13.モニタニングルーム。ハイライト
「なんで……どうして私が死ななきゃなのよ!どうしてなんで、イヤァアアアアアアアアアアア!!」
天秤が揺れた。開始の合図から三度目の実験。
想像よりも早くに均衡が崩れた。
誰かが、燃える女を軽くした。それが誰かなんてみりゃわかる。
その女の夫だ。
違うってんなら、説明してみろ。大切な人が死ぬって時に、笑いながら、さよならなんて言う理由をな。
ついでに、笑みから悟るに、理由はおそらく私怨だろうな。
まあ理由はなんであれ、これでアイツらは自覚してしまった。
生かすも殺すも自分ら次第ってな。
そこからは、すごかったぜ?
妻を助けるために金で票を集めるやつ。
それに対抗するために、子供を使って情に訴えかけるやつ。
一番やばかったのは……。
「はっ……はっ……ははっ。はははははは。撃っちゃったよ……俺」
天秤に重いとされた女を銃で撃ち殺したやつ。
実験に味をつけようと黒ラーラが持ち出した、結果に反抗するアイテムらしいのだが、その形は明らかにショットガンだ。
なんでも、死ねば命も軽くなるんだとかって言ってたが、あそこまで行くとただの愉快犯だ。
非人道をここまで貫いてると清々しいねぇ。
「そんなもの、見ていて楽しいんですか?」
背後から、カディアに声をかけられた。
「楽しいわけないだろ。だが、何もしないのもらしくない。だからこうして、暇潰しに眺めてんのさ」
「アナタの発言は、時々理解できません」
理解しなくていい。カディア以外にならそう言っていた。
好きとかどうとかは関係ないにしろ、少なくとも友達だ。
その友達を、理解しようとしてくれる。
そんな優しさがなければ、出てくることすらない言葉。
それを裏切ることは言いたくはない。
だから、はぐらかした。
「眺めてるだけならラーラも一緒だ。俺だけを非難はできねーぜ」
「一緒にしないで。私はアナタとは違うの」
「へえ。どう違うのか教えてもらおうじゃないの」
「私は、彼らを巻き込んだ。だから、見届けるのよ。最後の一瞬くらいはね」
思ったよりもまともな理由だ。たしかに無力感に襲われるよか二億倍マシだ。
「にしては冷静すぎるところ、これが始めてじゃないとみた。まさか、貴族の時もそうしたのか?」
ラーラの体がビクっと震える。
どうやら、大当たりみたいだ。
「貴族大虐殺事件。ちらっと調べて疑問だったんだ。どうやって貴族だけ殺したのかってな。種を明かせば、どうってことないただの超能力だったわけだが」
拳を強く握り混み、そしてうつむく。
当時を思い出すように、涙して。
「狂命さんッ!それ以上言うことは私が許しません!」
見かねたカディアが、罵声を浴びせて怒りを見せる。
だが、時はきた。
「そろそろか」
ただそれだけ、呟く。
「何をする気……?」
なにもできないはずの人間から発せられた、意味深な発言に、ラーラは答えを求めた。
「そろそろ見飽きた。ネタも見抜いた。ならやることは一つだ」
カディアの怒りを受けながら、俺はラーラの方を向く。
「喜べラーラ。今回で最後だ」
その訳のわからない一言に困惑を見せる。
だが、その理由もすぐわかる。
なぜなら俺は、前へ進んでいたのだから。
あれだけやっても割れなかったバリアを、片手で優しく押すだけで粉々に砕いて飛び降り、地上へと降下を開始する。
「次の天秤はどれにしようかしら?」
悠々と選ぶ彼女の頭上に、直立落下人物が着弾する。
俺は彼女の上から降り、背後を振り替えってこう言った。
「よお、見てたぜ?私欲まみれのクソ共が」
ねっとり書こうと思えば書けたけど、求めてないし求められてる気しないし、さっさと戦わせたかったからハイライトじゃ。




