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4 相棒(1)

「しょうがないわね」

 パピラターは、仕方なさそうな声で、そして、ちょっと偉そうに腰に手を当ててそう言った。

 パピラターの旅に、こんなあからさまに戦いとは無縁の女の子を巻き込むわけにはいかない。

 けど、流石にこんな場所にプルクラッタッターを置いて行ってしまったら、それこそこの子の明日の姿は店先に吊られているベーコンとそれほど変わらない事になってしまうかもしれない。

 魔物だって最近は増えているし、こんな危ない場所にこんな危なっかしい女の子を捨て置くことはできないのだ。


 怪しい部分は多いけど、幸い魔族や魔物の類ではないみたい。

 悪い事は出来なさそうな顔をしているし。


「この辺りの町までで良ければ、付き合ってあげてもいいわよ」


 そう言われ、プルクラッタッターは少し元気が出て来た。


 見知らぬ土地。

 どっちの方角に町があるのかもわからない場所で、心細くないわけがなかった。


 見た目も、話してみた雰囲気も、嫌な感じはしない。

 プルクラッタッターの警戒も、少しずつ解かれようとしていた。

 ここに一人で何とかしようとするよりは、今、目の前にいるこの子を頼った方が助かる可能性が高いかもしれない。


「ありがとう。お礼は必ずするね」

「いいわよ、そんなの」


 パピラターはそれだけを言うと、まっすぐ道の先を見た。


「じゃあ、荷物はソイツだけね」


 荷物???


 パピラターに言われ、プルクラッタッターは疑問符を大量に浮かべた。


 ソイツってどいつ?

 まさかアイツ?

 けど、ここには他に誰も……。

 と、キョロキョロと周りを見回す。


 すると、目の端に何か動くものがある事に気付いた。


「え?」


 パピラターが訝しげな視線をよこす。

 まさか、この子は自分の使い魔の事まで忘れてしまっているんだろうか。


 魔女は時々、動物を使い魔にすることがある。

 大体は、猫やカラスの類。

 この子のものは猫でもカラスでもないけど、きっと使い魔には違いない。


 ずっとあんなにひっついているのに。


 事実、プルクラッタッターには小さな生き物がひっついていた。


「うわああ」


 プルクラッタッターがその生き物に気付いて、声を上げる。


 それはそうだ。

 プルクラッタッターの足元や背中の後ろでウロチョロしていたのは、他でもないドラゴンだった。

 ドラゴンなんて見たことのないプルクラッタッターにとって、それはまさに脅威だったのだ。


 ドラゴンと言っても、とっても小さいやつで、退治しなきゃいけないような悪いやつじゃない。

 けど、確かにその小さな黒い生き物は、がお、と火を吹く事ができる。

 そして、翼で空を飛ぶ事ができる。


 普通に考えれば、いつ火を吹くかわからない空飛ぶバーナーなんて、近付きたい存在じゃないじゃない?


 そして、驚く事に、なんとそのドラゴンにはかなりの知性があった。

 どれくらいの知性かというと、プルクラッタッターと同じくらい。


 そしてそして、なんと!


「そんな声を上げるなんて酷いなぁ、プルクラッタッター」


 そのドラゴンは、人の言葉を喋るのだ。

新キャラ登場で、このメンバーで旅をしようと思います。

思ったより長編になりそう……かな?

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