表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は◯◯◯◯◯な魔女と実は◯◯◯の魔法少女が魔王を倒しに行く物語  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/140

36 魔族を追いかけて(2)

「はぁ…………はぁ…………」

 微かに人の声が聞こえたところで、二人と一匹が地面に降りた。

 真っ赤な顔で息が上がっているパピラターを見て、プルクラッタッターは、「やっぱり私まで運ぶのは大変だったんだ……」なんていう予測をたてた。

 実際のところ、密着にパピラターの心臓が耐えきれなかった結果なのだけれど。


 なにこれ…………。

 めちゃくちゃ……はずかし…………。


 パピラターは、袖で顔を隠すようにする。

 二人と一匹で、木の陰に座り込む。


「ふぅ…………」

 なんとか息を整えて、木の向こう側を窺った。


 大きな荷馬車が、森の中をゆっくりと進んでいた。

 荷馬車はひとつだけ。


「あの馬車、かな」

「こんな森の中の獣道を北へ向かって走る馬車。違和感ありすぎ。確率はかなり高いわ」


 道はそれほど広くない。

 馬車は、木の根や草に乗り上げては、ガタガタと進んでいた。


 あの町の食料を根こそぎ奪ってこの量という事もないだろう。きっと、距離を開けて他にも馬車が居るはずだ。


 聞こえていた声は、馬車の脇を歩いている二人組の声のようだ。

 小さな声で、会話の内容まではわからないけれど、どうやら談笑している様子だ。


「じゃあ、変身して」


「え……」


 パピラターとプルクラッタッターは顔を見合わせた。


 そうなのだ。

 プルクラッタッターは、変身しておかなければ戦う術がない。


「人前で変身するよりいいでしょ」

 苦笑するパピラターの言葉に、プルクラッタッターは乾いた笑いで返すしかない。


「あたしが援護するから」


 援護。

 つまりパピラターは、あまりにも目立ちすぎる変身中の状態を、敵から守ると言っているのだ。


 そっか。

 プルクラッタッターは思う。

 こうして、隠れたまま変身できるならよかったけど……、音楽撒き散らしながら変身するんだもんなぁ……。


 ここまで来たなら、さっさと覚悟を決めるしかない。


 プルクラッタッターは立ち上がる。

 変身するときは、ある程度の広さも必要だ。


 パピラターが、杖を握り直す。


 ロケンローを見ると、もうすでにプルクラッタッターの方を見て、四つ足で立ち上がっている。

 スタンバイOKだ!


「そう!今こそ変身だよ!プルクラッタッター!」


「うん!」


 元気よく返事をすると、BGMが流れ出す。


 魔法少女っぽくなってきたね、プルクラッタッター!


 チャララ〜〜〜ン♪タラララ〜〜〜〜♪


「……な、なんだ!?」


 音楽に反応した魔族達が、後ろを振り返る。


「ど、何処から音が……!?」

「あ、あそこ!何か光ってるよ!」


 そうなのだ。

 変身中、プルクラッタッターは微かに光っている。

 こういう薄暗い森の中での変身はとても目立つのだ。


 けれど、驚いている間に、プルクラッタッターの変身は進んでいく。


 プルクラッタッターの腰の後ろに、尻尾のような長いリボンが流れた。

 最後に、手の中にステッキを出現させれば、変身は完了だ!


 チャン!チャ〜ラララ〜〜〜〜〜〜♪


 そして、滞りなく、変身が完了した。


 木の陰から飛び出し、ポーズを作る。

 プルクラッタッターの後ろには、星とドラゴンの翼の紋章が浮かび上がった。


「煌めく天よりの翼、魔法少女プルクラッタッター!」


 パピラターも飛び出して、プルクラッタッターの隣で、華麗にポーズを決めた。


「闇に生まれし雷鳴の使者、魔女パピラター!」


 しゃきーん!

華麗に二人でポーズ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ