スタート。オーバーダッシュ。
「決着って……変な冗談はよせよ。そんなことしたって、どうにも……」
右頬に痛みが走る。
たった一瞬の、突然の事だった。
痛みだけなら一瞬だった。
だが、痛みを感じた場所から落ちるように流れる何かが、これから僕がなさなければならない事を、懸命に伝えてくる。
それでも僕は、それを信じ切ろうとはせず、ただ疑念として残すだけにとどめ続けた。
黒の指でっぽうの先端から出る白い煙を見るまでは。
「俺は本気だぜ。俺ならわかんだろ?」
その指先から放たれた弾丸は、僕を殺すと宣告するための威嚇射撃だったんだって、いやってくらいに教え込まれる。
もはや僕に逃げ場はなく、戦う以外に生き残るすべは……。
いや、戦おうとどうしようと、ここから出られない以上は死んだも同じだ。
つまりこの戦いには意味がない。
それでも……それでも……きっと戦わなくてはいけない気がする。
それはきっと、確かめたいからなんだ。
僕が黒に勝ったのは、本当にたまたまだったのかってことを。
だから戦う。
それがたとえ、どんなに些細な動機だと思われようとも、無駄だとしても、僕の体は戦わずにはいられない。
「フェアにするために、じょーほーてーきょーしてやるよ。この空間の中じゃ何でもできる。可能性エネルギーを使った時みたくな。それもノーリスクでだ」
「なら一人で出ればいい。そうしなかったのは出来なかったから……だな?」
俺と合体しなければ覇道には勝てない。
だから合体に固執したとも考えられるが、そんなの引っ張ってでも無理やり連れだした後でどうとでも説得すればいい。
そもそも、アイツは例え一人になっても戦いに行くはずだ。
それすらしようとしないのは、どう考えても出来ないからだとしか考えられない。
「さすがは俺だ。よくわかったな。この空間は何でもできる代わりに、あらゆるものに体制を持っている。だから最強の合体にワンチャンスかけようとしたんだってのに……」
「関係ない。君が僕に挑むのなら、僕だって君に挑むだけだ」
それを聞いた黒はニっと笑い、突撃の体制をとり、楽しそうに語りだす。
「いいぜ……奇妙な関係ってのは嫌いじゃねえ……。ただ今は存分に殺しあおう……あの時みたいにな‼」
言い終えると同時、黒は見馴れた高速スピードで、一瞬で間合いを詰めてきた。
となれば狙いは接近戦。
こちらも対処したいが、この距離じゃ防御は間に合わない。
後方への回避行動も考えたが、先手必勝の原則で戦いの主導権を握られると動議。
安択はかえって身を亡ぼす可能性がある。
となれば僕がするべきは、攻撃を回避しつつ主導権をにぎれる選択。
そして、僕の戦いの記憶の中にはその答えがある。
この空間なら、それを再現……いや、それ以上のことができるかもしれない。
だからやる。やってみる。
やりたいと思ったことを全部……黒にぶつける!
それぐらいじゃなきゃ、黒に勝てるビジョンなんてミノムシサイズだって浮かばない!
「ファーストアタックいっただきぃ!主導権ごとお前を握りつぶしてやんよッ!」
巨大な手の幻影が、俺を握りつぶすその前に!
「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」
「!? 消えた!?」
今、僕は黒の視界から消えている。
「」の中の空白の時間の中で、僕はすでに抜け出している。、
そしてその「」の中で、僕はすでに攻撃を終えている。
僕は、すでに幻影ごとやつを切断している。
無限の加速という全てを焼き切るスピードで、僕の足は凶器と化し、蹴りで奴の腹を焼き消した。
時間を置き去りにした攻撃だったせいか、黒自身は気づいていても、体が気づいておらず、今だ繋がっているように上半身が浮いている。
「加速……だけじゃねえ。それだけなら、俺が攻撃の瞬間を見失うことすらありえねぇ! 何しやがった……なにしたんだって聞いてんだ!」
僕の、今すべての行動は、コンマ数秒どころか時が進むより速く、それすらも超越していた。
止まった時間の中ではすべてが無力。
そして、その中ですら自由を許された力の複合。
出来た……無限の加速と時間操作の複合……名づけて、|時間の超越者≪タイムオーバー≫。
この攻撃が、僕の……この戦いのファーストアタックだ!
「」
追記
全く意図していなかったのですが、高い評価をねだる内容と捉えられてもおかしくない書き方をしていたため、自分の判断で削除しました。
どう捉えられてもおかしくない内容に、意味不明のタイミングでアーマード・コアネタを突っ込んだ僕を許してください。
すみませんでした。




