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1.まだ続いたよ

目覚めた後、善組織の基地に向かう途中、立ち止まらなければいけないほどの事実に直面した。


「大……幹部ゥ?」


俺と向き合う少女の口から告げられたのは、まだ戦いが終わらないことを示唆するものだった。

そんな少女の名はカディア。ロングヘアーな白髪美人の彼女の正体は、善組織という、超能力者を使って悪いことを企む悪組織を止めるべく戦う組織のボス……の娘である。

様々な戦いを経て、というより直近3戦のあれこれを経て、俺は彼女に恋をし、そして告白し、現在は彼女の返事待ち。

それは、怖いようで、楽しみなようで、やっぱり怖いのだけど、すぐは無理と言われた以上、急かしたってこまらせるだけなので、俺は気長に答えを待つことにしている。

さて、紹介が終わったところで本題だ。

俺はこれまでの戦いで、悪組織幹部を7人撃破している。そして、そのうちの五人は幹部の中でもトップクラスの実力者でNo5と呼ばれるような存在であった。ゆえに、他にも幹部がいるのでは問題は置いといて、実力的にはあと残すはラスボスのみ……だと思っていたのだが。

カディア曰く、その認識は、実は違っていたらしいのだ。


「知らないのも無理はありません。あなたが捕らえて連れてきたカーラという幹部を尋問した際に、初めて発覚した新事実なんですから」


えっ、最高戦力みたいな奴らなのに、幹部から聞き出して初めて出てきた情報なのそれ。


「きっと、なぜ今まで出てこなかったのか疑問になってると思います。彼女曰く、大幹部の五人はどこで何をしているのかも不明であり、それゆえに、一部の幹部以外の人間からは、ただの伝説だと思われているのだとか」


「そんなことあるのかよ。だって、自分の組織の階級なんだぜ?」


「10年前に起こったとされる、都市消失事件を知っていますか?」


カディアの問いかけに答えるため、頭の中の記憶を探りに探る。

しかしそんな大事は、探す必要もなく頭の中に存在していた。

なぜならその事件は、今でも誰かに語られるほどに、衝撃的な惨事であったからだ。


「それってあれか? 名のある大都市が、ある日突然綺麗さっぱり消えたっていう……って、まさかそれをやったってのかよ!?」


驚く俺の声に、冷静にカディアは頷いた。

まるで、それだけではないと言いたげに。


「15年前に起こった、貴族大虐殺事件。7年前に起こった、ひと月の夜。その他近年に起こった歴史的な事象や事件のほとんどは、大幹部によるもの。その行動に目的はなく、その心に忠誠はなく、しかし天災のように残酷である。……そう話していました」


「ちょっとまて。まてまてまて! まさか、そんなバカみたいな話、本当に信じてるのか!?」


「信じられませんよ。しかし、そんなデタラメを言う理由がわからない。故に、警戒するべき存在、いるであろう存在として認定し行動するのが最善であると私は思います」


確かに、俺に助けを求めるような状況化であったのに、めちゃくちゃなデタラメを吐く余裕があるなんて思えない。

だけど、そんなの信じられるほど、現実はフィクションじみていない。


「悪組織のボスは大幹部の危険視し、行動に制限をかけた。つまり大幹部とは、アナタのいうラスボスですら想定していなかった、最強の能力者達のことを差すのです」


しかし、もし本当にいるのだとすれば、今までの比ではない戦いを強いられることは確実。

8900万を切った俺の生命の魔力で、大幹部とラスボスを倒せるかどうか。

1億を切った以上、復活は使えない。

これまで以上に、ペース配分に気をつけなければならない。


「さ、この話はここまでにしましょう。私は、今からアナタにこれからの予定を伝えます」


重苦しい新事実を告げられてすぐ、カディアは俺に数時間で作ったであろう予定を話そうとしている。

カディアには悪いが、正直これからのことを考えると、なにを言われても喜べる気がしない。

それほどまでに、俺は戦いと事実に疲弊していた。


「三日後の朝一番、私とアナタの二人きりで二泊三日の旅行に向かいます」


それは、どっと溜まった疲れをかき消すのに十分すぎるほどに、俺にとって強烈すぎるビックサプライズだった。

これは始まり。

転生者に課せられた、新たな使命によって導かれる運命。

本来与えられるはずだったそれは、新たに蘇りし命と共に、狂命を縛り付け拘束する。

さあ、新たな物語を再び始めよう。



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