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私は、通学路でトマトを投げる。

作者: 樫尾 千円

推敲はしていません。カップラーメンが出来るまで暇だったので書きました。

味はチリトマトです。選んだ理由は、CMが素敵だからです。

感想、罵詈雑言、その他なんでもお願いします。


 午前六時に目を覚まし、制服に袖を通すまで二時間ばかし時間がかかってしまうのは何故なのだろうか。

二十四時間を四等分したときに全ての区間で全くの同じ速度で時間が進み続けていると誰しも信じて疑わないのだ。皆、口を揃えて「感覚的な問題であって実際は同じなのだ。」と言う。

 午前零時から六時までの時間が最も流れが速くなる。私はそう確信している。

 しかし、誰も信じてはいないのだ。

毎朝考えるのだ。目を閉じて開いたときには六時間もの時間が過ぎているのはおかしいではないかと。


一時間が経過。

 私の両親は共働きで、毎朝何かしらの食べ物が調理され手紙と一緒に机に置かれている。

 「遅刻と忘れ物はしないように。」太字のマジックで書かれたそれは一昔前の高校生のような稚拙な文字だった。

  ラップをかけられた皿の中に目をやるとこんがり焼けたピザトーストがこちらを見ていた。

 胃の中から食道にかけて昨日の夕飯が上がってくるのを感じた。しかし、ピザトーストの目力は凄まじく両目を逸らすことは出来なかった。必死に上がってくるものも胃に押し戻し、皿の隣に置いてあるフォークを掴み、深く深呼吸をした。

 そして、ピザトーストの両目を仕留めた。

 ピザトーストの息が完全に止まるまでの間、私は持ち物を鞄に詰め、制服を着た。

遅刻をしないよう、三十分早起きしたにも関わらず、ピザトーストに邪魔をされた。

 私は五分足らずでピザトーストを胃に押し込み、万が一息があった場合のことを考え牛乳を飲み込んだ。

 課外授業の後に、部活をして帰宅するころには両親は寝てしまっている。

 遅刻をして生徒指導に怒鳴られることよりも、二度とこんな朝は迎えたくなかった。

 私は、その意思を両親に伝えるべく、母親が書き残したメモの下に追記するかたちで注意書きを残した。

 そして、野菜室を開け、トマトを二つ両手に持ち、我が家を後にした。



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