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36話 島の南東地域と、防衛拠点②

【 猫達の離島 3日目 】



「チュンチュン、チュン♪」


 マシロのおかげで、今日もいつも通りに安心して、ゆっくりと眠る事が出来た。


 異世界に来てから、毎日変わらずに、ずっと傍に居て守ってくれている。包み込んでくれる、優しさと温もり……そして何より、至高のもふもふもふ。





「コーン……。コーン……」


 斧を使って、木々を伐採している音が、周囲に響き渡る。


 見通しの悪い森の中では、突然の不意打ちに気づきにくい。拠点の周囲をもっと切り開き、見渡せるように視界も確保している。


 時折り、音によって近寄ってくる魔物がいるが、待ち伏せをするように……気配を消して護衛している者達が多い。心強い味方だ。


 これからも重要になってくる、シンプルな防衛拠点の完成度を見回る。外側に作られた防壁の厚みは、1メートル程。簡単には壊れないように、魔法で強度を高めてあり、見た目以上に頑丈だ。


「監視塔も、立派に完成したなぁ」


「わぅ。今までやってきた建設で、かなり慣れてきましたね」


 マスターの視線の先には、率先して動き回るコボルト達。土魔法が得意な、建設に慣れた者達だ。


 外壁の四隅に建てられた5メートルに及ぶ監視塔には、様々な機能が設置されている。


 危険を知らせる鐘が吊るされていたり、梯子を使わなくても、いざという時はすぐに地上に降りれるように、消防署にあるような棒を使って、屋上から下まで一気に滑り降りる事も出来る。


 後続として、建設が得意なコボルト達が30名増員され、急ピッチで建設が行われている。


 これからの島の発展に向けても、重要な防衛拠点になりそうだ――





 拠点内の見回りを続けていると……釣り道具を抱えて、拠点を出発しようとしている者を見かけて、なんとなく声をかけてみる。


「やぁ、エルメテオ。どこに行く気なの?」


「にゃにゃ。これから大事な仕事があるにゃ。川の見回りにゃ!」


 マスターの目が、見逃さないぞ!と言わんばかりに、キラリと光る。ティナとどこか似たような雰囲気を持つ、ムードメーカーのケットシー。見回りと言いながらも、きっとお魚目当てに違いない。


「それなら、一緒に見回りにいこっか。川向こうにいる、エイプの様子も気になるからね」


「にゃにゃ。敵がいたら、このエルメテオ様の火炎魔法で、こんがり燃やしちゃうにゃ!」


 見た目や態度とは違い、本気になった時は、かなりの実力があるエルメテオ。


 ピリピリとした戦場の中でも、一緒に居ると……良い意味で、緊張感も和らげてくれる。貴重な存在だ。





 エルメテオと一緒に、川幅が10~15メートル程の川に向かう。


 水深はそれほど深くなく、1メートル~2メートル程だろうか……。川を渡った先には、エイプが多数生息する深い森がある。いつ襲ってくるかわからない敵への注意も必要だ。


 総勢10名で川を見回りながら、魚捕りの罠をしかけたり、どんな生き物が居るか確認したりする。小型の魚が多く、大きいサイズの魚は少ないみたいだ。


「エル。ここには、魚以外には何がいるの?」


「ふふっ。でっかいウナギがいるにゃ! ぬるぬる~ってするにゃ!」


 そして、川の中で発見したウナギのような生き物は、全長2メートル。想像していたのと違って、ビックリするくらいの大きさだ。


「うわぁ……。あれって、ほんとにウナギ……?」


「お昼ごはん、発見にゃ!!」


 手づかみで捕まえるのは、大変そうだ……。どうやってあのウナギを捕まえるのか、エルメテオの様子を見守るマスター。


 エルメテオが、勢いよく水の中に飛び込んでいく。水魔法を上手く使いながら、一気に近寄ると……ウナギを、豪快に陸地へと放り投げる。


「秘術、ウナギの滝登りにゃー!」


「ウナギが、空を飛んだ~!!」


 陸地に放り投げられて、動きが鈍ったウナギへと、素早く槍でトドメを刺す。


 その後も、川の探索を続けていくと、合計3匹の巨大ウナギを手に入れる事が出来た。


 エルメテオに、秘術について聞いてみる――


 ウナギの滝登りとは、水魔法を使い、ウナギの周囲の水ごと豪快に空中へと持ち上げる事で、空中の水場をウナギが上っているように見えなくもないという技の事だ。ケットシーに伝わる秘術なのかは、定かではない。余談だが、さらに魚の滝登り、ナマズの滝登りといった秘術もあるようだ。





 お日様も高くなってきた、お昼頃。拠点へ帰る準備をしていると、上空からピリピリとした様子の、セレネが飛んでくる。


 そこで聞いたのは、驚きの新たな報告――


「レン様、エイプの森を調べてみると……。あそこには、ダンジョンの気配がします」


「なるほど……。ダンジョンまであるのか」


 セレネからの報告を聞いて、どうしようかと考え込むマスター。


 以前にも、野生のゴブリンが居るダンジョンを経験した事がある。そこと同じように、野生のエイプが多いダンジョンなんだろうか。ダンジョンの奥には……ボスとなる、強力な存在が居るはず。地上部分のエイプを倒した後も、気が抜けないな。


「よし、拠点に戻って、作戦会議を開くぞ!」


「わぅ。他のメンバーも集めないといけませんね」


 先程までの楽しい雰囲気とは一変し、ピリっとした緊張感が漂う。


 エイプが支配する南西にある深い森は、これまで猫族達も踏み込んだ事のない地域。やはり簡単にはいかない。攻略の見直しも含めて、慎重に予定を決めないといけないな。





 防衛拠点の中に作られた、一番大きな建物。そこに、続々と主要メンバー達が集まってくる。


「エイプのいる南西の森に、新たにダンジョンが発見された。セレネ、詳しく教えてもらえるか?」


「はい。レン様」


 セレネによって、南西地域でわかった新情報が、他のメンバーにも共有される――


 深い森の中には水場もあり、手の長いサル型のエイプの他にも、一回り体格の大きな、地上を進むゴリラのような種族がいて、争わずに共存している事がわかった。


「なるほど……。もしかしたらエイプの上位種かもしれないけど、地上にも強力な敵が居そうだな」


「ガウッ。地上であれば、我らの力が充分に発揮できますな」


 アラクネなど、木の上を気にせず、空中機動に慣れた者も多いが、主力は地上部隊が多い。油断できない相手だが、戦力としては充分に対抗出来るだろう。


 会議で話し合いをした結果。まずは、基点となる防衛拠点をしっかり完成させ、準備を整えてから、エイプの森へと進軍する事が決まった。


 進軍の決行日は……5日後。

 長いようで短い。あっという間に、時間が過ぎていきそうだ。





「じゃぁ俺は、鍛冶場を手伝ってこようかなぁ~」


「わぅ。マスターにしか出来ない仕事も、たくさんありますからね」


 やる事がいっぱいだ~。などと言いながら、元気よく鍛冶場へと向かうマスター。


 魔獣との戦闘が増えて、メンテナンスが必要な武器は多い。さらにこれからの事を考えて、現地で手に入る素材を使った、手軽に作れる武器も作りたい。鍛冶が出来る能力を持った者が少なく、忙しくなってしまうが、武器の準備は大切だ。


 そして、色々な物を作っていると、あっという間に時は過ぎていく――





 新たに現れたダンジョン。

 エイプ達が支配する南西地域での戦闘は、激しい戦いになる予感がする……。



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