104 竜の山(5)
「まあ、だからといって心配はいらないよ」
トラマさんの声は、終始優しかった。
「症状は落ち着いてきたし、危険はない。まあ、数日はここに居てもらうがね」
「……はい」
ひとまず大丈夫そう、だ。
プルクラッタッターは、ロケンローの顔を見る。
本当に……私から生まれた魔法少女の隣にいるアレだったんだ……。
宿はあるか、お金は使えるのか、疑問を二人でコソコソと話し合っている時、ここに連れて来てくれたドラゴンが声をかけてきた。
「大丈夫かい?」
「はい、ありがとうございます」
プルクラッタッターが微笑む。
「アタシはコハ。あんた達は、このままここに泊まっていって」
「そんな……。これ以上迷惑をかけるわけには。もし宿とかあれば」
「宿、ねぇ」
小さく笑うような声だった。
宿屋ないのかな。
二人がそう思った時。
「うちに泊まりなよ!」
ヤッコと呼ばれていた子供のドラゴンがビヨンビヨンと飛び跳ねた。
「じゃあ明日はうち!」
もう一人の子供のドラゴンも飛び跳ねる。
外から「うちもうちも」と多くの声が聞こえ、あっという間に客人を宿泊させる権利をかけてゲーム大会が始まってしまった。
ダイスのようなものを転がしているのか、カラカラとした音にみんなが一喜一憂している。
コハの苦笑が聞こえる。
「この調子だから、宿に泊まる頃には全員の住処を一周しているかもね」
「…………」
二人して、ふふっと笑った。
「とりあえず今日は休ませたいから、うちに泊まってもらうからね!?」
コハが大きな声で言うと、ヤッコが、
「明日はうちに決まったからね!!」
と嬉しそうに報告に来た。
「やれやれ」
コハが、「がふぅ」なんていう声を出しながら、二人の頭を撫でる。
今にも炎が出そうだけれど、どうやら、ため息のようだ。
「ありがとうございます」
プルクラッタッターが微笑むと、
「ええ。……ありがとう」
と、パピラターも少し照れながら言った。
「準備できたよ!」
細身の小さなドラゴンが顔を出す。男の子のような声だ。
「じゃあ、あんた達は少し、休憩しておいで」
コハが二人に言うので、二人を歓迎するための準備ということがわかった。
「え、でもそんな」
言いかけたところで、ドヤドヤと数匹のドラゴンが、二人の背をニコニコしながら押していく。
「コハさぁん」
コハに助けを求めると、
「こっちは大丈夫だから」
と、言われてしまう。
「しょうがないわね」
パピラターが諦めたように笑った。
「ついていきましょ」
「う、うん」
歩いている間も、騒がしさは絶えることがなかった。
「広場で食事の準備をしているから」
「ほんとはどこか食堂でやろうかと思ったんだけど、人数も食事も多くなってしまってねぇ」
「なにせ、人間なんて珍しいからさ。みんな話を聞きたいのさ」
プルクラッタッターは元社会人だけあって、どちらかといえば社交的。
パピラターはその生い立ちのせいもあって、若干ツンデレでコミュ障気味です。




