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地方公務員の異世界奮闘記  作者: 風猫(ふうにゃん)
第一章 異世界転生 紛争の渦中へ
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第三話 シルベスター領の整備(改稿1)

 ボーナ伯爵領の教会での成人の儀から、ようやくシルベスター領の領都、カウベル村に帰ってきた。

 シルベスター領は、人口1,200人ほどのカウベル村と領内の各地に住む800人余りの、合計2,000人程しかいない辺境の領地だ。

 周囲を深い山と森に囲まれた盆地で、魔獣も少なくない危険地帯にあり、領内の中央を流れるクナイ川の周辺にわずかな耕作地を拓いて、狩猟と採集で暮らしを立てている。

 戦える戦力としては、男爵領の従者達が30名、冒険者達が100名余りいるにすぎない。

 もしボーナ伯爵の手勢、3,000名余に攻め込まれたら、かなり苦しい状況だ。

 だが、シルベスター領に至るには、20キロに渡る狭く険しい渓谷を通らなければならない。渓谷が天然の要塞の役割を果たしてくれる。



 僕は、幼少の頃からの悪ガキ仲間、グランとシェリフ、ミーナの3人を呼び出して、成人の儀で授かったスキルのことを話した。

 グランは、身体の大きなやんちゃ坊主で、シェリフは、小柄だが正義感の強い少年だ。そしてミーナは、グランの2才下の妹で、兄には似ず、おとなしい美少女だ。


 車両の販売サイトから、パワーショベルと、小型のパワーショベル、小型ブルドーザー、それに軽SUVパジェロミニを1台ずつ購入した。

 グランツリーシェリフには、パワーショベルとブルドーザーの操作を、ミーナには、パジェロミニの運転を覚えさせた。


 そうして、パワーショベルとブルドーザーを駆使して、カウベル村を囲うように、周囲70Kmに渡る堀を作った。

 堀は、巾6メートル深さ3メートルで、内側の土手は、掘った土砂を固めて、高さ3メートルの城壁とした。城壁の上の内側には、1メートル低い場所に、巾3メートルの通路を付け、壁の所々に穴を設け、弓矢の射出口とした。

 

 作業を始めると、手の空いた村人達が手伝いに加わってくれたので、パワーショベルを3台追加し、村人達にも操作させたので、20日程で完成してしまった。

 パワーショベルに嵌ってしまった村人達が、もっと作業がしたいと言うので、引き続き農地の区画整理と、灌漑用水路の掘削をさせた。

 2ヶ月もすると、見事に以前の10倍もの農地が開拓されてしまった。


 この驚愕の事実に、パワーショベルや堀と城壁などを秘匿するため、村人達への箝口令や外部への対応に、父上やガルバ達が走り回っていたことを、僕は知らない。

 金銭面から、週に一度だけとした〘甘味スイーツ〙の提供を取り付けた母上が、父上に息子の尻拭いぐらいしなさいと言ってくれたらしい。

 ちなみに、母上のお気に入りのスイーツは、プリンとイチゴショート。メイドのメイは、カスタードのシュークリーム、リリは、レアチーズケーキだ。彼女達の買収方法は、これで万全だ。



 開拓された農地には、作物を規則正しく植える正常値植えを指導し、小麦や大麦、野菜の種も、優れた品種の種を異世界から購入して、支給した。おかげで秋には、10倍にも増えた農地で、前年の30倍にもなる大豊作となるのだが、そんな騒ぎは、まだ序の口だとは誰も知らない。


 村人達が村の北側で、農地の開拓をしている頃、僕は村の子供達と村の南側の湿地帯にいた。

 グラン、シェリフ、ミーナの3人と村の子供達20人を引き連れて、パワーショベルで排水用の灌漑水路を設け、水捌けを図ると、その湿り気の多い土壌に綿花の種を撒かせた。

 綿花の栽培には、多くの水が必要なのだ。元々湿地帯のこの土地にはもってこいの作物と言える。


 20人ばかりの6才から12才の子供達は、僕が与えるサンドイッチと果実ジュースに釣られて、湿地帯に綿花の種を撒き、灌漑用水路と農地の水捌けを調整して回る。


 昼には木かげで、車座になって、サンドイッチをほおばる。カツサンドにポテトサンド、生クリームのフルーツサンドもある。飲み物は、湿地帯で採集した野いちごで作ったフレッシュジュースだ。皆で汗水たらして働いた後の食事は格別だ。


「ミコト兄ちゃん、だいぶ畑になってきたね。元は、鬱蒼とした沼地だったのに。」


「ああ、皆が頑張ってくれてるおかげだよ。今日で10日、あと20日もあれば終わるね。」


「この畑、何ができるの?」


「綿と言って、皆の洋服の原料ができる作物だよ。秋に収穫できれば、冬には暖かい服が着れるよ。」


「わぁ〜、頑張って植えょ〜っ。暖かい服ほしいもんっ。」


 小さくても女の娘は、着る物には敏感です。

 そのうち、異世界のファッションでお洒落な洋服を着せてあげよう。きっと皆、見違えるほど可愛くなるに違いない。


 

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