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24.ファイナル前座前座

「あいつマジなにがしたいんだの」


観客席に突如現れた人物がいた。


「えっと……どなたでしょうか……?」


あまりの唐突ぶりにカディアは困惑の表情をみせる。

それはラーラも同じだった。

考えてもみてほしい。戦いが終わり、声がしたと思って右を向いたら、そこには知らないジジイがいましたって状況なら、ハッキリいって誰でも同じような顔をすると思う。

だってそれは、目の前で起こっていることより何倍も現実味があることであり、若干ホラーよりの演出ではあるが、目の前で宇宙が生まれたり気づいたら爆発が起こった後にそんなことされても、困惑しか覚えはしない。

つまり、こういうときほど、冷静になるということだ。


「名前はカミノ・ゴッドインダース。いわゆる神だの。信じるか信じないかはどっちでもいいだの。それよりもあの人間ッ! なーんでどんどん悪化するんだの意味分からんだの。幸い無限の加速は無くなってるみたいだからいいけど、なーんか嫌な予感しかしないだの」


そしてこの神、やはり人間なんて信用しちゃいない。

いつも狂命が何かした後に現れては、消しにかかってくるこの神。名をカミノ・ゴッドインダース。

実は、けっこう理不尽であり、すこーしばかり戦犯しているのだ。

悪い神を封印すれば、手元を狂わせ狂命を殺す。

あと少しでラスボスを倒せるというところで、わざわざ介入して、謎の力で殺す。

規則に忠実であり、人間でいうところの、マニュアル人間という表現が近い神なのだ。

そして現在、空から見下ろしていると、なんやかんやでヤバそうなので、わざわざ下界へ降りてきたというわけだ。


しかしそんな事情を知らないカディアとラーラは、同時にじいさんのことをこう思った。


「い……痛い人だ……」


一応、異世界にも中二病の概念はある。故にカミノは、正真正銘の神でありながら、痛々しい人という認識をされてしまうのだった。




極寒エリアから光につつまれ、二度みた場所へと変化した。

大幹部を撃破するごとにもとに戻っていくのは、パズルのピースを埋めるような感覚に近く、それはちょっとしたモチベーションにも繋がっていた。


「宇宙のエネルギーと融合とは、面白いものを見せてくれる……戦いの時が楽しみだ」


あの男の戯れ言に興味はない。

俺はただ、全てをねじ伏せるだけだ。


階段が現れる。

これを昇れば、そこにいるのは四人目の大幹部。

それを倒せば、あの神気取りの男と戦える。


俺は躊躇なく階段を一段上がる。


その後はいつもと同じだ。

気づいたら、さっきよりも高いところにいるだけで、景色はあまり変わらない。

あと地面の色が変わった。

たったそれだけだ。


「まさか大幹部を三人も倒すなんて、なかなかやるじゃないか」


目の前にいる男が四人目の大幹部。そう捉えるのが自然だ。

ひょろい体で俺より10cmくらい高い身長。

そしてあのイケメンフェイス。

みるからに本人に戦闘経験があるとは思えない。

なら、本人が動かなくてすむような能力……何かしらを使役している可能性が高い。


そんな考察をしてるともしらず、目の前の男は話を続けた。


「だが、この僕まで同じとは思わないことだ。僕は悪組織大幹部の一人、バード。悪いけど、僕のために死んでもらうよッ!」


開始の合図を待たずに、バードは俺に小さな玉を投げつけてきた。

その玉はみるみると巨大な黒龍へと姿を変えた。

俺はそれをみたことがある。

小さいころに絵本でみた、破壊龍と呼ばれる存在にそっくりだった。

そして破壊龍は俺に向かって、口からブレスを吐いた。

絵本では、飲み込んだ全てを塵へと変えると書かれているような凶悪なものだ。

だがそんなもの、今の俺に効くはずがなかった。

そして、後方へと吹き抜けていくブレスを、宇宙創造エネルギーによって生み出したコンパクトブラックホールの中へと収納した。


「……言いたいことはそれだけか」


「へ……減らず口をッ!」


バードは、数十の玉を地面へと叩きつけた。

その玉が変化した獣どもは、そのどれもが伝説上の存在であり、例外なく最強だった。


しかし、この程度だ。


コンパクトブラックホールの中で、ブレスの中に含まれていた破壊エネルギーを何倍にも増幅させたあと、無数に開いたホワイトホールから降り注いだ。


同族が生み出した破壊エネルギーに、こうもあっさり全滅するとは。

所詮は神聖生物、神に届かぬ紛い物ということか。

はっきり言って弱すぎる。


「そ……そんな……あんな簡単に、やられるというのか!? 一匹残らず伝説上の生き物なんだぞッ!?」


「なんだ、終わりか。なら終わらせるぞ」


俺は、一歩一歩距離を詰めていく。


「ま、待て!! 今俺を殺せばただじゃすまないぞ!? なんせ俺の中には、あるヤバい神聖生物が封印されているんだからな!!」


逃げるように後ろへ一歩引きながら、手は尽くしたかのように喚く醜い獣を、俺は宇宙で切り裂いた。

聞くにたえない声はもう聞こえない。

宇宙のエネルギーに耐えきれず、体が自然消滅したらしい。


これで、残すはあと一人。

それでやっと、前座が終わる。


って、あれ?


なんだか力が抜けてくような……。


俺の考えは間違っていなかった。

栓が抜けたように、融合していたはずの宇宙創造エネルギーが体から放出されていた。

そして、放出されたエネルギーはある一点へと集まっていた。


それは、俺が宇宙で切り裂いたはずの、バードの体だった。

ちゅかれた

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