表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は◯◯◯◯◯な魔女と実は◯◯◯の魔法少女が魔王を倒しに行く物語  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/140

80 山を越える準備(2)

 入ってみれば、なんてことはない。

 少し薄暗いけれど、小さな窓から光が入る、よくある雑貨屋のような店だった。


 魔法がかかっているらしき、身につけるものや日常を便利にするグッズが所狭しと並んでいる。


 店の奥に、フードを被った店員さんらしき人が、じっとしているのが見えた。

 どうやらこちらを窺っているらしい。


 パピラターが店を一周し、目当てのところに辿り着いた。


 店の奥の方に、アウトドア関連のものが少ないながらも積んである。

 テントや、小さな椅子、外で使うための調理器具まで。


 時間をかけて物色し、レインコートと寝袋、テントを買った。


「……お客さん、山に行くの?」

 話しかけてきた店員さんは、思ったよりも若い声で話した。


 声の年齢や性別を変える魔道具なんかもあるのかな。

 なんて、プルクラッタッターは思う。


「そう。暖かくなってきたから、魔物狩りにね」

 パピラターが警戒しながら答えた。


「気をつけて。雪はないけれど、危険な生物の気配が高い」


 少し気を付けて聞いてみても、女の子だか男の子だかわからない声で、店員さんが言う。


「ありがとう」

 パピラターが、そっけない声で返事をした。


 魔道具を買うのはそこだけでは足りなくて、他にも店舗をまわる必要があった。


「次はここ」

 パピラターが示したのは、建物に囲まれた狭い路地だった。

 目の前にはまた5階建てのビルが建っている。


「今度も入口がないね」

 ちょっと面白くなってきたプルクラッタッターが言う。

「ここは、1階にはどこにも入り口がないらしいわ。入り口は、屋上にあるの」

「え!?」

 プルクラッタッターがびっくりして声を上げた。


 ここを!!?

 何メートルもあるこの垂直な壁を登るの!?

 煉瓦造りだから指や足を引っ掛けるところが……ある???

 ……引っ掛かるようには見えないけど…………。

 もしかして、パピラターは魔女だから、壁を歩く魔法も使えるってこと???


 そう思いながら、プルクラッタッターは、想像上の忍者のように壁を真っ直ぐに歩くパピラターを思い描く。

 そう。

 パピラターならできるのかもしれない。

 パピラターなら…………。


 プルクラッタッターの、驚愕の顔を見て、何を考えているのか察したパピラターは、すかさず言う。


「もしかして、忘れてるんじゃないでしょうね?」


「え?」


 忘れるわけがない。パピラターが優秀な魔女であることは。


「代理人としてパピラターが命じる」


 詠唱が始まる。


 まさかまさかまさか!!!?????


「世界の遍く理。我が声を聞き入れ、我らを空へ招き入れよ」


 ……そうだ、飛べたんだった……。

この店員さんは声を変える魔道具は使っておりません!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ