25.ファイナルウォーズ
前回のあらすじ
敵の死体が俺の宇宙創造エネルギーをちゅうちゅうしだした。
つまりめんどくさいことになった。
あらすじ終わり
「まっていた……これほどまでのエネルギーを!! そして……手に入れたぞォォォオオオオオ!!」
その声色は確かにバードのものだ。しかし、その言動からは、さきほどまで戦っていたバードらしさを感じない。
「キャラ変ってより、キャラチェンジかこれ!」
「違うなァ人間! これはキャラ変ってやつでも、キャラチェンジでもないッ! 封印解放ダァァァアアアアアアアアアアアアアッ!」
宇宙創造エネルギーを吸いきったバードの死体は、エネルギーの集束に伴う小宇宙誕生の反動によって、今度こそ完全に消滅した。
「ほう、あれが依り代を乗り移りする意識の怪物、タマシイフェニックスか……。おもしろいッ!いまより、決戦前の最終決戦、ファイナルウォーズを開戦する。双方、どこまでも戦いあうがいいッ!」
小宇宙誕生の反動から外界を守るように、ステージが黒いしきりによって隔絶される。
そう思えるような場所に俺はいる。
地面が黒く染まっている。波のようにゆらりと流れている。
嵐の前の静けさのようなその府陰気に、似つかわしくない小宇宙がポツンと目の前に存在している。
やがて小宇宙は、巨大な宇宙柄の鳥へと姿を変えた。
柄……ではない。あれは、本物の宇宙だ。
「お前はなんだ……!」
思わず、そう聞かずにはいられなかった。
「私の名はタマシイフェニックス。無機物、生物、概念にとりつき生きる魂……そして、今は貴様のエネルギーにとりつき、完全制御に成功した。しかしてこれは素晴らしい……宇宙を内包した創造エネルギー、いや、宇宙の可能性そのものか? まあこの力が何だろうが、どうでもいい。重要なのは、今の私は誰にも負けぬ力を得たということだッ!!」
今の咆哮で、無数の小銀河を生み出しやがった!?
「すごい……すごいぞ……! 今の私は、何もかもが思いのままだ!」
作り出した小銀河の全てが発射口のように小さくなって、そこからいくつもの星が放出された。
確かに星の大きさこそ、地球ほどではなく、二メートルや三メートルほどのものが大多数だが、それでも小銀河から生まれた正真正銘の本物だ。
威力そのものは、地球や月となにも変わらない。
そしてあの数にあの速さ、どうやったって避けれるわけ無いだろ。
なら、やれることは二つ。
押し返すか、ぶっ壊す。
いまここで考えるうちに、星の落下速度はどんどん速くなる。
ので、どっちをするかは、ぶっつけ本番で、俺の好きにきいてみることにした。
膝をまげ、足に力をこめる。
「今を何とかする力《その場凌ぎアッパー》……」
一つの星に狙いを定めて、身体強化。
その次、そのまま飛び上がるッ!
あと結論、俺はぶっ壊すことにした。
好きがそう叫んだのなら、俺はそうするまでだ。
拳に力をこめる。
心配するべきは、破壊による衝撃ただ一つ。なら一撃で壊して、そのまま先へ抜ける。
求められるのは、移動と攻撃の両立だ。
「貫く衝撃ッ!」
星を貫き、まだ死ぬことのない勢いでそのまま突き抜ける。
背後に感じる爆風を追い風に、俺は更に先へ行く。
「そうだ……そうでなければ面白くない。でなければこの力を、どこまでも試せないッ!」
羽を羽ばたかせて空を切り、そこから宇宙を内包した兵を作り出す。
あんなポンポン作られては、叩き落とされるのも時間の問題。
空を飛べたところで、あの数の対応はほぼ不可能。
だがやらなければ、現状維持すら不可能。
一番の問題すら解決してないのに、今の状況すてたら死ぬだけだ。
なら、飛ぶしかないだろッ!
「空中こそ我が縄張り」
空中移動を自由自在に行えるようにした後、空中でブレーキをかけて止まった。
このまま進んでいれば、あの無限とも思える数の兵隊に確実に殺されていた。
でも結局、このままだとあの兵隊どもは攻めてくる。
だが同時に、俺は宇宙を倒す方法を知らない。
そして、それを知らなければ俺に勝ち目はない。
しかもそれは、一番の問題なんかでは決してない。
本当の一番の問題は、タマシイフェニックスを真の意味で殺す方法がないということだ。
アイツは自分で、自分が魂であると言い切った。
魂は殺せない。
できてせいぜい封印だ。
だからやることは、一に宇宙の倒し方の模索。二にタマシイフェニックスの倒し方の模索。
たとえできなくても、やらなきゃ勝てねぇならやるしかない!
「なんて、やつは思っているのかもしれないが、それは不可能だの」
空中に写し出された巨大なモニターのようなものを通じて、戦いを観測しているカミノは言った。
「不可能? なんでそう言い切れるのよ」
ラーラはそう聞いた。
そりゃ、痛い老人が突然結論染みたことを言ってきたら、聞き返すはずだ。
「魂を殺せるのは、断罪の間の力のみ。もしなんとかする方法が見つかっても、宇宙を倒す力なんて存在すると思うだの?」
確かに。そう思わざるを得なかった。
宇宙を倒す方法。そのアイデアが、まったく思い浮かばなかったからだ。
カディアも同じだ。無限に広がる世界の攻略法なんて、急にいわれて思いつくはずがない。
急にいわれなくても、思いつきはしないだろう。
「そういえば、ラーラさんは狂命のことが好きなのですか?」
絶望漂う淀んだ空気を、カディアはたった一言で壊して見せた。
「はっ……えっ……?」
ラーラの困惑がその証拠だ。
カミノは困惑こそしたが、他人の恋路には興味津々なので、耳を澄ませて聴き専に徹していた。
「別に、好きじゃないわよ。助けてもらったけど、ワタシあの人がよく分かんないし。それに、助けられたからって惚れるほど、ワタシ安くないから」
キッパリ違うと言いきったラーラに、カディアは意外だという表情を見せた。
「そうだったんですね。一人でなんていかせない、なんて言っていたので、てっきり一緒にいたいんじゃないのかなって……」
「そういうんじゃない。ワタシはね、負けたのよ。例えそれがもう一人のワタシだったとしても、ワタシは負けた。だから、最後まで見届ける義務があるし、勝ってほしいから応援する。そういうカディアはどうなの?」
「ど……どうといわれても……」
そう聞かれたその時、カディアはわからなかった。
狂命に告白された日から、ずっと考えてきた。
自分は、どう思っているのかって。
一緒にいるうちに、狂命のいろんなところをみてきて、それは確実に、友だち以上の何かではあった。
まだ出会ってから、あまり時間はたっていないけれど、気になって、助けられて、デートして、また助けられて、旅行して……もうであってから一年たったような気分になるほどに濃い時間だった。
だからこそ、まだよくわからない。
私は狂命を、いったいどう思っているのだろう。
宇宙の倒し方だって?俺が知るかよ。




