23.つくづく空とは縁がある
強く光りだした。
それは、危険信号だったのかなんなのか、ビッグの足を止めるには十分すぎた。
そして、気づけば質量の波も逃げ道を塞ぐ壁も、全部解除してしまった。
あのまま残していたらヤバい。
ビッグの野性的直感が、そう訴えてきたからだ。
実際、その判断は間違えてはいなかった。
なぜなら、自信に内包された無限に近い質量を操る能力。
それを、失う危険性があったからだ。
実際、それは防いだ。
失う可能性が起こる前に、全て自分の中へと回収し、結果、最初の時のような巨人へと変貌していた。
だがこれにより、狂命は本来想定していたよりも、遥かに大きなパワーアップを果たしてしまった。
合体の対象を失ったことにより、力がエラーを起こし一番近いものとの融合をこころみたのだ。
そして、その時一番近かったのは、ビッグ。
しかし、人間との合体を狂命自身が拒んだ結果、次に近いものとの融合を果たしてしまった。
それは、宇宙。
無限に広がる空の名前。
その果てしない空に眠る、創造エネルギーと一体になることにより、今までを遥かに凌駕する存在となった。
「|宇宙降誕……創造現界……未来内包。それこそ、ブルー・ワールド・ストリングス。あとたった一度だけ、名を聞くことを許そう。力の名は、ブルー・ワールド・ストリングス」
コイツには、絶対に勝てない。ビッグは本能でそれを感じ取っていた。
しかしビッグには、自分が後退りする理由も、冷や汗をかく理由もわからない。
だから、聞かざるを得なかった。
「その姿、いったいなんなのだ!?」
正直、狂命には答える必要性がなかった。
しかし、ビッグは自身の能力を教えてくれた。
ならば、礼儀としてこちらも教えるべきだと心で理解した。
「俺は宇宙だ。世の理、理論、その他全てを、凌駕する」
それは、ディザスタービームが不完全だったことが原因だった。
超能力の完全再現は絶対不可能。だから狂命は、付与した性質が不完全であることにかけた。
その結果、それを上回り続ける宇宙創造エネルギーによって、その性質の完全消滅に成功した。
つまり、今の狂命は究極宇宙生命体なのだ。
「だがどうするッ!そのような形態へと変化したところで、無限の質量を持つこの私に傷をつけることなど不可能だッ!」
ビッグの絶対的信頼的自信。それは確かにそうだった。
無限の速度によって生み出した、文明破壊レペルの攻撃でさえ、ビッグに傷一つつけられなかったのだから。
だが、狂命はそれを聞いてなお、顔色一つ変えずにビッグとの距離を詰め、その巨体に拳を当てた。
「貴様……バカにしているのか……!」
その一撃をみたビッグは怒りを覚えた。
文明破壊レベルの攻撃でさえ傷をつけられなかったというのに、諦めたかのようなしょぼくれた攻撃を繰り出されたことに対する怒りだ。
しかし、今の狂命にとってはそれだけで十分だった。
その拳に内包された、宇宙創造エネルギーは無限の質量と反応し、その質量を持って、新たな宇宙を作り出した。
その光景は、さながらビッグの体から宇宙が飛び出てきたかのようであり、自身の体から急激に質量を失ったビッグの体には、風穴が空いた。
なにが起こっているのか。そんなこと、この戦いをみている誰にもわかるはずがない。
しかしそんなこと、狂命にとって、どうでもいいことだった。
狂命は自身が生み出した宇宙を次元の中に封印する。
そして狂命は、その宇宙を使役したかのように、攻撃に利用した。
宇宙で切り裂き、宇宙で撃ち抜き、宇宙で拘束してみせた。
「な……なにが起こっているのだこれは!!」
その様子も光景も、神秘的な力を感じ取る以外に分かることなどなにもない。
ただ一方的に、ビッグの体は少しずつ少しずつ削られていく。
この時狂命は、いつだってビッグを殺すことはできた。
しかし、遊んだ。
それは決して、自身の力に溺れた結果などではない。
その限界を、狂命はみてみたかったのだ。
「こ……こうなったら、一か八かオールレンジにかけるしか手はないッ!」
ビッグは飛び上がり、オールレンジバーストの体勢へはいる。
しかし、狂命の取った行動は、離れるでもなく、攻撃でもなかった。
ただ一直線に、ビッグにゼロ距離まで近づいた。
やってみろよ。
ビッグには、そう見えていた。
解放された質量は十分に足りていた。
簡単に押し潰せるはずだった。
しかし、それらは宇宙にかき消され、気づけばビッグは死んでいた。
ブラックホール。放出された質量を持って星を作り出し、超新星爆発を起こすことによって発生した果てしない闇は、ビッグをぐちゃぐちゃに吸い込み、絶命させた。
これが、第二戦。悪組織大幹部ビッグとの決着の瞬間だった。
ああそれは……あまりにも、あっけない。
次の大幹部どうしよ。
なんかもうネタ切れ感あるけど、今の狂命どうにかできるほどのハイスペック考えなきゃなあ




