44話 巨大な島のヌシ①
充電期間という名の、休息日が……ついに終わる。
続々と、主要メンバーが集まってくる拠点の中。
これからここで行われるのは……非常に重要な会議だ。
島のヌシ、巨大なアーマーロックタートル討伐についての作戦会議である。
「やっほ~。ティナちゃん参上!アリシアも連れてきたよー」
「ちょっとティナ、会議するんだから、落ち着きなさい!」
相変わらずの、マイペースで陽気な妖精。
妖精の相方である、森人のエルフ……みんなの先生アリシアも到着し、会議の主要メンバー達が揃う。
「よし、それじゃぁ……『島のヌシ討伐会議』はじめるぞー」
「わぅ。いよいよですね。」
主要メンバーの他にも、今回は調査を行った者も参加している。
「彼はドッペルゲンガーのレフティだ。調査班の報告を頼むぞ」
「はい、レンディ様。では、事前に行った調査から……」
まずは、事前に行った調査班の情報を、会話が出来るドッペルゲンガーが、詳しく説明していく。
情報を共有し合った後は――
円卓に勢揃いした主要メンバー達が、様々な意見を出し合っていく。
事前の準備次第で、討伐が成功するか、失敗するかが決まるといっても過言ではない。慎重に作戦を立ててから、島のヌシに挑みたい。
戦いになる前に、情報収集として相手のステータスは確認してきてある。
【 種族 】ギガントタートル
【 名前 】
【 レベル 】61
【 魔力 】981
【 加護 】鉄壁(物理防御力・常時上昇)
【 スキル 】統率2 魔力操作5 魔力回復4 瞑想6 体術6 隠密2 身体強化7 感知系:気配4魔力4 魔法系:土7無7
どうやら、種族の名前は『ギガントタートル』というみたいだ。
事前にわかった特徴は――
加護もあり、直接的な物理攻撃は効きにくいだろう。そうとうの硬さがありそうな相手だ。スキルは特化タイプとも言える感じで、土魔法、身体強化系、体術の能力が高い。
話し合った作戦の中には、口の中に入って攻撃するなど、無茶苦茶な作戦まで飛び出す始末。
その他にも、ちゃんと実用的とも思える作戦が、次々と練られていく……。
◇主な作戦
・薬を使って、状態異常にする。
・罠を利用して、動きを制限する。
・魔法を使った、集中火力で倒す。
・遠距離攻撃で、安全に攻撃する。
「それじゃ、一つの作戦にこだわらずに、色々と試しながら有効かどうか見極めて、臨機応変に戦っていこう」
「わぅ。実際に試してみないとわかりませんね」
作戦が決まり、選抜したメンバーを集める。
今回の討伐では、主力本隊の他にも、援護部隊も用意してある。何か予想外の出来事があった時に、迅速に動いてもらえるようにした部隊だ。
「それでは、島のヌシ討伐に向かう。道中も気を付けて進むぞ!」
「わぅ。ヌシ以外にも、敵は大勢いますからね」
斥候部隊と上空部隊が先頭を進みながら……大部隊とは思えない速度で、素早く進軍していく。
向かう先は、山があり、岩がゴロゴロと転がっている岩石地帯。調査している時に、鉱脈なども見つかっていて、資源としても重要な場所だ。
「雷を纏った雷鳥よ、敵を貫け。……ライトニングバード!」
「わんっ。いきますよ。……斬り飛ばせ。雪月下!」
道中に居る少数のリザード種などを倒しながら、敵をものともせずに進む。
使える者が少ないと言われる、希少な雷の魔法を使うマスター。
ダンジョンメンバーの中でも、他にはライガー達など、一握りの者しか扱えない魔法だ。
最近は得意な魔法の能力を上げるために、積極的に魔法で攻撃参加している。加護のおかげもあり、順調に魔力も増えていて、大規模な魔法も一人で扱えるようになってきている。
対してマシロは、剣術戦闘をメインに、魔法を補助的なスキルとして使い、接近戦のエキスパートとして、さらに強くなってきている。
調査隊の筆頭、レフティの案内によって、順調に進んでいく……。
「レンディ様。そろそろ中継地点となる場所です。候補地は、あそこです」
「わかった。では簡単な拠点を作って、物資を空から空輸していくぞ」
候補地となったのは、ボスから適度な距離があり、身を隠せる場所。
ボスまでの距離は、身体強化を使って急げば10分程。山の裏側にある平地で、発見されにくく、距離としては、10キロは離れた地点だ。
「ここに物資の補給場所を作る。土魔法が使える者は、手伝ってくれ」
「わぅ。まかせてください!」
さっそくマスターや配下達が魔力を練り、補給場所を作っていく。
土魔法の形状変化によって、倉庫などが次々と作られていく。そこに、空からワイバーンによって、武器や食料などが、続々と運び込まれてくる――
「軽く食事をした後は、島のヌシとの戦いだ。忘れ物がないか、確認するように!」
配下を指揮しながら、みんなに指示を出すマスター。
「アリシアが、弓を抱えたまま……矢がないの~。なんて、泣いてた事もあったわね~」
「ちょっとティナ。いったい、いつの話しをしてんのよっ! それって……ちっさな子供の時の話しでしょ。それに、泣いてなんかないわ!」
いつでも陽気な妖精と森人のエルフは、緊張を紛らわすように、いつも通りに騒いでいる。
そして、今か今かと時を待つ、守護者や配下達……。一人一人の表情を見回してみても、臆病風に吹かれて、怯えているような者はいないようだ。
島のヌシとの、決戦直前――
今までにも多くの戦いを経験してきた者達。良い緊張感を保ちながらも、やる気充分といった様子で、モチベーションは高い。
「……では、そろそろ出発する! 仲間同士で協力しあって、みんなの力でヌシを倒すぞ!!」
マスターの掛け声と共に、拠点を出発していく精鋭達。
この離島での、最後の決戦。
巨大なギガントタートルとの戦が、もうすぐ始まる……。




