第四話 夏だ、海だ、海でもやるよっ
季節は7月に入り、本格的な夏の暑さがやって来ました。ここまで頑張ってきた代官や配下の人達に、休みをあげようと、夏休みの提案をした。
それなのに、僕がまた何かをたくらんでいると、勘ぐられるばかりで、誰も休もうとしない。
そこで僕は、仕方ないから企むことにしました。(笑っ)
代官や配下の家族を連れて、海でのキャンプを企画したのです。2泊3日のキャンプ、ワークス侯爵領から一番近い海は、ライズ子爵領の海です。
総員200名余りで、馬車25台の大世帯で、ライズ領へ乗り込みました。
早朝に出発して、途中一回の休憩を取り、着いたのは昼過ぎですが、快晴に近い青空で、照りつける太陽の下、白い砂浜と、広大な海の景観に、歓声が上がります。
さっそく、大型テントを連ねて、宿泊所兼、休憩所と着替え室を設営し、テンション上がり捲りの子供達から、海へ突撃です。
子供達に続いては、保護者の女性陣です。服飾組合が試作した、ビキニとお洒落なセパレーツの水着に、設営作業をしている男性陣の目が釘付けになってます。
海難事故を防ぐため、あらかじめ、水泳のできる大人達に、ボートと浮き輪を与えて、監視に当たらせています。
子供達にも、浮き輪を用意してますが、これも服飾組合に、ゴムを塗布した布で作成させたものです。カラフルな花柄や、動物の絵が描かれています。
ユリアさんや侍女さん達も、水着姿でさっそうと登場しました。
ユリアさんの水着は、ネイビーブルーの生地に、赤いハイビスカスの花柄で、その上に白いカーディガンを、羽織っているのですが、並外れた胸部装甲が『タップンタップン』揺れていて、目のやり場に困ります。
「ミコトさんっ。海がとってもきれいっ、ミコトさんも泳ぎましょうよっ。」
「えぇ、設営をしている人達の作業が終ったら。
日差しが強いですから、差し上げてある日焼け止めクリームを、ちゃんと使ってくださいね。でないと、後で赤く腫れたりしますから。」
「ええ、わかってます。それじゃ、私達は先に泳いじゃいますねっ。」
そう言って、侍女さん達と、波打ち際へ駆け出して、行ってしまいました。『ああ、こりゃだめだな、ワークス領に日焼けした黒人美女群、発生確定だよ。』
設営作業が終った僕達も、子供達とビーチボールて遊んだり、水泳を教えたり、大量クーラーボックスに用意した氷で、かき氷や冷えた果実水で喉を潤したりと、夏の午後を満喫した。
夕日が西に傾く頃、待っていたライズ子爵が訪れ、頼んでおいた荷物が届きました。
ライズ領の漁で採れた魚貝を、夕食用に頼んでいたのです。さっそく、浜辺にバーベキューの設営を行い、魚貝を焼いて、海辺の夕食会を始めます。
「ライズ子爵。お忙しいところ、いろいろ頼んで、申し訳ありませんでした。」
「なんのなんの。ミコトくんには、農地の改良から、定置網漁の指導や魚の干物など、計り知れない恩恵をもたらして貰っておるっ。
そしてこの度は、例のこともなっ。おかげで、我が領民達は、儂を名君と崇め立て奉っておるぞっ。ハッハッハ。」
「ライズ子爵様。この度は大勢で、押しかけて参りまして、ご迷惑をお掛けします。」
「おおっ、ユリア嬢。どうですかな、雄大な海の景色にご満足いただけましたかな。
だが、もう一つ自慢がしたくてのぉ。我が領の海の幸の旨い物を、持参致しましたぞっ。」
「まあっ、たいへんっ。後でお父様とお母様から、きっと酷く妬まれますわっ。」
バーベキューの網焼きの上には、鯛や鯵などの魚、蟹やイカやタコ、帆立貝やアサリ貝、そして、今朝出発前の早朝に、収穫して朝茹でした、トウキビとジャガイモが、香ばしく炭火で焼かれている。
そう、つい先週から、春植えのトウキビなど野菜と、第二期目のジャガイモの収穫が始まったのです。
この収穫で、飢饉のあとの食糧危機を、やっと抜け出したという実感が湧き、領民達に安心感が広がっています。
「お魚の骨は、食べちゃだめよっ。喉に刺さったりすると大変よっ。」
「コリコリして、おいちぃよっ。」
「ねぇ、貝って食べれるんだね。海の中にいるのに、なんでしょっぱくないの?」
「う〜ん、しょっぱくなると、干物になっちゃうから、そうならないようにしてるんじゃない?」
「カニカニっ、おいちぃっ。」
「あんた、なんで食べながら横歩きしてるわけ? カニ味噌の食べ過ぎじゃない?」
そんなこんなで、和やかな食事風景のようです。でも、大人達にはエールを出して振る舞ったから、酔っ払いも現れてます。
「ミコトっ、もっと飲んでよぅ、男でしょっ。」
(誰だぁ〜? ユリアにこんなに飲ませたのはぁ〜?)
翌朝僕は、朝から元気に、砂浜で戯れる子供達に見送られ、ユリアさんと共に、ライズ子爵領の、とある村を訪れました。
ユリアさんは、二日酔いで静かです。でも、おとなしくしている訳ではなく、僕の腕にぶら下がって離しません。
この村に、僕がライズ子爵に提案して作られた『流下式塩田』の施設を点検するためです。
もう既に施設は、出来上がっていて、僕の確認作業が終われば、稼働します。
それまでこの世界での製塩は、岩塩が主体で、海塩は、海水を何度も煮詰めて作る方法のため、効率も悪く費用も嵩むため、海のある領地の一部でしか、行われていませんでした。
ですが今回、僕が水車動力のポンプと共に、流下式の製塩を、ライズ子爵に勧めたのです。
ライズ領で、安価な海塩が生産できれば、そしてその技術が、海を有する領地に広まれば、王国中に人々に、安価な塩を提供できるのです。
海水の汲み上げポンプは、動力の水車の車部分の設置位置を、水面から少し浅く調整して、水車への負担を減らしました。
流下柳は、流下海水の量を減らし、傾斜角度を緩やかに調整しました。
その上で、操業開始です。明日の朝には、ひとまず結果が出るでしょう。工事をした人達は、徹夜で故障が起きないか、見守るそうです。僕達は、キャンプ場へと戻りました。
翌朝、『流下式塩田』の稼働は順調との報告が来ました。この後、第二、第三の塩田を建設するそうです。
1ヶ月後、真っ白な製塩されたライズ領産の海塩が届けられました。味に微かに苦味が残っていたので、にがりとの分離を、時間を掛けて十分にするよう、細かく指示しました。
半年後、ライズ子爵領の海塩が、『ライズの海塩』と名付けられて、王国デビューを果たしました。
予約投稿を間違えて、前日投稿になってしまいました。31日分です。




