1.サンゼだよ!
自分だけの王子様との恋を夢見る少女は今日も元気いっぱいです。
こんにちは!
学校で先生が、言葉の勉強のために、みんな日記を書いてみようねと言ったの。
でも、誰かに読んでもらうために書くほうが、いっぱい言葉を覚えられるよって。
だから、あなたへのお手紙にしたの。
読んでくれるかな?
あなたは、わたしの恋人だよ!
いまはまだ恋人じゃないけど、いまから何年後かに、わたしの隣にいるんだよね?
だから、いつか、これを読んでね。
わたしのこと、いっぱい知ってね!
わたしの名前はサンゼ。知ってるよね。
今年で十歳になったよ!
喋り方がちっちゃい子供みたいだって言われるのは、だって、しょうがないもの。
スーザの町に来るまで、学校なんて行ったことなかったし、勉強はお姉ちゃんやお兄ちゃんとかが見てくれたけど、学校の他の子たちとは違って、全然できてなかった。
やっと、最近言葉をたくさん覚えられたの。
字も読みにくかったらごめんなさい。
お兄ちゃんとかお姉ちゃんのことは、あとで教えるね。
サンゼは、あっ、わたしって言わないと。
わたしは、十歳の女の子。
髪の色は赤毛。赤いっていっても、えっと、金色よりも赤っぽいんだって。
ぽいってどういうことか、まだよくわかんない。
でも、赤っぽい金色だよ!
髪の毛は、いつもスウィンお姉ちゃんが結ってくれるよ。
朝起きたら、二つの耳の上でしばってくれるの。
眼の色は、薄い肌色。
肌の色はね、リーヴよりも薄くてね、セリュフよりも濃いの。
リーヴの肌はね、薄い茶色なの。セリュフはね、白っぽいの。
またぽいって出てきちゃった。
よくわかんなくなってきちゃったよ。
なぞなぞみたい。
それでね、わたしの眼は、その薄い肌色の中に、ちょっと緑色が混ざってるんだって。
でも自分じゃよく見えないよ。
わたしが好きなものを教えるね!
わたしは、スウィンお姉ちゃんが読んでくれる恋物語が大好き!
スウィンお姉ちゃんは、夢物語だって言うけど、絶対にあるもん!
ここは王様のいる国じゃないけど、他のところには王様がいるから、王子様だっているでしょ?
だからお姫様だっているんだもん!
わたしはお姫様じゃないけど、わたしの王子様はどこかに絶対にいるもん!
あなたは、絶対にいるから。
そこにいるよね?
泣いてなんかいないよ。
絶対に会えるから!
明日もまたお夕飯の前に書くね。
今度は、スウィンお姉ちゃんのことを書くね!
リーヴもセリュフも、みんなのこともちゃんと書くからね。
これから、スウィンお姉ちゃんのお手伝いをするの。
みんなでいろんな料理を作るのよ!
だから今日はこれでおしまい。
また明日!