表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は◯◯◯◯◯な魔女と実は◯◯◯の魔法少女が魔王を倒しに行く物語  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/140

34 二つ目の町

 二人と一匹は、夕方まで歩き通しで、疲れない靴を履いているプルクラッタッターも、流石に足を動かすのに疲れてきていた。

 夕方らしく、少し雲が出てきているけれど、相変わらず天気はいい。


 たどり着いた場所は、今までいた町よりずっと小さく、それでいて静かだ。


「静かだね……」

「おかしいわね」


 小さい町ではあるけれど、家々は建ち並び、人が住んでいる。

 けれど、人の姿が見えない。

 いくら夕方だとはいえ、家々の扉や窓は閉め切り、まるで一人も残らずに逃げてしまった町のようだった。

 けれど、よくよく見れば、所々煙突から煙が上がっている家がある。


「人は居るみたい。……嫌な予感がするわ」


 しばらく二人と一匹は歩き回り、庭に出てきていたおばあさんを見つけ、声をかけた。


「すみません」


 普通に声をかけただけなのに、おばあさんはビクッとすると、ゆっくりと振り返った。

 恐る恐る。


 それは、プルクラッタッターに、ホラー映画を思い起こさせた。

 それほど、何か怖いものを見るときの顔だった。


「やっぱり、これは何かある」と、パピラターが確信を得るほどに。


 おばあさんは、そこに立っていたのが、いかにも無害そうな少女二人と小さなドラゴンだったので、あからさまにホッとした。


「あら……何かしら」


 それでも、声を落とし、何かを警戒しているようだ。


「食事ができる場所と、宿泊所を探しているのですが」

 パピラターがおばあさんに合わせ、小さな声でにこやかに言う。


「ええ……ああ……ええと」

 おばあさんは顔を曇らせて言った。

「魔族が来たの」


「え…………」

 二人が押し黙る。


「だからね、今は食堂、やってないのよ。……食べるものは全部、取られてしまって」


 やっぱり、そういうこと、よね。


 “魔族が来た”、それはつまり、町の食料が奪われたことを意味する。

 この国では、頻繁にある事だった。

 魔王城への距離に関わらず、一つの町が襲われる。

 そして、備蓄という備蓄も、肉も野菜も全て、根こそぎ奪って行ってしまう。


 食事も宿泊所も、食べるものがないということだ。

 それどころか、この町の人々の食事すら、ないということ。


「そんな…………」

「それは……、いつのことですか?」


「昨日のことよ」


「助けは?」


「近隣の町に、すぐに助けを求めたわ。けど、直ぐに食料が手に入るわけじゃないから。みんな気落ちしてしまって……。心配だわ」

 おばあさんは、悲しそうな顔になる。


 この町に住む人だって、全員が元気な人間というわけではないだろう。

 病人、子供、お年寄り……、食事がないと一体どうなることか……。


 パピラターが、意を決した顔で言う。


「それは……いつのことですか」


「昨日の事よ」


「空を飛んで?」


「いいえ、昨日は……盗賊みたいな人達が、大勢で押しかけて」


「どっちに、行きましたか」


「西の森の方に。……近付いたらダメよ。すぐに助けは来るから、心配しないで」

魔王の領地と隣り合ったこの国は、魔族の襲撃が頻繁にあります。

襲撃があれば、近隣の町はすぐ助けられるように、町は何処も備蓄多めが基本です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ