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神・最終決戦。Ⅱ

あの転生者の言葉が、私の怒りを呼び覚ます。

その怒りが、私の記憶を呼び覚まし、私の体を熱くする。

完膚なきまではもう終わりだ。今のでどうでも良くなった。

ただ貴様を倒せれば……それでいい!


この高ぶりは……今だけは……あのフザけた男を殺すまで……静まることは決してない。


「殺す……貴様だけは絶対に」


「何逆ギレしてんだ低次元。殺されるのはお前の方だ」


そう言ってすぐに、転生者は動き出す。

きっと私に攻撃するつもりなのだ。

しかしだ。私は怒りに囚われたとはいえ、冷静さを完全に欠いたわけではない。

この距離でその速さなら、十分に対策はできる。

ならば自分から行く価値はない。


愚策だったな転生者。

そのまま貴様の動きを封じ、一撃で絶命させる。


だが、爆発により虚無とかした場所に差し掛かったその時、転生者は突然消えた。


私の頬が殴られた。

なんの前触れもなく、二つの事象が連続して起こった。

私の思考は、乱されつづけていた。


この頬の感触は拳。

何者かの拳が私の右頬を襲ったのだ。

誰かはわかる。あの転生者以外誰がいる。


だがどこから私は殴られた?

私の目は、光を超える速度を誇るヤツの動きを完全に捉えていたはずなのだ。

時を止めた……いや、今の私ならばそれすらも認識できるはず。

ならば気づかれずに近づくことは不可能だ。

まさか衝撃だけを私の正面に送り込んだのか?

いったいどう……やっ……て……?


常識を覆えされた衝撃で、私の思考は止まった。


やつが虚無から現れた。

今までの思考が全て無駄だと言わんばかりに、ヤツは直ぐ目の前にいた。

不可能だったはずの可能性が、たった今目の前で起こっている。


なぜ。どうして。どうやって。

ただこの三つが頭の中を回り続ける。


ただ一つ。わかることがある。

ヤツの表情は、当たり前だとばかりに平然としていた。

つまり、少なくとも狙ってやったのだ。


勢いで吹き飛ばされてなお、私の思考を支配する。

次にあれが来ても私はかわせない。

だからこそ、支配されていなければならない。

他の攻撃の対処をしつつ、あの攻撃の仕組みを理解しなければならない。


「なぜ」


無意識のうちにそうこぼれてしまうほど、わからない。


「お前、気づいてないのか? あれが虚無だってこと」


あれ……とは、先程までヤツとの間にあった何もない空間のことだ。

そんなこととうに気づいている。

だから私は、あれを虛無と呼称した。


「なんだ。気づいてるのか。じゃあどうして、気づかない」


私は何も答えない。私は今、聞き返そうとした。

聞き返すということは、私からヤツに仕組みを聞こうとしたということになる。

そんなこと、あってはならない。

敵から入れ知恵をこうなど、断じて受け入れぬ。

絶対に、だ。


「何もないということは、あってないようなものだ。トリミングされた映像のように消えただけ。ならその両端に繋がっていた道は地続きになる。理解する必要はない」


地続き……だと?

いや、そんなことはどうでもいい。

後で理解すればいいからだ。それよりも、最後の言葉。

まさか、私の言葉か?

言い返したのか?

そのためだけに教えたのか?

情報を教えて優位を捨てるための行動が、ただそれだけのためだと……?

どこまで私を侮辱するのだ!

この男は!


星一つほどの大きさを誇る、巨大な瞳のような裂け目が背後に現れる。

怒りを込めて作り出した超次元の入口だ。

この次元に存在する生物全てが、神話級の怪物共だ。

私を絶対的な神として崇める世界として作り出したため、必然的に私の命令には絶対だ。

つまりは生きるファンネル。

その星に生きる生命は一億を超える。


それを同時に捌き切るなど不可能。

そして対処に手間取る間に更に新たな超次元を開き続ける。

物量作戦でならば、この私に勝る者は誰一人していない!

たとえ貴様であろうともな。


「さあ、どうする転生者。言っておくが、私は兵を無限に作り出せる。物量で勝つのは不可能だ。ハッタリと思うのなら試してみるか?」


「必要ない。十分たりている」


は?


背中が焼けるように熱い。

違う……本当に焼けているのか……?

いずれにしろ、今の一瞬のうちに、私の背後で何かがあった。

私は、それを確認しなければならない。

だがなぜだ?

なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ!?


体がそれを、拒絶している。

振り向くことを拒んでいる。

それだけのことを、させてすらくれないというのか!?


わかっているんだろう?


自分の意識が問いかけてくる。


振り向けばお前は戦意を失う。だからお前は拒んだ。

拒絶しているのはお前自身だ。


私が、拒絶している……?

そんなはずはない……そんな事があるはずがない!

私が……私がそんなことを思うはずがない!


わかったぞ……お前はあの転生者だ。

私の行動を制限し、心に直接語りかけ、戦意を削ごうという魂胆なのだろう?


そう思うのならば好きにしろ。

私は私の意思に従うまでだ。


錠がかかったかのように動かなかった体は、私に勢いよく背後へと振り向く。


超次元が……焼けていた。


「戦意を削がないように忠告したつもりだったが……どうやら無駄だったようだ」


あれは、確かに転生者だった。

しかし、その目的は戦意を削ぐためではなく、戦いを続けようとする意志を持たせるためだったのか……。 

その目的は恐らく……私がやろうとしていた以上に、完膚なきまでに叩きのめすため……。


「なぜだ……なぜそこまで怒る。その並々ならぬ殺意はなんなのだ!罪なき人を殺したからか!?世界を崩壊させたからか!?なぜそこまで私を憎むのだ!」


「お前は殺しすぎた。俺が助けた奴らのことも、ラーラのこれからも、俺の家族も……だがそれ以上に、ただ一つが全ての怒りを凌駕した」


怒りに燃える表情で、全身を引き裂こうとするほどの重たい声が、私を追い詰めていく。

逃げたいという意思を必死に抑えつけ、ただ逃げられないと教え込まれるその圧に私は押され続けた。



……………………



そして俺はただ一言。覇道を串刺しにする勢いで、言い放った。


「お前が世界を崩壊させたという事実が!お前のエゴに父親が巻き込まれたという結果が!カディアの心をただ深く傷つけた!覇道道正……俺が怒りをみせるのは……この怒りをぶつける相手は……テメェただ一人で十分だッ!」


だから俺は、お前を殺すと決めたのだ。

たとえそれが、明日に繋がらなかったとしても。

俺は殺すと決めたのだ。






最後の最後で視点が狂命に戻ってきたということで、次回は狂命視点で始まります。


ちなみにですが、実は三章のお話は思いついてます。

ですがたぶん、ラスボス倒したらまた新しく作って一話からやってくと思うので、しばらく空けて他のことしてるかもしれないです。


ちなみに二章もまだ終わらんよ。

だってまだ舞える!まだ舞えるから!


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