんど省く。
とにかく今は、聴覚も視覚も数手前の情報を送りつけられる状況であり、感知したその時に一瞬で対策を思いつかなければ死にかけるというだけだ。
いや、「攻撃を受ける」という状況を作られた時点で戦意を削がれるわけで、この戦いに置いてとんでもない大ダメージになるわけなのだから、死にかけるだから回復できる……だなんてのは言わないでくれ。
そもそも「回復できる」から「死にかける」で済むというカラクリなのだから精神的ダメージが一番の有効打になるのだ。
まあ言ってしまえば、これはローマのコロッセオで行われていた決闘ではなく、サッカーとか野球とかバスケとかみたいな、死が想定されていない戦いなのだ。
音が聞こえる。
何かが弾けそうな音だ。
そして、聞こえたということは、すでに弾けているということになる。
視覚が音を追うように、正面に光景を映し出す。
目に映り込んだ状況は、ただ丸い玉がぽつんと一つあるだけだった。
他には何も見えない。
いや、右端の方にもう一つ玉がほんの少しだけ見えた気がする。
形も色も全く同じ、ただ丸い玉がぽつんとあるだけ。
たぶんまだあるんだろうけど、確認できるのは2つまで。
視界を左に広げれば、きっともう一つくらい見つけられるような気がするけど、動かせない以上観測できるのは2つまでだ。
そしてさっき聞こえたのは、目の前の玉が弾ける音。
そこまで結びつけたのなら、あと知らなければならないのはなぜ弾けさせたか一つのみ。
弾けた理由は考える必要はない。
この空間であることを前提にそれを考えれば、無限に存在する可能性を1つずつ考えなければならなくなる。
それに時間を割く暇があるのなら、今わかることを考えた方が効率がいい。
さて、玉が弾けるというところから連想ゲームをしてみよう。
弾けるといえば、爆発。
弾けるといえば、破裂。
弾けるといえば、……etc。
この中で一番ダメージになりそうなのは、たぶん爆発。
破裂も考えたけど、どう考えてもどこぞの吸血鬼が思いついた処刑方の方が痛そうだし強そうだったから、わざわざやる必要無くない?って思ったのでパス。
だから、今考えるのは爆発。
なんてったって、爆発なら爆風がついてくる。
この空間なら、爆風に特化した爆弾を作ることだって可能だし、その形も花火みたいに変幻自在だ。
だからこの腹を焼くような熱い風は、きっと爆風なんだ。
……。
………?
なにかおかしい。
今、僕はなんて言ったんだ?
腹を焼くような熱い風って言ったのか?
ならもしかして、爆風はすでに到達していたってことか?
だから僕は、狙いが爆風だって気づけたのか?
ならどうして僕は、ぜんぜん痛みを感じていないんだ?
……違う。感じてないんじゃない。まだ痛みがきていないんだ。
先に爆風がとどいたって結果だけが来て、その時に感じる痛みはまだ届いていないんだ。
視界に捉えている玉はまだ爆発していない。
今まさに爆発しようとしている段階だ。
玉の隙間から漏れてきている鋭い光がその証拠。
右端に見える玉はまだ、爆発の兆しが見えない。
つまりこれは、同時ではなく連鎖する爆発……?
正面の玉がついに爆発する。
それと同時に走る激痛。
元々裂けていた腹から吹き出る血。
切られたことに気づいた体が、傷つけられたことを自覚したのだ。
その直後に体を縦に切り裂くような熱い風。
おそらく次弾の爆風が僕の体を切り裂いた。
今度は痛みだ。しかし二重。
二重のうち一つはさっきの爆風。
もう一つは未来の爆風。
すでに体感した爆風。
しかし結果が到達するより先に、痛みが到達した……?
まずい、なにも予測できない。
四方八方からの爆風による攻撃。
しかしそのパターン不規則でバラバラ。
しかもそのダメージは工程がめちゃくちゃになって伝わってくる。
まるでというか、この拷問のような痛々しい光景を狙っていたということなのだろう。
痛い。そう口に出る前に、新しい痛みが襲い続ける。
それでもまだ大丈夫。
僕はまだ詰んでない。
痛みが襲い続けるのなら、それが恐怖となり得るのなら、その元凶ごと破壊してしまえばいい。
その方法だって思いついてる。
だけど、その発動までにかかる時間はあまりにも長すぎる。
電子レンジのせいだ。
だから僕がやるのは二つ。回復と打開策。
それも永遠に感じてしまいそうな時間の中で、痛みと諦めを耐えながら、絶えず常にやり続けなればやらない。
それでもまだ大丈夫。
きっと僕はやれるはず。
大丈夫。僕はまだ負けてない。
44話の後書きですが、高い評価催促してるみたいで嫌だったので削除しました。
あそこで伝えたかったことって、高い評価貰おうと低い評価貰おうと萎えて他のことやりだすよっていう自虐だったんです。
ですが、文章力が無さすぎたり、アーマード・コアネタをぶち込んだりした結果、そう見られてもおかしくないやばすぎる特級呪物が完成してしまったんです。
つまりクソみたいな文章ってことです。
すいませんでした。
最近はソシャゲやソシャゲやアニメにはまり込んだせいで、日本海に沈んでたとしか思えないくらいに低浮上でしたが、なんかうまいぐわいに戻ってきたので、あとちょっと頑張ります。
たぶんまた沈みます。




