60 湖のヌシを探して(2)
「つっかれた〜」
と言いながら岸へ戻った二人を待っていたのは、バケツに3匹の魚を入れたロケンローだった。
「ロケンロー、釣れたの?」
二人が目を丸くする。
ロケンローは、二人の船の周りで、尻尾の先に糸を括り付け、魚釣りを楽しんでいた。
いつのまにかどこかへ行ってしまったと思ったら、ちゃっかりと魚を釣っていたのだ。
せっかくの体長8センチの魚をリリースしてしまったパピラターが「むむむ」と唸る。
そして悔しそうな顔のまま、
「あたし……、ロケンローに釣りを教わろうと思うわ」
と言った。
休憩所の前には、釣った魚が焼けるストーブが置いてあった。
そこで焼いて、休憩所の中で食べられる仕組みらしい。
「そうだね。この湖で釣れる魚は殆どマスだから、食べられるよ。心配だったら見てあげるから」
ということだったので、二人は、ロケンローが釣った魚をおいしくいただくことにした。
湖の周りで商いをしている人達は、ただ、その魚の事をマスと呼んだ。
ガラガラッと軽い扉を開けると、木製のテーブルがいくつか据え付けられている。
休憩所の片隅には、『釣具レンタル』と書かれているカウンターと、『湖のヌシを釣ろう!』と書かれている大きな張り紙。そして、ゆるキャラとなっている湖のヌシグッズの棚が置かれている。
カウンターの奥は外とつながっているようで、外の釣具レンタルのコーナーに出るようになっているらしかった。
他にお客もいない小屋。
とはいえ、釣具のレンタルはそこそこ出ており、グッズも比較的新しいものが並んでいる。
“売り切れ”の文字と入荷日が見えることから、そこそこの人気を博していることがわかる。
プルクラッタッターは思う。
ここは、こういう観光地なんじゃないだろうか。
湖のヌシを釣ることをウリにして、人を呼んでいる。
もしかして、本気で釣ろうなんて思っている人なんてあまりいなくてどちらかというと、遊びに来る人達の方が多いんじゃないだろうか。
そんな事を考えていると、外に家族連れが走って行くのが見えた。
「ほ、本当に大丈夫なのかな……この調子で」
なんだか不安になるプルクラッタッターだったのだけれど、パピラターは、
「どうして?」
とキョトンとしている。
この状況を見ても、危機感を抱くようなことはないらしい。
魚を一匹ずつ平らげると、パピラターが立ち上がった。
「じゃあ、腹ごなしに魔物の依頼を受けに行きましょう」
プルクラッタッターは苦笑いをする。
本当に、楽観的というか、無謀というか。
二人は立ち上がり、冒険者ギルドへと向かった。
そんなこんなで、お金を稼ぐための日常が始まりました。
ほのぼの日常で二人の距離は縮まるのでしょうか。




