22 いざ、冒険者ギルドへ(1)
プルクラッタッターが起きたのは昼過ぎだった。
「ん…………」
プルクラッタッターが起き上がると、
「買っておいたわ」
と、包み紙が示された。
パピラターの方を見ると、ちょうど大きな、ハムたっぷりのサンドイッチにかぶりついている所だった。
テーブルの上で、ロケンローが嬉しそうな顔で、小さくちぎったサンドイッチをいただいていた。
プルクラッタッターは、顔を洗ったところで、今見た光景を思い出す。
ドラゴンって、雑食なの?
思えば変な話だ。
ハムはともかく、パンやレタスまで食べるなんて。
ドラゴンのイメージと違う……。
と、そこではたと気付く。
実際にドラゴンを見たことがあるわけじゃない。
肉食なのか、草食なのか、はたまた宝石しか食べないのかなんて、知っているわけがないのだ。
目の前にあるものを信じよう。
ドラゴン、少なくとも現在目の前にいる小さな黒いドラゴンは、サンドイッチが食べられる。
「ありがと」
プルクラッタッターも、パピラターに倣って、サンドイッチをがぶり。
「おいしい〜〜〜〜〜」
思っていたよりも美味しいサンドイッチに、プルクラッタッターが声を上げる。
「これって……何の肉なの」
プルクラッタッターが、覚悟を決めてパピラターの顔をじっと見た。
こんなファンタジーな世界なんだから、オークの肉とか言われるのかもしれない!
けど、私は……何の肉だって美味しく食べてみせる……!
パピラターの顔は、呆れたような苦笑の顔になる。
「豚よ」
「…………そっか」
プルクラッタッターは、なんだか拍子抜けしてしまう。
「あなた、何の肉を食べる気だったの」
パピラターは、面白がったような声で言う。
「今日は冒険者ギルドへ行くわ」
「冒険者」
冒険者……!
それは、異世界に行ったものがかなりの確率でなる職業!
プルクラッタッターは思った。
この世界にも冒険者がいる……!
そして、私もそれになれるんだ……!!
魔法はちょっと変だけど、スライムとか!ゴブリンとか!はたまたドラゴンとか!と戦えるってことじゃない?
魔族がいるってことは、ダンジョンなんかもあったりして!?
「面白そうだね」
と、ロケンローもなかなか乗り気だ。
「そう。似顔絵を持っていって、捜索願として出そうと思う」
「なるほどなるほど」
そうすれば、冒険者をしつつ、人探しができるって寸法なのか。
なんだかとってもカッコいいじゃない?
二人は、連れ立って、宿を出た。
パピラターは、大きな荷物は宿に置き、杖のみという軽装だ。
「マント、なくて大丈夫?」
「もういいわ。かぶっててもバレてたみたいだし」
小さなドラゴンは、二人の後をふわふわと付いていった。
なんと、牛肉も食べるし、鶏肉も食べます!




