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地方公務員の異世界奮闘記  作者: 風猫(ふうにゃん)
第二章 ワークス侯爵領の代行編
22/23

第九話 交通戦争回避の物流方式

 かつて、前世で地方公務員をやっていた経験を活かして、街おこし、村おこしを進め、それらは、曲がりなりにも順調と言えるのですが、   

 次の課題は、そうやって、起こした産業や商品を流通させることです。


 この世界では、西部劇に出てくる幌馬車みたいな荷馬車で、商隊を組み護衛を引き連れて、各地に赴くという、言わば、行商形態での商業流通が行われています。 

 そうして、王都や領都の周辺を除くと、通行する街道と言えば、馬車一台の巾しかなく、すれ違うのにも、場所を選ばなければならない状況です。



 それで、流通の整備を図ることにしたのですが、物流を考えるに当たって、前世の車社会のような交通戦争は、招きたくないのです。

 既に兵員輸送トラックは、お披露目してしまったのですが、これ以上の物流トラックや自家用自動車を増やし、道路や信号機を作るなんて、この世界を喧騒の世界に変えるだけで、いいことだとは思えないのです。

 鉄道も、この世界には導入が早すぎると思うのです。文明は少しずつ進歩させるもので、いきなり、発展の段階を飛ばして導入するのは、文明の発展を歪めることになります。


 

 それで、導入することにしたのは、水運です。灌漑用水路の整備を兼ねて、街道整備と併せ、街道沿いに水路を建設することにしたのです。

 水路に導入するのは、大型トラック1台分の積載量の小型船です。船の動力は、魔力で動かすモーターによるスクリュー。速度は時速20Kmほどです。人を乗せる屋形船も考えています。


 まずは、シルベスター領から王都まで、途中のボーナ地区で、ワークス領とライズ領への分水路を作ります。

 水路と街道の建設は、掘削や整地の基本工事を、シルベスター領のパワーショベルやブルドーザー、コンクリートローラーなどで行ない、仕上げの工程を地元の人力で行ないます。


 街道の巾は、車道が6m、両側に各々2mの歩道。石灰を原料したローマンコンクリート舗装としました。

 水路は、街道沿いに巾15m、同じくコンクリート製の堤防です。


 ちなみに、シルベスター領への水路は、渓谷の南側に迂回する山中を通る経路で、トンネルが5つも掘られました。

 そして、拡張された城壁の周囲の水路に接続されています。だから、新たにできるターミナルは、城壁の外部にあります。



 工事開始から半年後には、全長430Kmの街道と水路が完成しました。

 シルベスター領に、水上交通組合が設立され、高速水上バスと、大型水上トラック船が行き交うこととなったのです。

 水路は、途中の水源としての河川とも、結ばれましたが、見どころは水路と河川の交差点に設けられた『水路橋』です。道路が河川を渡る時の橋と同じように、水路の橋を作ったのです。


 

 水路を走る『高速水上バス』は、中型遊覧船であり、時速30Km超で、王都まで1日で行けるようになりましたし、平均時速25Kmの『水上トラック』は、10t〜15tの船で、従来の輸送量を20倍に引き上げました。

 途中に設けられた水上ターミナル駅には、トイレ、食堂などの設備があり、船内売店では、お弁当や飲み物の販売が盛況です。


「ママ、速いねぇ〜。馬車より揺れなくて、お爺ちゃんの田舎まですぐだね。」


「まあ、水路の橋なんて、誰が考えたのかしら。凄いわ、景色も最高っ。」


「便利になったもんさね。荷物はちょっと後で着くが、俺は疲れんで商売に行けるもんなぁ。」


「お兄ちゃん、あの船は、このターミナルに止まらずに行っちゃったよ。」

「あの船は、急行便と言って、大きい街のターミナルにしか、止まらないのさ。」


『乗客の皆様にお知らせ致します、只今、『トトロの杜村』ターミナル名物の《猫目釜飯弁当》が入荷致しました。数に限りがございますので、お早めにお求めください。』



 水路交通の開業により、王都と先進的なワーライシル三領及び、その間に位置する領地は、物資が翌日には届くことになり、急激な商業発展が進みました。


 これに驚いた各地の貴族達は、王国各地にも水路交通を巡らすように、陳情が相次ぎましたが、建設の条件として、『最端の領地までを、1つのグループとして、全体の工事費を均等分担とすること。』としたら、位置関係から不公平だとか言って、喧々諤々揉めておりますので、放置しています。

 

 工事費用も半端じゃないしね。だけど、公共事業としての経済効果や、建設期間のことを失念していますよね。うちの重機なんて貸さないんだから。

 自領さえ良ければいいという考えの貴族じゃ、発展なんて望めないよね。

 まあ、その間、うちの東部地域が著しい発展を遂げちゃうけどね。



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