第八話 戦場から帰ってきたら、また戦場
誤字脱字報告をいただきありがとうございました。
大変に助かります。今後とも、よろしくお願いします。
古代推理小説を、執筆始めました。毎週日曜日更新です。
歴史探偵 安部晴明
https://ncode.syosetu.com/n7690gp/1/
戦場から、帰還した僕達を待っていたのは、王都の民衆の熱烈な歓迎でした。
僕の率いる500名のシルベスター領軍は、この後も引き続き査察を行うので、王都に帰還した訳です。
リシア帝国との戦勝報告もあって、モスラ辺境伯もランクルに同乗してます。
王都に入ると、メインストリートの両側には、群衆が歓声を上げていて、まるで戦勝パレードのようです。
僕は、びっくりして、ちょっと呆けて、王城へ辿り着きました。
モスラ辺境伯とともに、僕の副官であるグランとシェリフ、そしてミーナを引き連れて、謁見の間へ入る。
そこに待ち受けていたのは、陛下、ワークス宰相、父上、ライズ子爵、その他大勢の大臣以下官僚達。
「おお、王国が誇る英雄達よ、この度は大儀であった。」
「はっ、陛下には謹んで、戦勝の報告を申し上げます。」と、辺境伯。
「只今戻りました。」と僕。
「お初にお目にかかります、グランと申します。」
「同じく、シェリフにございます。」
「同じく、ミーナと申します。」
「なんじゃ、戦場から戻ったとは思えん挨拶じゃなっ。ハッハッハ。」
「陛下。戦場で活躍されたのは、モスラ辺境伯様でございます。」
「何を言う、戦略を立て、戦術を指揮したのは、ミコト殿であろう。」
「よいよい、皆の働きで、王国の大掃除ができたのじゃ。礼を申す。」
「もったいなきお言葉、身に余る光栄にございます。」
「ところで陛下、僕はこの後、どうなるのでしょうか?」
「儂から説明しよう。ミコトには、この度の戦功により、子爵位を授ける。また、補佐の任を果たした三名も、騎士爵を授ける。
モスラ辺境伯の次男と三男は、男爵を授ける。
以後のミコトの役務だが、引き続き儂の補佐として、王国の改革に当たってもらう。
ワークス領主代行の補佐は、兼任じゃ。わかったな、異論は許さん。以上じゃ。」
「そんなぁ〜、、」
「これは儂からの助言じゃが、お前の母御がたいそう心配しておるそうな。一度帰宅して安心させてやるがよい。たくさんの手紙も届いておるそうじゃからなっ。はっはっ。」
(くそっ狸親父めっ、こんなところで、多忙になった復讐かよ、覚えてろよ、倍返しだからなっ。)
僕と僕が率いる査察団は、1週間の休暇を貰い、シルベスター領に帰宅した。
領軍の兵士の皆は、各々家族に会えて、嬉しそうだ。
でも僕は、憂うつなのです。母上の豊胸に抱かれる熱烈ハグは健在だし、嬉々とした笑顔の元で、お見合い相手のレクチャーを受ける苦痛は、僕の精神を蝕んで行くのです。神様、お助けください。これでは、使命が果たせません。
「母上。僕には、まだ結婚は早すぎます。もう少し、母上の子供として、甘える期間が必要です。」
「あらだめよ〜、私はあなたの父上のものだし、あなたがお嫁さんを貰ったら、私にも念願の娘ができるのよっ。
そしてそのうち、うふっふっ。可愛い孫ができちゃうわっ、とっても楽しみなのよ。」
(こりゃだめだ、いまだに父上と《ラブラブ》だし、孫を溺愛する気満々だよ。息子の青春に猶予を与えないつもりだよっ。)
休暇の間も僕は忙しい。ワークス領にも顔を出し、代官達から近況を聞かなきゃ。
「ミコトさん、お帰りなさいっ。ユリアとっても寂しかっのよっ、悪い虫付いていないでしょうねっ。」
「若様っ、相変わらずのご活躍ですね。おかげで我が領の兵士は、無敵っなんちゃって。
それはともかく、姫様が訓練に出たがって、引き止めるのに、四苦八苦してるんですよ。なんとかしてください。」
「若っ、そろそろ観念して、お嬢を貰ってくだせぇよ。若の噂話が聞こえる度に、一喜一憂してるお嬢は、見てられませんぜっ。」
(なんだろう、領地の問題じゃなくて、プライベートな相談ばかりのような気がする。早く帰ろうっと。)
結果、母上には、僕の女性の好みを、根掘り葉掘り聞かれて、『母上のような女性』と答えたら、『まあ、』と顔を赤くしてたから、誤魔化せたと思う。
ユリアさんの熱烈アプローチに対しては、『僕は、女性のタイプを良く知らないので、暇をみて勉強してから、お答えします。』と、先延ばしにして置きました。
現状の僕の立場としては、王国の宰相の補佐、ワークス侯爵代行ユリア様の補佐。
なんですが、あくまで、シルベスター伯爵領の嫡男がメインですから、今後も自領の発展を第一に目指します。




