17.はいよいしょおおおおおお!
目が覚めた。これで何回目だろうか。
なんども同じ経験がある。
だが不思議とだいたい同じ結果なのだ。
目が覚めている。
……当たり前すぎる。
俺は、なんかんやで現実へと帰ってきた。
あのめんどくさい大幹部の攻撃を受けてなお、俺は生きて帰ってきた。
つまり、俺の勝ちである。
とりあえず、辺りを見渡す。血塗れの死体の山から目をそらし、カディアを探す。
だが俺は思わなかった。それよりも先に見つかる子がいるなんて。
俺の腰回りに、何かが巻き付く感触がする。
いや、実際に巻き付いているわけではなく、簡単に分かりやすく言えば抱き締められているような感覚。
ただ、手と手を繋いで輪っかのようにして引っ付かれたので、一瞬そう感じてしまっただけだ。
前の方には誰もいない。ということは、俺は後ろから引っ付かれたのだ。
いったい、そんなことをするのは誰なのか。
後ろを向いた先にいたのは、誰でもないラーラだった。
「ありがとう。助けてくれて」
俺がなにか言う前に、ラーラが先に口を開いた。
それはただのお礼であり、言われて当然と言われれば当然のものだった。
「ワタシ、ずっと怯えなきゃいけないんじゃないかって思ってた。これからもずっと、押さえなきゃいけないんじゃないかって思ってた。でも、アナタがそれを変えてくれた。感謝してもしきれない」
「好きなだけ感謝しろ。そんで、これからは好きなように生きてみろ。もう誰も縛ったりできないし、縛れやしないんだからな」
感情がこもったように強くなるラーラの腕は、これからを生きる強い腕だ。
きっと、ラーラなら大丈夫だって思える、そんな腕だった。
「あのー、お取り込み中すみません」
「はい、なんのご用で……」
なんか、怒ってるんですけど。カディアさん怖いんですけど。
ロリコン(ガチ)とか言い出しそうな勢いの圧を感じるんですけど!
「私だって、怖かったんですよ?」
気づけば俺は、童貞の妄想を具現化するかの如く、女の子に挟まれていた。
これは意外にも、ご褒美タイムというやつだった。
喜び二百パーセントと呼ぶべきこの事態に、童貞の俺は固まっていた。
いやだって仕方ないじゃん!
こーんなモテ期みたいな状況でも、俺なんもできないし!
恥ずかしくて動けないし!
この状況で、キスとかハグとかなんだとかできるやつ頭おかしいだろ!
もしそんなやつがいるなら、共感性差恥を感じます。
あ、そういえばラーラに聞きたいことがあるんだった。
「そういえば、このリゾート地って結局なんだったんだ? とりま、悪組織と関連のある施設っぽいけど」
「ワタシもよく知らないの。なにせ、気づいたらここにいたから……というか、ここリゾート地だったのね」
なんの情報もないってことか。
待ち伏せされるくらいだから、悪組織関連なのは間違いないんだけどなぁ。
「とりあえず、ここから出よう。さすがに連戦を勝ち抜く自信はない」
「テレポート便を使いましょう。あそこは基本、どこでも24時間営業です」
コンビニかよ。便利だなテレポート便。
『TOHKに集まる全ての人間よごきげんよう。我の言葉をもって、午前0時を告げよう』
街中に声が響く。
スピーカーだとかメガホンだとか、そんなレベルの声だった。
『逃げ道なぞ決してないぞ狂命』
それは、俺の名を呼んだ。
『まずは名乗ろう。我は大幹部の一人にして転生せし者、覇道道正。そして宣言しよう。我は五時間後、次元を支配する神になるッ!』
くっそめんどいことになった。
はいきちゃああああああああ!
これでっ!ようやくやっと!転換点到達じゃあアアアアアアアアアア!
実はちょっとネタ切れなのはナーイショ。
はぁ。大幹部三人くらいにしときゃよかった。




